高論卓説 第一回

清掃業界~業界のキープレイヤーが語る~



清掃業界の偏見を無くしやりがいのある仕事へ

時間当たりの生産性を上げることが重要課題


同じ業界、近しい分野で事業を行うFC本部の経営者同士が本音で語り合う対談企画がスタート。記念すべき第1回のテーマ業種は、「清掃業界」。ゲストはハウスクリーニング業界大手の約1700拠点で「おそうじ本舗」を運営するHITOWAライフパートナー(東京都港区)の見澤直人社長と、ビル清掃FC「Build's」の本部として現在約250拠点のネットワークを組成するアクア(東京都新宿区)の金子正裕社長だ。同じ清掃業界でもハウスクリーニング、ビル清掃とターゲットの違いはあるが、両者が考える課題感は奇しくも似た内容であることが分かった。



見澤 直人社長(44)


HITOWAライフパートナー「おそうじ本舗」
見澤 直人社長(44)みさわ・なおと
1977年9月14日生まれ、大阪府大阪市出身。2001年5月に長谷川興産株式会社(現HITOWAホールディングス)に入社。SV業務などに従事し、18年にHITOWAライフパートナーの代表取締役に就任。20年、HITOWAホールディングスの取締役に就任。現在に至る。

金子 正裕社長(54)

アクア「Build's」
金子 正裕社長(54)かねこ・まさひろ
1968年7月1日生まれ、東京都出身。1990年4月に株式会社武蔵野に入社。ダスキン事業、環境事業、オフィスコーヒー事業で事業責任者を歴任。2005年に株式会社アクアを設立し代表取締役に就任。23年、夢の街創造委員会株式会社(現:株式会社出前館)取締役に就任。現在に至る。


仕事は多いが価格は叩き合い

疲弊する環境からの脱却を


見澤 私は10代から清掃業界で仕事をしていたのですが、23歳の時に現在の前身の会社である長谷川興産の長谷川芳博社長に出会い、入社しました。長谷川社長は何でも仕事を任せてくれたので、現場業務をはじめ、SVや支店の立ち上げなど様々な業務を経験することができました。おそうじ本舗では現在、ハウスクリーニングに重点を置いたサービスを提供しています。私の代から〝一番身近な生活支援アドバイザー〞という事業理念を新しく加え、家の困りごとに何でも対応できるようにサービスの幅を広げています。


金子 私は元々、ダスキンの加盟店事業を行っていた武蔵野という会社で年間働いた後、同社が展開していた宅配水の「アクアクララ」事業を買い取る形で独立し、アクアを設立しました。清掃と何の関係もなかったのですが、ある日、友人の不動産管理会社の社長から、「うちの物件の清掃に入っている会社が潰れてしまうので、そのまま引き継いでくれないか?」と声を掛けられ、ビル清掃事業を始めたのです。当社はビル清掃というBBの業種ですが、加盟オーナーが希望する売上を本部が開拓する「売上保証」や「営業代行」を強みにしています。



見澤 この業界って仕事のボリュームはあるのですが、価格の叩き合いになりますよね。私たちも以前はビルメンテナンス、空き巣の原状復帰などもしていたのですが、別会社が1万円と提示したらこっちは9000円、するとまた向こうが8500円と下げ合いが始まり、低単価に耐えられる方が仕事を取っていく世界。信頼関係のできたお客さまでも、翌年には価格だけで簡単に別の会社に乗り換えてしまうので、金子社長がされているBtoBならではの定期的な仕事の取り方が必要だと思います。また、私は10代の時からこの清掃業界にいて〝掃除屋の地位の低さ〞を感じました。鳶や電気屋など他の職人が現場で優先され、ワックスを塗った後に、彼らに土足で踏まれてやり直したこともありました。その時に「こういう世界なんだな」と。


金子 それは本当に屈辱的な話ですね。私たちは清掃業界のそういった偏見を本当に変えていきたいと思っています。日用清掃は短時間労働という特性があるため、これまでご年配の方しか集まってこなかったですが、私たちは若くてやる気のある人の方が、むしろ真剣に打ち込める仕事だと思っています。加盟オーナーにもっと輝いてもらうために、私たちは加盟オーナーをもっとクローズアップしたり、上手く見せたりしないといけませんね。


見澤 BtoCはビル清掃に比べて、サービスの付加価値を付けやすい点はあると思います。エアコン分解にしても分解の仕方は色々ありますし、コーティングや除菌剤の種類もいっぱいあります。ただ我々の自己満足になってしまいがちなので、消費者に対しては、私たちのサービスには圧倒的な技術力があることを伝えていくよう意識しています。現在エアコンが最後の最後までどこまで分解できるか研究を重ねていて、技術に突き抜けていこうと取り組んでいます。技術を上げて1万1000円だった対価を1万3000円に上げていく世界を作っていくことが目標です。本部が生産性を手助け加盟店は〝ありがとう〞集めやりがいに



金子 私たちにはBtoCにはない強みがあって、それは潜在ニーズに我々からアプローチができることです。お客さまはビル清掃について、「清掃員が喋ってる」「トイレが水浸し」など、業者を変えるまではいかないけど、断片的な不満要素を持っていることが多いです。ですから私たちがそこに真剣に向き合えば、時間当たりの生産性が高いので「ビルズの方がいいね」と言ってもらえます。加盟店に対しても、この生産性の高さを強みとして提供しています。私たちが本当に目指しているものは、朝6時から夕方4時までの間に短時間労働のものを集めて、どれだけマネタイズできるポイントを作るかということです。我々にとって一番のコストは加盟オーナーの移動時間なので、これを無くして一人当たりの稼働面積をもっと狭くしたいのです。


見澤 私たちは今2万世帯5万人を一つの商圏として設定していますが、そこから来る依頼は点々としていて、行くのに30分〜1時間かけています。金子社長が仰る通りもっと生産性を突き詰めていくことが必要です。将来的にはGPSを使って、どのルートだったら何分で行けるか最適解を出して、1時間当たりの単価を高めようと考えています。


金子 加盟オーナーの収入を安定的にどう増やすか追究していくことが、結果としてオーナーのやりがいになると思うのです。やりがいは、〝ありがとう〞と言われること。ですから、お客さまがあなたをいかに評価しているかフィードバックしていくことが必要だと考えています。今我々がお客さまに取材に行って、その声を加盟オーナーに届ける取り組みを始めています。誰かが評価しないとこの業界のサービス自体の地位が上がっていきません。〝ありがとう〞をどんどん加盟オーナーに聞こえるようにしていきたいですね。


見澤 FCの良いところって、加盟オーナーさんが自営業者として自分の顏で商売をやっていることですよね。私たちの加盟オーナーもやはり〝ありがとう〞にモチベートしているので、一時期加盟店のスケールを大きくするよう進めていましたが、今は店舗の拡大というより、加盟オーナー一人当たりの収益性を上げていくようシフトしています。加盟オーナーが現場に集中できる体制を築くことに、今後さらに力を入れていく予定です。




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