ロングリーチグループの出資を機にFC本部機能を強化/珈琲館、カフェ・ベローチェ、他

シャノアールと合併し新体制で再スタートを切る


C-United

東京都港区

友成勇樹社長(58)

1970年の創業から2年後にフランチャイズ展開に着手し、来年FC50周年を迎える老舗カフェチェーン「珈琲館」。今年4月には56年の歴史をもつ「コーヒーハウス・シャノアール」や、セルフサービス業態の「カフェ・ベローチェ」を展開するシャノアールと合併し、新組織C-Unitedの下、新たなスタートを切った。友成勇樹社長に、これまでの歴史を振り返ってもらうとともに、今後の展開について話を聞いた。

(ビジネスチャンス2022年2月号「Top Interview」より)

友成勇樹社長(58)

〝喫茶ブーム〞の中で創業 2年後にFC展開を開始


―「珈琲館」は日本を代表するカフェチェーンの一つとして、フランチャイズ139店を含め、全国で227店を展開されています。

友成 私は2018年にこの任に就いたため、昔のことについてそれほど詳しく知っているわけではないのですが、聞いたところによると、創業当時はいわゆる〝喫茶ブーム〞の

真っただ中だったそうです。〝ファーストウェーブ〞というような言われ方もしますが、マスターがこだわりのコーヒー豆を焙煎して淹れるスタイルが流行し、それに共感した方が脱サラしてお店を開いていた時代です。創業者の真鍋国雄氏は1970年に「珈琲専門店 珈琲館」を個人創業し、2年後に、マナベ珈琲館を設立してフランチャイズ展開を開始しました。


―日本のフランチャイズビジネスは、1960年代初頭にアメリカから導入されました。「珈琲館」がFC展開を始めた頃は、導入からまだ10年しか経っていない時期で、フランチャイズそのものを知らないという方も多かったのではないでしょうか。

友成 そうかもしれませんが、飲食業は素人の方がいきなり始めるのは難しいビジネスです。それもあってか、引き合いは最初からかなりあったそうです。


―1980年代になると、セルフサービスのカフェチェーンが次々に登場します。「ドトールコーヒー」や、「珈琲館」と並ぶ御社の主力業態である「カフェ・ベローチェ」が始まったのもこの頃です。

友成 「カフェ・ベローチェ」は35年前にスタートしました。当時はとにかく低価格のカフェチェーンの勢いがすさまじく、フルサービスのカフェチェーンは店舗を増やすどころ

ではなく、かなり苦戦を強いられていました。フルサービスでの全国展開は非常に難しかったと思います。もっとも、現在、フルサービスで最多の店舗を展開する「コメダ珈琲店」の場合は、いろいろな仕組みを整えた上で一気に全国展開に踏み切ったので、あっという間に大きくなりました。我々は個人オーナーが主体で、なかなか大手の法人を取り込めなかったこともあり、現在では大きく水をあけられています。


―90年代に入ると〝セカンドウェーブ〞が始まります。「スターバックス」や「タリーズコーヒー」といった、アメリカ発祥のカフェチェーンが次々に、日本に上陸しました。そして今は、よりコーヒー豆や焙煎、提供方法などにこだわった〝サードウェーブ〞とわれているようですね。カフェ市場も一気に群雄割拠時代になった印象です。

友成 実は最近、ちょっとした脱サラ的なブームが若い方の中で起きていて、独立して小さなお店を開く人が増えています。ただ、ビジネスとして見た場合、収益性はかなり低いのではないかと思います。小さな店舗で1日10人とか20人のお客様を相手にしているわけですが、〝豆や焙煎などにこだわって美味しいコーヒーを出す〞という部分を主体にしてお店を出しているので、継続は難しそうです。私も仕事柄、いろいろなお店を見ていますが、一生懸命がんばっているけれど、これはビジネス的には長続きしないなと感じるカフェは少なくありません。若いうちはそれでも良いと思っているのかもしれませんが、40代、50代になるととてもではありませんが、続けられませんよね。


―普段からいろいろなカフェを見られるということですが、今、注目しているお店はありますか。

友成 最近、1階部分を別の方に委託してカフェにしている若者向けのホテルがあるのですが、あれは面白いなと思いました。それなりに投資して店舗を作っているのですが、宿泊者でベースとなる売上をしっかり確保できているため、ビジネスとして成り立つわけです。何度か利用しましたが、いつも満席ないしそれに近い状態でした。


