現役世代の需要掘り起こした24時間マシン特化型ジム/エニタイムフィットネス

初出店からわずか12年で1000店舗を突破


Fast Fitness Japan

東京都新宿区

土屋敦之社長(54)



Fast Fitness Japanは、「ヘルシアプレイスをすべての人々へ!」という企業理念のもと、マシントレーニングに特化した24時間型スポーツジム「エニタイムフィットネス」(以下:エニタイム)を日本でFC展開している。現在国内で展開する店舗数は1002店舗(2022年3月末時点)で、その前の3期だけで見ても502店・736店・907店と急拡大している。これは同規模の店舗数で展開するコメダやワークマンの年間平均40~50店舗出店と比較しても2倍以上の出店数だ。なぜエニタイムは拡大を続けられるのか。躍進の理由を土屋敦之社長に聞いた。

(「ビジネスチャンス」2022年6月号【Top Interview】より)



土屋敦之社長(54)

PROFILE:つちや・あつゆき

1967年生まれ、長野県出身。91年野村不動産入社。2010年ファストフィットネスジャパン取締役、AFJ Project取締役。12年ファストフィットネスジャパン代表取締役副社長、AFJ Project代表取締役副社長。17年ファストフィットネスジャパン代表取締役社長営業本部長、AFJ Project代表取締役社長営業本部長。18年ファストフィットネスジャパン代表取締役社長(現任)、AFJ Project代表取締役社長(現任)。


 

エニタイムは、2002年にアメリカのミネアポリスで産声を上げた世界初の24時間マシンジム特化型フィットネスジムだ。現在は全世界で約5000店舗以上を展開しており、総合型スポーツクラブのようなプールやスタジオなどは持たず、トレーニングマシンに特化している。会員になると専用のキーが渡され、それによって世界のすべての店舗を相互利用することができる。日本では2010年に東京・調布に1号店を出店し、現在は全国47都道府県で1002店舗を出店。これは北米を除いたエニタイムの中ではナンバーワンの数である。

 


世界でも珍しい直営店舗の出店

日本ならではのFC契約形態



――全国1002店舗のエニタイムの内、165店舗(約16%)が直営店舗です。直営とFCの両方で展開する形態は、他国のエニタイムでも行われているのですか。

土屋 いいえ、アメリカ含め海外では直営店舗を持っているところはほとんどありません。エニタイムは元々フランチャイズビジネスとして始まったので、日本のエニタイムは独特の形態ですね。アメリカ本社から「直営をやるなら別会社にしてほしい」と要請されたので、日本では当社の子会社であるAFJProjectが、メガFCのような形で直営店全体を統括しています。


――アメリカ本社からも、直営とFCの二形態が認められていると。

土屋 コロナ前に、アメリカで行われた各国のマスターフランチャイジーが集まるサミットに行った時、日本では直営店を作ることが成功の鍵であると認めてもらえました。店舗数が増えるのであれば、そういった選択肢があってもよいと捉えてもらっています。


――なぜ、日本では直営店が必要だったのですか。

土屋 アメリカでFC契約をする場合は、まずエニタイムのビジネスモデルをオーナーに説明した後、出店できるエリアの権利を販売します。しかし私は、日本で他業種がその方法でFCを募ったところ上手くいかなかった事例を知っていました。そこでまずは直営店を作って実績を知ってもらい、その後FCオーナーと契約することにしたのです。そしてFC加盟契約は、必ず物件契約と同時に行うことにしました。そうすることでオーナーも店舗の家賃が発生するため、結果的にFCオーナーとのファーストコンタクトから開業までの期間が早まり、半年ほどで新店舗を開店できる体制になりました。


 

エニタイムの会員数は2021年12月末で62・2万人。その内20〜40代が約9割を占め、さらにその中の8割弱が男性となっている。この「現役世代」を囲い込んだのが、同社成功の大きな要因だ。そこには、前職で総合型スポーツクラブチェーンの執行役員を務めた土屋社長だからこそ感じた危機感があらわれていた。


 


