【後編】あらゆるサービスがつながる「ひとつのBOOKOFF」実現へ/ブックオフ


ブックオフグループホールディングス

神奈川県相模原市

堀内 康隆 社長(45)



画期的なチェーン型新古書店を確立させ、30年を経たブックオフが、今、大きく変わろうとしている。大型複合店「ブックオフスーパーバザー」の展開による“本だけじゃない”総合リユース業の強化に加え、ECサイト「ブックオフオンライン」でデジタル化を本格推進。全国800店のリアル店舗との連携を図り、グループの総力戦「ひとつのBOOKOFF」構想を進めている。さらに海外への展開も強め、世界にサーキュラーエコノミーを構築する計画だ。ホールディング社長就任から3年を迎えた、堀内康隆社長に話を聞いた。

(ビジネスチャンス2022年2月号「Top Interview」より)

前編はこちら

 

堀内 康隆 社長(45)

Profile◉ほりうち・やすたか

1976年4月生、東京都出身。99年に慶応義塾大学経済学部卒業後、中央クーパース&ライブランドコンサルティング(当時)に入社。トーマツコンサルティング(現デロイトトー マツコンサルティング)を経て、2006年3月にブックオフコーポレーション入社。13年4月に同社取締役執行役員、15年4月にブックオフオンライン代表取締役社長、17年4月 に同社代表取締役社長(現任)、18年10月HD代表取締役社長就任(現任)。

 

今から7年前の2014年、同社はヤフーと資本・業務提携を締結。ネットとリアルをつなぐ〝リユース革命〞を目指した大型提携とマーケットで大いに注目を集めたが、4年後には資本提携を解消している。一方で、ブックオフのEC事業への取り組みはもっと早く、それ以前の2007年の「ブックオフオンライン」から始まっていた。

 

3人に1人は「ついで買い」

オンラインが店舗の収益に


――ブックオフのEC事業は、結構歴史がありますね。堀内社長ご自身も2015年に「ブックオフオンライン」社長に就かれましたが、当時はまだ十分な稼働に至っていなかったのですか?

堀内 稼働していて、収益も出ていたのですけれども、大々的にプロモーションはしていなかったので、知る人ぞ知るサービスみたいな感じでした。


――店舗から見れば、連携がなかったというか、連携したくなかったのかもしれませんね。自分の店の近くに住んでいるお客さんがオンラインに商品を売ったり、そこから買ってしまったらライバルになりますからね。

堀内 「敵」みたいな感じでしょうか。加盟店様はもっとそれが強かったです。「上空侵犯だ!」みたいな(笑)


――「ひとつのブックオフ」構想を掲げたのは2018年で、3年経ちますが、その後そういった社内の文化は変わってきましたか。

堀内 だいぶ変わってきたと思います。直営店も加盟店様も店舗の人達の視野が広がっている感じがしますね。


――アプリには420万点の商品が掲載されていますが、店舗の在庫の全てが載っているわけではない。店舗はどういう基準で登録しているのですか。

堀内 店舗は買い取った時点でマスターデータで「ネットに出品する基準」を決めることができます。例えば、「買い取ったらすぐ出す」設定もできますが、基本は一定単価以上で、 全国の在庫数がだぶつかないものを推奨というかたちにしていまして、それを各店舗が設定すると自動的にオンラインに出ます。商材ではソフトメディアが圧倒的に多いですね。


――現在、アプリ会員350万人を2年で600万人に増やす目標です。これによって既存店はどのように活性化されるのでしょう。

堀内 一つは、今までは各店舗が自分のお店の中の商品だけで勝負していました。ところが、神奈川県横浜市の瀬谷の物流センターから商品を届ける、店舗受け取りサービスが入ることによって、要は100坪の店舗だけど、バックヤードに300万冊の在庫があるブックオフに様変わりしているのです。

ブックオフオンラインのバックヤード


――店にとって、それはインパクトが大きいですね。一方、顧客は、オンラインで見て「これが欲しい」となったら、自宅への配送か、家の近所の店舗に届けてもらうようにできるのですね。

堀内 自宅配送は1500円以上は送料無料なのですが、それ以外だと今は368円かかります。店舗受け取りは、基本は送料無料ですので、アプリ会員のネット注文の6割が店舗受け取りを選択します。さらにその6人の方が店舗にいらっしゃったら、3人に1人は「ついで買い」されるのです。


