投資額が高騰する業界に懸念 /mammaciao

既存店へのフォローと他業態との併設出店で安定出店


エムアイエス

東京都港区

三原 淳社長(54)


「初期投資額がとても高くなっていて、皆さん本当に元が取れるのか心配です」。こう話すのは、20年にわたりコインランドリー事業を手掛け全国595店舗、FC店だけで見ると業界最大手となる581店舗を展開するエムアイエスの三原淳社長だ。古くからコインランドリー事業を見てきた業界の生き字引は、今何を考えているのか。

 

三原 淳社長(54)


PROFILE:みはら・じゅん

1967年4月東京生まれ。専修大学経営学部経営学科を卒業後、大手外資系製薬会社に入社。その後、コインランドリー機器輸入商社ダイワコーポレーションを経て、コインランドリービジネスに携わる。オーナー視点に立った経営を目指して独立し、有限会社エムアイエス(後に株式会社に組織変更)を2000年9月13日に設立する。後にマンマチャオをフランチャイズ展開、現在にいたる。

 

―新勢力と目されるコインランドリーでは、洗濯以外にカフェを併設したり、有人の洗濯代行のサービスを設けるなど、従来よりも店舗面積を広く取って付加価値を高める方向へ流れている傾向があります。率直にどう思われますか。

三原 投資効率の面で心配しています。投資総額が3000万円からと言うのは企業の事業としてみればかなり安いですが、個人オーナーにとっては重たい金額です。中古マンションも買える金額ですし、土地活用目的の方のニーズからは外れています。昨今のコインランドリー業界は法人の新規事業としての展開ばかりですね。店舗設備についても、洗濯乾燥機を1店舗あたり5台、7台と設置するのは過剰設備ではないでしょうか。店舗面積も50坪規模と大きすぎる。当社では手掛けるとしても30坪までです。当社の基本スペックは首都圏で 15坪以上で賃料20万円以下、郊外で 30坪・駐車場4台以上で賃料30万円以下です。


―ただそんな御社でも、一時期に比べると出店の速度は落ちているようですが。

三原 かなり鈍化していますね。他社さんも増え、業界が飽和状態にあることも大きいですが、一番の理由は類似業態が登場したことです。当社は東京・神奈川への出店が多く約250店舗ありますが、物件のバッティングが結構ありました。皆さんスピード感があり、追いつかれそうで怖いですよ。これからは首都圏だけでなく、郊外へも積極的に進出するつもりですが、最近は物価の上昇もあり、出店の足を引っ張っています。搬入や据付工事などの設備工事費が、3年前に比べ2倍程度かかるようになりました。以前は約1500〜1800万円で出店出来ており、当社の580店舗の内の7割は2000万円以内で出店できていましたが今では難しい。洗濯乾燥機の導入もあり機材費用も上がっています。


―そのような中、御社でも時流に沿った店舗づくりを進められていると伺いました。既存店とはどのような違いがあるのでしょうか。

三原 当社は以前よりデクスター社製の乾燥機を利用していますが、最近は大型の23キロ2段式を採用しています。近年はランドリーに大物を持ち込む方も多いことから、一般的 な14キロ、16キロの2段式よりもニーズが高く、稼働率も好調です。また一方で、最近はデクスター社製以外の機械も採用しており、洗濯乾燥機や敷布団専用乾燥機は基本的にT OSEI製になります。また人員体制についても、なるべく無人で営業する方針は変わっていません。そのため、現在増えている洗濯代行サービスも手掛ける予定はありません。


―最近は「布団洗い」が業界内での一つのポイントになっていますね。

三原 そうですね。通常の衣類乾燥などの客単価は700円から800円ですが、布団洗い となると平均2000円以上で3倍近いですから。当社はコンビニさんの余剰地でプレハブ出店した際は9坪しかありませんが、そういった小型店舗へも敷布団専用乾燥機を入れました。さらに敷布団洗濯のために、一方向回転の洗浄プログラムを独自に発注しました。これにより衣類洗濯・衣類 乾燥・羽毛布団洗濯乾燥・敷布団洗 濯のラベルを自社で作成して、お客様に一目でわかって頂ける仕様となります。両方向回転の洗濯機を使用している既存店には、簀巻きにして布団の片寄りを無くす方法を掲示し、セルフでも布団を洗えるとお客様に訴求しています。


―利便性という観点では、店舗の決済対応は現状どのような形態となっていますか。

三原 使用可能店舗を限定したプリペイドカードに注力しています。3000円のお支払いで3600円分使えますのでお得感があり、顧客の囲い込みにつなげています。IC決済も対応はしていますが、別の店舗でも利用できてしまうので、プリペ イドカードに関しては発行店でしか使えないようにしています。これは新店舗の立ち上げにも役立っていて、今年 10月にオープンした八王子店では、オープンの3日間で45万円を売り上げました。コード決済も対応を始めた店舗があります。ただこれは店舗側で頑張ってキャンペーンしても売上の5割、ちょっと頑張って3割、ほとんど何もしなければ1割ほどの利用率です。依然として現金決済のお客様も多いことから、当社では完全キャッシュ レス化を目指すのではなく、決済の多様化に取り組んでいます。


―御社では以前より、オーナー候補者が契約金110万円を支払えば、優先的に不動産会社からの物件情報提供や市場調査、中古機器の紹介などを受けられる「プレチャオ会員」というサービスを提供しています。最近上がってくる物件に変化はありますか。

三原 現在は月に10件程度の物件が候補に挙がっており、傾向としては、単独での出店よりも併設店が増えています。既存のテナントから「一緒に出ませんか」とお声掛けいただくことが多く、今のところスーパーやコンビニ、ドラッグストアやピザチェーン、フィットネスジムや接骨院、美容院など、多くの業種で出店実績があります。セブンイレブンさんとタイアップして同時オープンさせ、また外観も馴染むようにした店舗もあります。




―業界内のトップランナーである御社ですが、今後は既存店・新規出店ともにどのような対応をしていく予定ですか。

三原 設備が古くなってしまった既存店には、洗濯乾燥機を増設するなどフォローしていきます。但し、当社は元々が2000万円以内で1店舗出店するビジネスモデルですから、多くが駐車場の無い小規模店舗です。大型の競合店が近くに出来てしまうとテコ入れが難しい部分もあります。その場合は、スムーズに撤退していただくために機械を買い取らせていただくなどしています。また出店に関しては、直営店の出店も増やしていきたいと思っています。オーナーさんの高齢化やコロナ禍での経営不振で手放されるケースも出てきているので、その場合の受け皿になりたいですね。チェーン本部としては今後も出店を重ね、3年で750店舗の体制にしていきたいと考えています。


閲覧数:40回0件のコメント