スポーツジムの高齢化に危機感

2号店目の成功で大きな手応え



――土屋社長は元々、大手スポーツクラブの運営会社にいらっしゃったということですが、幅広い年代の層を顧客とする総合型スポーツクラブとは異なり、エニタイムは利用対象者層が明確です。

土屋 私が前職に在籍していた時は団塊の世代がリタイアする時期だったので、総合型スポーツクラブがその層を獲得しようとサービスを中高年にシフトしていっていました。ただ同時に、「総合型スポーツクラブは若い世代が行くところではなくなってしまう。今後どうなるだろう」という危機感を強く持ったのです。


――だからこそ、エニタイムは最初から現役世代を対象に狙っていった。

土屋 いや、最初からターゲットが分かっていれば苦労しません(笑)。2010年10月に出店した1号店の調布と翌年4月にオープンした東京・赤坂アークヒルズ店、そしてFC1号店の神戸・高速長田店を出店したところで、会員の属性を調べてみたのです。そうしたら各店舗とも7対3で男性が多く、20代から40代が8割以上を占めているという結果が出ました。「現代の日本では、この層の人たちがエニタイムを評価してくれているんだなぁ」と思いました。だったらそういう人たちがいる場所に出店していこうと。


――24時間マシンジム特化型という前例がない中、マーケティングなどはどのように行っていったのですか。

土屋 1号店の調布店は自宅に近く、何かあっても30分程度で駆けつけることができる場所でした。また前職のスポーツクラブが調布にあり、非常に集客が良かったことから、調布はフィットネスに理解のあるエリアと考えたのです。総合型スポーツクラブは元々、建物や設備、マシンなどの施設に投資して人を集めるという〝装置産業〞として始まっています。でも我々は1号店を作る時から、エニタイムを〝サービス業〞としてやっていくことが重要だと思い、夜間の人がいない中でもどうやってサービスを展開していけるかを考えていきました。


――会費や収益モデルといったビジネスパッケージは、どのように決めたのですか。

土屋 FC展開することが前提なので、まずは初期投資が3年で回収できる会費であること。また当然、総合型スポーツクラブより安くなくてはいけない。1号店出店にあたり、あるフィットネス専門雑誌の記事を参考に、会費は周囲のスポーツクラブの7掛けの額にしようと決めました。前職のスポーツクラブは平均単価が8000円だったので、1号店の会費は5500円くらいに設定したのです。またこの業態は変動費が少ないので、経費の中に占める家賃の割合がある程度想定できます。ですから当初は、その店舗で取れるであろう会員数から逆算して家賃の額を決め、当てはまる物件を探して店舗開発をしてきました。


――2号店の東京・赤坂アークヒルズ店は非常に家賃も高額だったと思いますが、それでも会員は集まると。

土屋 正直、集客できるかが一番の心配事でした。アークヒルズは家賃が調布店の約2・5倍だったので、会費も調布店の5500円から8500円に引き上げました。しかしその値段にも関わらずしっかりと集客ができ、オープン前で既にWEB入会者が200名を超え、会員500名への到達はむしろ調布店よりも早かった。このアークヒルズ店の成功で、場所によって会費を変えられること、またオープン前の販促方法がある程度見えてきたので、これでいけると手応えを感じたのです。


――エニタイムはどの店舗も24時間営業で、専用のキーをかざすだけで入退場が可能。また総合型スポーツクラブと異なり、土足でも入店できる。ほかにも室内には約20台のカメラを常時設置し、警備会社と連携してセキュリティ対策をしている……など、パッケージがしっかりと定まっていますね。ただ元がアメリカのパッケージということで、そのまま日本ですんなり浸透できたのでしょうか。

土屋 当社が日本で展開する上で、海外ではトイレとシャワーが男女兼用のところを、日本では当初から男女別に分けました。また海外では、スタッフがいる昼の時間帯はジムの鍵を開けていますが、日本では開けっ放しにせず鍵で開け閉めするようにしました。日本はエンドユーザーのマインドが海外と少し違う。24時間で無人営業時間帯もあるので、安心感を持たせるためにほとんどの店舗でそうしています。


日本では直営出店も積極的


(後編へつづく)

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