――まさにネットが、集客装置、さらに販促効果の役割を果たすわけですね。

堀内 私たちが目指している「ひとつのBOOKOFF構想」の1つのドライバは、本を読みたいと思った時に「ブックオフ」に行くのはやっぱりハードルが高い。そこで「あるかな?」とまず、ネットに入るのですね。「あった!」となれば注文して店舗に取りに行って、店舗に行ったならば何かしら手に取る…このサイクルを作り上げていこう、というのが根本にあります。


――会員が増えてサイクルが回り出し成熟していくと、既存店にとってはオンラインとの連携が、集客や購買促進、さらにはデータ分析と、メリットが大きそうです。

堀内 これからの構想になりますが、今まであまりデータを活用したマーケティングを行っていなかったのですね。例えば嵐のDVDを買った方に3ヶ月後「今、あなたに売っても らったらちょっと高く買いますよ」とか「嵐のDVDがよかったら、キスマイ(Kis‐My‐Ft2)も買いませんか?」など関連づけたコミュニケーションというものが今まで できていなくて、嵐のDVDを買った人にも「新書が20%オフなので買いませんか?」みたいなクーポンが届くコミュニケーションミスマッチが起きていました。そういうところをもう少しターゲットを絞った個人コミュニケーションが深くできるようになるのが、次のステージだと思っています。


 

ブックオフチェーン全体で年間約3億点の買取りがあり、そのうち販売されるのは約2億点。残りの1億点は「ロス」となるが、主となる本は古紙としてリサイクルされる。また最近は、日本で販売に至らなかった商品をマレーシアに輸出を始めている。「Jalan Jalan Japan (JJJ)」は、2016年11月の1号店を皮きりに、マレーシアで8店舗展開している。


 


グループ総力戦で、便利なリユースサービスを世界で提供


――マレーシアの店舗は好調のようですね。

堀内 非常に反響が強く、日本の店舗よりも稼ぎが良いのです。特におもちゃ類とか、ポケモンの食玩やガチャガチャみたいなものが飛ぶように売れます。マレーシア国内だけで8店舗なのですが、20店舗規模にしようとしています。さらに現地法人と組んだ加盟店モデルを、中央アジアやアフリカなど、まだまだこれから発展していくような国で、日本に関心の高い国に中古品やリユース品だけれども、物として活用できるものを持参し積極的に店舗を作っていく。我々の日本国内での消費、買取りの力で、本当に多くの方に商品を届けられるという世界を作って行きたいと思っています。

マレーシアの「JJJ 」KIP Mall 店


――国内のリユース業界もメルカリさんのようなものすごく大きな新しい流れが出てきました。圧倒的な知名度96%を誇る御社ですが、今後のマーケットでよりポジションを強固 にしていく戦略は。

堀内 今、一番こだわっているのは、ブックオフというビジネスのチェーンだけをあまりフォーカスするのではなく、グループ全体としてどれだけ多くの人に商品を届けられるか、 ということ。その起点になるのがブックオフだと考えています。


――社長就任時のもう1つの基本戦略の柱が「個店を磨く」ですね。

堀内 ブックオフは、もともと自分たちで買い取ったもので店づくりをするべきはずだったのですが、いつからか本部が「家電をやる」と方針を出したら、店舗が怒られたくないと「売り場を10棚用意する」みたいに動いていまして…。リユースビジネスとはそもそも「個店を磨く」ところがスタートだと、原点回帰のキーワードとして挙げました。


――個店ごとに品揃えなどに個性が あるのが、リユース業の魅力ですか らね。

堀内 例えば静岡県の海岸線の店だったらサーフボードを入れるとか、子供が多いお店だったらおもちゃをやるとか。それぞれが方針書を作ってやることでリユースビジネスの原 点回帰をするという。やはり、個店の力があって、ブランドが高まって、利便性という意味での総力戦の「ひとつのBOOKOFF」とこの二つがうまくかみ合ってここまで来た、 と思っています。


――「両利き経営」みたいなかたちですね。両方が必要だと。

堀内 おっしゃる通りで、ちょっと欲張ってはいるのですが、そういうやり方じゃないとお客様が付いてこない。自分たちの論理でやっていたところをお客様目線を少しずつ入れていく、今はそういう取り組みをしています。

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