自社ブランドとFCの両輪で店舗を展開


多業態化により社員のモチベーションを高める/ファイブグループ


ファイブグループ

東京都武蔵野市

坂本 憲史社長(48)



自社ブランドを軸に、さまざまな業態の飲食店を運営する外食企業、ファイブグループ(東京都武蔵野市)。「串カツ田中」や「ダンダダン酒場」「ゴンチャ」といったFCブランドにも加盟し、一方で「スパゲッティーのパンチョ」のFC展開にも乗り出すなど、積極的な事業展開を見せる。グループを牽引する坂本憲史社長を直撃した。

(ビジネスチャンス12月号より)

 

坂本 憲史社長(48)

Profile◉さかもと・けんじ(48)

1973年生まれ。東京都出身。大学卒業後、大手飲食企業に就職し、店長職などを経験。のちに個人経営の飲食店で現場経験を積み、30歳で独立しファイブグループを設立。FC店からスタートし、現在、115店舗を運営する外食企業を作り上げた。

 

起業リスクを抑えるため 1号店はFCに加盟


―自社ブランド22業態とFCブランド6業態で、合計115店舗を運営されています。

坂本 自社ブランドには居酒屋と定食、大きく2つの業態があります。前者は、焼き鳥や豚料理が中心の「とりとん」をはじめ15業態、後者はFC展開も行っている「スパゲッティーのパンチョ」を含め、7つのブランドを運営しています。また、これらとは別に、6つのフランチャイズにも加盟しています。


―多くの店舗を運営されていますが、昨年から続くコロナ禍で業績は大きな影響を受けているのではないでしょうか。

坂本 もともとグループ全体で118億円の売上がありましたが、コロナ禍で70億円程度までに下がりました。ただ、状況は厳しいですが、定食関係のお店は何とか売上を上げることができているので、周りと比べればいく分、マシなのかもしれません。


―坂本社長は起業される前、大手飲食企業に務めておられたそうですね。

坂本 大学卒業後、5年半ほど店長職などを経験させてもらいました。もともと、将来は独立して飲食関係のお店をやりたいと思っていたので、 辞めた後は個人経営の和食料理店やバー、ラーメン店などで現場経験を積み、2003年に30歳で独立しました。


―現在の陣容は自社ブランドが中心ですが、最初はフランチャイズからスタートしたそうですね。これにはどんな意図があったのでしょうか。

坂本 社会人になって以降、いろいろな業態の仕事を経験しましたが、 肝心の開業についてはまったく未知のままでした。自分の好きなものをやりたいという想いはありましたが、 どこに、どんなリスクが潜んでいるか分からない状態で、いきなりそれをやるのはいくら何でも無謀だと思い、それで最初はフランチャイズで加盟することにしました。

1号店として選んだのは「半兵ヱ」という大衆居酒屋のフランチャイズで、これは予想以上にうまくいきました。おかげで、会社の売上基盤が整い、2店目からオリジナル業態の出店にチャレンジできるようになりました。


―現在、22業態の自社ブランドを運営されています。一つのブランドを多店舗化するのと比べて、いろいろと手間がかかり非効率な部分も多いのではないでしょうか。

坂本 非常に非効率なやり方であることは間違いありません。僕自身、 もともとカフェのチェーン店に居たわけですから、チェーンの効率の良さというのは、間近で見て分かっています。それなのになぜ、あえて多業態化を進めているのかというと、効率を捨てても取りたいものがあったからなんです。


―それはいったい何でしょうか。

働くスタッフのモチベーションを高める多業態化

坂本 いろいろな業態をもつことの最大のメリットは、責任者を多く置けるということだと思うんですね。 一業態しかないと、どうしても縦の組織になってしまい、下の人が上の役職の人を超えるということがなかなかできません。優秀な人の評価がしづらいんですね。もちろん、事業として安定しやすいという側面はあります。ただ、同じ作業の繰り返しになってしまうので、新しい発想はなかなか生まれません。しかし、業態をたくさん作っておけば、みんなにチャンスが生まれます。当然、仕事に対するモチベーションも高まります。今、うちのグループでは業態ごとに責任者を置いていますが、みんなそれぞれクリエイティブな発想で仕事に取り組んでいますし、当然、日々成長もしています。最近は、社員からも業態のアイディアが出てくるようになりました。とにかく、そういう自由というか、やりがいのある社風にするために、あえていろいろな業態を運営するようにしています。


