【後編】 販売代理店からグローバル化するビジネスへ発展

アントプレナー精神でコロナ後もチャレンジ/I.Fujita International



I.Fujita International

藤田 一郎社長


米国のフランチャイズの歴史は、100年前にさか上る。時代の変化によって、ビジネスの需要も変わり、それと並行してフランチャイズビジネスもその時代にあった形態に変っていったのである。“米国FC業界の100年の歩み”を追うことによって、過去、現在、未来の米国でのフランチャイズのあり方を検証したいと思う。


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藤田一郎社長


 

Ichiro Fujita:プロフィール

上智大学国際学部および南カリフォルニア大学国際学部出身。1980年にI. Fujita International, Inc.を設立。1986年から米国フランチャイズ案件の日本導入事業に着手。2000年以降から日本フランチャイズ案件の米国導入事業及び加盟店開発を行う。米国のアントプレナー誌からExcellent Entrepreneur Awardも受賞。最も米国フランチャイズ事情に精通している人物として認められ、近年は、フランチャイズのグローバル化に貢献し、多方面で講演を実施。日本フランチャイズ及び小売企業の北米進出サポートやコンサルテイングを行っている。

 

介護ブームとペットブーム(2000年代)


2000年代に入ると高齢化の問題が重要視され、自宅介護のサービスを中心とした介護サービス(Caregivers )のフランチャイズが成長した。その中でも日本のダスキンとマスターフランチャイズ契約を締結したHome Insteadなどが、日本で躍進した。Homestead以外にもVisiting Angels 、Comfort Care、Senior Helper、Comfocare Right At Home といった介護専門のフランチャイズが全米レベルで拡大した。また並行してこの時期にはITバ  ブルがあり、経済もゆとりが出てきた時期でもある。今では100兆円産業に達した米国ペット市場が加速化したのも2000年代である。ペットケアの主なカテゴリーとしては、ペットグルーミングビジネスが代表的で、ブランドとしてはAussie Pet Mobileなどが挙げられる。



エスニックフードの成長期(2000年代〜2010年代)


ファストフードとしてのメキシカンフードは、1962年に誕生したTaco Bellに代表されるのは広く知られている。2000年代に急成長したのはメキシカンカジュアルで知られるChipotleである。Chipotleは、ヘルシーなコンテンツを前面に打ち出し、お客様の好みに合わせたカスタマイズブリートスが人気を呼んだ。またこの時期は、その場でグリルし た焼きたてのチキンをタコスや、サラダ、ケサディーヤを提供したEl Pollo Locoなどのブランドも挙げられる。また、この同じ時期に中近東から来たイスラムフーズのハラールフー ズがフランチャイズ化され、全米レベルで拡大した。その中でも、The Halal Guys が最も代表的なフランチャイズブランドである。チャイニーズテイクアウトで知られるPanda Express は、2000年に入ってからもその成長は止まらず、2000年〜2010年には、 1500店舗を突破した。日本食もラーメン、巻き寿司、焼肉の業態で、店舗数は限定され るが、この時期に米国市場に参入した。



買収、合弁、株式上場案件としてのフランチャイズビジネス(2010年〜2019年)


2010年代は、それまで投資案件として独占していた不動産、ITと並び、フランチャイズビジネスが投資案件として脚光を浴びてきた時代である。代表的なのがアトランタ市を拠点とするRoark Capital Groupである。3兆円規模のプライベートエクイティーファンドで、主として、LBO [Leveraged Buy Out (レバレッジドバイアウト):借り入れ金をてこ にしての会社買収]で、数百〜数千店舗を全世界レベルで展開するフランチャイズ本部を次々と買収している。代表的なカテゴリーとしては、レストラン、ファストフード、フィットネスチェーン等だ。Roark Capital Groupの成功によって、フランチャイズビジネスをターゲットしたプライベートエクイティーファンドが次々と設立され、巨額なファンドで、業界を代表するフランチャイズビジネスが誕生した。



ヘルシー嗜好、プレミアム、プラントベース(2010年代)


2010年以降のフランチャイズは、3つの大きなトレンドによって代表される。人々がヘルシー嗜好になったことによってより多くの野菜やフルーツベース、アイスクリームに代わる商品、ビーフに代わる商品などがメニューにフューチャーされ、成功した。代表的なカテゴリーからいうと(1)スムージーやアサイー(2)フローズンヨーグルト(3)コールドプレスジュース (Cold Pressed Juice)(4)サラダ等。2015年を過ぎると各バーガーチェーンは、一斉に通常のビーフを使用していたハンバーガーチェーンが、動物保護、また、ヘルシーを目的とするプラントベースのビヨンドミートやインポシブルビーフなどを使用した新製品を打ち出し、好調である。プラントベースは、植物由来の食べ物を中心とした食事法で、一般にいうベジタリアンやビーガンとは、異なっている。ハンバーガー最大チェーンのマクドナルドが2022年を機に初めてプラントベースのバーガーを取り入れると発表している。



パンデミックがもたらしたフランチャイズビジネスへのダメージ(2020年)


2019年の時点で米国には、77万社のフランチャイズ関連の店舗が開業していた。パンデミックの結果、3万2700のフランチャイズビジネスが、2020年中に閉業を余儀なくされた。加盟店レベルでは、政府から補助金もあり、例年より20%ダウンで止めることができた。売上的には、18兆円以上の低滅とされる。店舗の閉業により、一時的にせよ140万人もの失業者に発展した。



パンデミックがもたらしたフランチャイズビジネスへのニューノーマル(2021年)


パンデミックが落ち着きつつある中で、根本的なライフスタイルに変化がもらされた結果、以下の現象が起きている:―都心へ通勤せず自宅待機になり、多くの会社がリモートに入ったため、都心型の飲食ビジネスは通常のダイニング形式では成立するのが厳しくなったこと。―感染対策として、ソーシャルデイスタンス、マスク対策、接種証明書持参によるダイニングがほぼスタンダードになったこと。―テイクアウト、ドライブスルー、第三者によるフードデリバリーが顧客対応の主体になってきたこと。飲食の業態によっては、ドライブスルー、フードデリバリーで収益の70%を占めているフランチャイズビジネスも珍しくない。上記の結果を踏まえて、一時低滅していた宅配ピザのドミノピザ、パパジョーンズなどが空前の収益を上げ、まさしくカムバックビジネスとして注目されている。



ポストパンデミックに期待されるフランチャイズビジネス(2022年以降)


パンデミックによって起きた現象の一つが、人手不足である。日米のフランチャイズビジネスはその対策として、あらゆる部分で人との接触を極力避ける客への対応、店内での食事のサービスの解決策を求められる。一環として、店内でのオーダーや決済へのタッチパネルの導入、キッチンでの皿洗いや客席への配膳の対応等をロボット化し、部分的に無人化しつつある。総論米国のフランチャイズビジネスの100年の歩みは、まさしく、人類が歩んできたこの100年の歴史でもある。産業革命、流通革命、テクノロジーベースのIT革命から生まれたソーシャルメデイアやAI、サイエンスに真っ向からチャレンジしてきたパンデミック、温暖化。このように、あらゆる時代に直面してきた米国フランチャイズビジネスは、今後もよりクリエイテイブで新しいものに常にチャレンジするアントプレナー精神をベースにチャレンジし、人々の生活を豊かにしていくだろう。

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