―きちんと集客の装置ができているからですね。

友成 いずれにせよ、市場が活性化すること自体は、とても良いことだと考えています。我々の場合は「一杯のコーヒーに心を込めて」という経営ポリシーを大切にし、「コーヒーに600円近く払っても、ほっと一息つける喫茶店が良い」と思っていただける方を少しずつでも増やしていこうと思っています。



良いものはたくさんあるのに活かしきれていなかった旧体制



―「珈琲館」は創業者の真鍋さんが亡くなられた後、UCC上島珈琲の傘下にありました。

友成 奥様が継承されたり、別の方が社長をやっていた時期もあったのですが、創業者のときと比べるといまいちうまくいかず、いよいよビジネス自体が立ち行かなくなりかけたときに、もともとの取引先だったUCCが手を差し伸べてくれたそうです。会社はその時点で解体されたため、約10年間は事業部の一つとして存続していました。


―友成社長は2018年に、現在の主要株主であるロングリーチグルー プから派遣される形で「珈琲館」のトップに就任されました。

友成 ロングリーチグループは事業支援投資会社で、大企業の主流のビジネスではなく、サブ的なビジネスや新規事業の中で日の目を見ていないものを掘り出して投資を行ってい ます。今年の4月には「コーヒーハウス・シャノアール」や「カフェ・ ベローチェ」などを運営するシャノ アールと合併し、C- United として新たな体制で再スタートを切りました。


―ビジネスとして見た場合の「珈琲館」の第一印象はどんなものでしたか。

友成 良いものはたくさんあるけれど、どれも埃を被ってしまっているなという印象でした。例えばホットケーキや炭火珈琲といった常連客に人気の商品も、外に向けたアピール や提供の仕方がいまいちで、新規のお客様の集客に活かすことができていませんでした。我々のお店の主要ターゲットである40歳代のお客様も歳をとるわけですから、常連客だけ を相手にしていたら、売上はどんどん減っていってしまいます。だからこそ常に新しい40歳代の方を受け入れる体制を作っていかなければならない。でもそこがまったくできてい ませんでした。


―老舗は老舗としての価値がある一方で、長くやっているが故に、古い体質から抜け出せないという話はよく聞きます。「珈琲館」の場合、問題の根本的な原因はどこにあったと考えたのでしょうか。

友成 本部が本部としての役割を果たせていなかった、これに尽きると思います。店舗を指導できる体制が整っておらず、そのため経営に四苦八苦しているオーナーは仕方なく、ご自分で考えたオリジナルメニューを提供していました。カフェなのに焼肉定食を出していたお店もありました。極端な話、「珈琲館」に行ったら〝こういう商品でこういうサービスを受けられる〞というブランドイメージがなくなっていたわけです。


―ブランドの再構築に向けた課題は山積みだったのですね。何から手を付けたのでしょうか。

友成 何をするにしても本部がしっかりしていないと始まりません。そこでまず、本部機能の強化から始めました。その一つがスーパーバイザー(SV)のテコ入れです。フランチャイズのSVは、加盟店を巡回して品質、接客、衛生面についての評価を行い、その結果に基づいた指導を行わなければなりませんが、我々のSVは、本部の伝書鳩、あるいはオーナーの小間使いのようなことしかしていませんでした。ビジネスコミュニケーションをとったり、あるいは一緒に次のビジネスプランを考えたりといったことはほとんどやっておらず、 切れた資材を持っていったり、ポップのデザインが悪いと言われて作り直したり、そんなことばかりやっていたのです。年配のオーナーが多く、物を言いづらい雰囲気があったのかもしれませんが、これでは本部の役割を果たしているとは言えません。そこで営業の本部長を外部から招聘して体制を整え、SVの教育も一からやり直しました。人数もかなり増やしました。


―先程、オリジナルのメニューを提供していた店舗もたくさんあったとお話しされていました。

友成 お願いして、いったんオリジナルのメニューの提供はすべてやめてもらいました。これには大反発がありましたし、結果的にうちをやめたオーナーもいました。しかし妥協はできません。そこから約2年かけて4回にわたるテストマーケティングを行い、この7月に、ようやく新しいグランドメニューが全店に導入されました。減らした部分もあれば増やした部分もありますが、全体的に味のレベルは格段に上がったはずです。もちろん、今後も新商品の開発やメニューのリニューアルは継続的に行っていく予定です。あとは提供方法などについても、だいぶ手を加えました。


後半へ続く

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