368オーナーのうち190名が単店経営

ローカライズされた個店オーナーたちの存在が真骨頂

/「珈琲所 コメダ珈琲店」


コメダ

愛知県名古屋市

取締役 開発本部 本部長

北川 直樹氏(51)


1968年創業のコメダ。1993年のFC事業本格開始から30年近くを迎え、現在は全国909舗のうち、FC店が870店と大多数を占める。フランチャイズ本部として多数の店舗を抱える同社のオーナーは、意外にも半数が単店オーナーで構成されているという。

(ビジネスチャンス12月号巻頭特集より)


北川 直樹氏(51)

Profile◉きたがわ・なおき

1970年5月生まれ、三重県出身。四日市大学卒業後、富士電機創設株式会社を経て、株式 会社コメダに入社。店舗での営業経験を積んだ後、営業部門及び開発部門の責任者を務め、 開発本部長、取締役に就任。現在に至る。

―368オーナー中190オーナーが単店経営とのことです。この店舗構成には強いこだわりを感じますが、その理由は何なのでしょうか。

北川 創業者の弁にもありますが、本当に良いお店を作ろうと思ったら、究極形は1店舗1オーナーです。オーナーが自ら顧客満足を追求し、きめ細かく店舗全てを把握して運営していくことが、どんな競合にも負けない手段だと考えています。オーナーとサラリーマン店長では、必死度や見える世界が違うものです。オーナーは事業を始めるにあたり様々なリスクを背負いますからね。オーナーから店舗を譲渡され、従業員から新たにオーナーとなった方 がいますが、今まで気が付かなかった店内の汚れや傷がとても目につくようになったそうです。



またお店には、それぞれ独自ルールがありますよね。例えば新人パートさんへの教育方法だとかコミュニケーションの取り方です。そのルールが次第にカルチャーとなって、脈々と引き継がれていくものです。それをいかに作るかが大切で、オーナーにしっかり構築してもらいます。コメダの強さは1店舗1オーナーを原則としてきたことにあるのは間違いありません。



―一方で、複数店舗を経営されているオーナーもいらっしゃいます。

北川 本部の方針としては、単店オーナーをあくまで理想としています。創業地の名古屋は「知り合いの知り合いは、知り合い」という地域性です。オーナー募集を広告しなくても、口コミで広まっていく風土がありました。しかし一方で、全国展開をするにあたり法人加盟が増え、結果として複数店舗を持つ方が増えている現状です。


フルサービスの喫茶店業態はブルーオーシャンではありましたが、新規事業として投資出来る方は法人が多かったのです。1店舗だけのつもりで喫茶事業を始めませんので、将来の複数展開を見込む方が増えました。ただ、そのケースでもいきなり複数店出店することはありません。まずは1店舗出して、本来あるべき姿をきちんと実現していただきます。運営方針を維持できて、人材育成が 整って初めて複数店展開を検討します。こういった本部の方針に賛同してくださった方とご縁を繋いでいます。




―御社の基本方針はフランチャイズ による展開だと思いますが、最近は直営店舗も増えてきています。

北川 この数年は年間5〜8店舗を直営で出店しており、現在39店舗が直営店です。これはフランチャイズ による展開を基本とする当社にとって矛盾することに見えるかもしれませんが、そこには明確な理由があります。コメダでは良い物件があっても、良いオーナーがいなければ出店しない方針です。そのため機会損失も多く発生したため、そこを変更し て物件確保を先にするようになりました。あくまでも直営店は将来のFC化を対象としています。ですからタイミングが合えば、直営予定だった店舗をFCに切り替えてオープン しますし、一旦直営で立ち上げて軌道に乗せてからお譲りすることもあります。実際、今期も3店舗が直営からFC化しました。


―立ち上がった店舗を譲渡するというのが、一つのモデルになっていると。

北川 既存店の譲渡は、資金が不足しがちな個人の方にはもってこいなのです。数字が見えているので、失敗する可能性が少ないですからね。また、様々な事情でお店を譲りたい方がいます。その際、新しいオーナーに代わるタイミングで再投資をして手を掛けていくと、健全に収益を得ることができるようになるのです。新しく始める方にとっては投資を抑えてリスクを最低限に出店できますし、手放す方にとっては損切になるので、双方にメリットがあります。



―今後も個店オーナーが増える見込みはあるのでしょうか。

北川 現在当社には、個人の方からの加盟に関する問い合わせが月に100件程度あります。これは加盟問い合わせ全体の7割に相当します。ただ個人の方の加盟相談は、入口から前に進みにくく、意思決定までに時間がかかります。年間25〜30件の新規加盟申込のうち個人は1〜2割に留まっているのもそのためです。問い合わせ自体は7割あっても、成果は1、2割の実態です。そこでこの問題を解決すべく、加盟条件を優遇する「独立支援制度」を4年前に設けました。これまで既に12名が独立しており、内訳はコメダ社内からとFCオーナーから店を譲渡された方の半分ずつです。さらに将来の独立を目指して、コメダに入社した社員が6名在籍(10月現在)しています。全体に与えるインパクトは小さいですが、コツコツ成果を出しています。



―個店オーナーを支える体制は設けていますか。

北川 定期的なSVの臨店と、地域ごとにブロックオーナー会を開催しています。これは10〜15名のオーナーがエリアごとに集い、地域販促などを検討するというものです。昔は 「コメダのライバルはコメダ」でした。しかし今では海外ブランドも多く出てきましたし、競合も増えました。ブランド全体として、他店の成功事例やノウハウを共有していただくようにしています。



―今後も個店主義は貫くのでしょう か。

北川 一番大事なことはお客様第一であることです。全国津々浦々店舗があり、同じコメダというブランドがあったとしても、お客さんからの支持のされ方や提供する価値は一律 ではないはずです。昔みたいにどこに行っても同じという安心感はもう価値ではなくなっています。ローカライズしていくことが、今後、本当の強みになっていくと思います。「オフィス立地や郊外」という大きなくくりだけでなく、郊外店舗同士であっても使われた方は違い、戦い方も違います。店舗ごとに地域に根ざしたお店作りが一番大事だと考えています。


そのためには日々の営業だけでなく、地域貢献活動なども行っています。通常のチェーンでは細分化した動きはなかなかできないでしょうが、コメダはそれが出来る業態です。飲食業にウルトラCはなく、小さなことの積み重ねで成立しています。0・1%のコストカット、0・1%の客数増が結果的に大きな利益を持ってくるのです。世の中が厳しくなればなるほど、個店オーナーであることの強みが出てくると思っています。





29回の閲覧0件のコメント