―コロナ禍では、多業態化していたことが、結果的にリスクヘッジにも繋がりました。

坂本 もちろん、その点についても考えながら業態を増やしてきてはいました。過去を振り返っても狂牛病があったり鳥インフルエンザがあったりと、全部がまんべんなく良い時期というのはなかなかありませんでした。常に何かしら問題が起こる可能性はあるわけですから、複数業態をもつことは大事だと思います。



新事業の店舗向け システム販売にも着手



―積極的に自社ブランドの開発を行う一方、起業直後に加盟した「半兵ヱ」以外にも、いくつかFCに加盟されています。

坂本 先程も話したように、最初にFCに加盟したのは、リスクを最小限に抑えたいという気持ちがあったからです。収益基盤が整って以降は、FCに加盟するつもりはありませんでした。それがなぜ、再びFCに加盟するようになったのかというと、自社ブランド作りの壁にぶつかったからです。いくら見た目やコンセプトを変えて違う業態を作っても、結局、傍から見ると、どこの会社がやっているのかはわかってしまうんですよね。やっている本人達は気付かないのですが、社風とか雰囲気みたいなものが出ているんでしょうね。そうなると、新しいものを作ってるつもりでも、同じようなものしかできなくなってしまう。これは良くないなと思い、FC加盟という選択肢ももつようにしました。FCであれば、やり方を含めてまったく違うものを採り入れられるので、刺激にもなるし、新たな業態開発にも活かせ るなと思いました。FCに加盟することに対しては、社内から相当反対の声が上がりましたが、売上的にも成功しましたし、多くのことを学ぶこともできました。


―店舗の分布を見てみると、いくつかのエリアの中で集中的に出店されています。

坂本 戦略的に、なるべくドミナント出店するようにしています。その方がいろいろな面で効率が良いですし、特に人の面において大きなメリットがあるからです。アルバイトスタッフを店舗間で共有することもできますし、新店を出した際の社員の異動も、短い距離の中で行うことができます。今は業態ごとに担当を置く形になっている関係で、エリアをまたぐ異動がないわけではありませんが、いずれはエリア単位で担当を置く形に変えて、特定のエリア内で動けば済むようにしたいと思っています。その方が、いろいろな業態を経験できますし、例えば家を持ちやすいですからね。


―数ある自社ブランドの中で、唯一「スパゲッティのパンチョ」だけはフランチャイズ展開されています。

坂本 もともとやるつもりはなかったのですが、現在の担当責任者から 「フランチャイズ化して、広範囲に影響を与えられるようなビジネスにしたい」という意見が出たため、FC化のゴーサインを出しました。現在、傘下のB級グルメ研究所が主体となって動いています。そういう見が出たこと自体、僕としてはすごく嬉しかったですね。


スパゲッティのパンチョ

―FC店の出店立地については、 かなり厳選しているという話を聞き ました。

坂本 僕としては、FC店が失敗する姿を絶対に見たくないんです。だから、直営店舗と同じくらい儲かるような場所でないと、絶対に出店を認めないようにしています。今は10件に1件決まるか決まらないかの割合です。だから加盟希望はたくさんあるのですが、なかなか店舗が増えません(笑)


―新たな事業として、飲食店向けのシステムの販売も始まったそうですね。

坂本 もともと社内で回すために作っていたものなのですが、昨年から続く新型コロナウイルスの影響でグループ全体の売上がかなり落ち込んだため、売れるものは何でも売ろうということになり、外販を始めました。飲食店の現場から生まれたシステムということもあり、かなり高い評価を頂いています。今はきちんと事業化してやっています。


―どのようなシステムなのでしょうか。

坂本 簡単に言うと、LINEを使ったコミュニケーションツールとワークアプリケーションです。情報伝達をスムーズに行えるほか、スタッフに対してアンケートを行ったりすることもできます。そうやって収集したデータをグラフやランキングにして業態ごとの責任者や店長たちで共有することもできます。今後、飲食事業と両輪でやっていくつもりです。

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