SNS通じた「インフルエンサーマーケティング」特化 年間120%成長で早期に売上高100億円を目指す

サイバー・バズ(東京都渋谷区)


インスタグラム・ツイッター・ブログなどのSNSを通じた「インフルエンサーマーケティング」なるビジネスで、9月19日に東証マザーズへ上場を果たしたサイバー・バズ(東京都渋谷区)。初値は公募価格の2300円を上回る4000円をつけ、当日は3720円で引けた。「市場の期待をひしひしと感じた。身が引き締まる思い」と同社の高村彰典社長は公開初日の感想を語った。(※2020年2月号より)



高村 彰典 社長(45)

たかむら・あきのり

1974年生まれ。岡山県出身。青山学院大学大学経営学部卒業後、興和を経て、1999年サイバーエージェントに入社。2005年12月に同社の取締役に就任。2010年同社執行役員就任と同時にサイバー・バズ代表取締役就任。



売上高28億6400万円見込む


「上場から約2ヶ月経ちましたが、その間、企業からの広告の問い合わせが増えたのと、採用面では中途採用募集に多く応募がありました。上場の目的のひとつに優秀な人材獲得を挙げていましたので、計画通りといったところです」と高村彰典社長は話す。

2018年9月期の売上高は24億4600万円で、営業利益が2億3300万円、今期は売上高28億6400万円、営業利益3億6300万円を見込む。

同社が展開している「インフルエンサーマーケティング」とは、インスタグラムやツイッター、フェイスブック、ブログといったSNSで、社会的に影響力を持っている人物(インフルエンサー)を介して、企業の商品やサービスをPRする手法。統計によれば20代女性の約52%が「購買や行為形成に影響を与える人」として、インスタグラマーやユーチューバーなどのインフルエンサーを挙げている。

「これまで企業は、テレビや雑誌といったマスメディアを通じて商品を宣伝してきました。しかし、スマートフォンの登場やソーシャルメディアの普及で個人のメディア化が進み、誰でも影響力を発揮できるようになったのです。今では一般の人でも数万人のフォロワーがいることも珍しくありません。そうなると、彼らを通じて商品をピンポイントでアピールするという流れは自然でしょう」

「インフルエンサーマーケティング」の市場性は、2019年現在、約267億円で、同社のシェアは約10%。市場全体では今後10年間で約3・5倍に拡大するといわれている。

同社は2006年、ネット広告最大手のサイバーエージェント子会社としてスタートを切った。 

高村社長は大学卒業後、商社でウェブ関連事業に従事していたが、青山学院大学の先輩であるサイバーエージェントの藤田晋社長から誘われて、創業間もない同社に転職、2005年から5年間役員を務めていた。その間立ち上げに参画していたのがサイバー・バズだった。 

「当初はブログをマネタイズさせるビジネスを展開していました。しかし、2010年社長に就任した頃、スマートフォンの普及とともにツイッターやフェイスブックなどのSNSが登場した。個人が世間に情報を発信できる素地ができたのです。そこでSNSに特化したビジネスを開始し、2013年に独立を果たしました」


化粧品・アメニティ業界が70%占める


同社の主なビジネスモデルは、クライアントから商品の提供やイベントを招待してもらい、「NINARY」「Ripre」「ポチカム」「glamfirst」といったサービスを通じてインフルエンサーがSNSに投稿する。「クライアント企業からの広告費が収益源です。一方で、『NINARY』の場合は、インフルエンサーにその時点でのフォロワー数に応じて1フォロワーにつき、1円~2円の報酬を支払うという仕組みです」

同社のビジネスの強みは、インフルエンサーを会員化していること。その数はサービス内容によって異なるものの、数1000~数10万人にも及ぶ。このため企業のニーズに合ったインフルエンサーをピックアップしやすいのだ。インフルエンサーは、自ら応募してくるケースがほとんどだが、同社がスカウトするケースもあるという。

女性が中心ということで、クライアント企業は、花王や資生堂など化粧品・アメニティ業界が中心。売り上げの70%程度を占めている。

「現在、国内の化粧品メーカー上位30社のうち24社との取引があります。実は化粧品やアメニティメーカーの広告出稿費用は年間4000億円以上で、もっとも多い業種なのです」

同社のビジネスのもう一つの柱になるのが、SNSアカウント運用事業だ。

「これは企業からアカウント制作と運用を請け負うもので、前年比196%以上の伸びを示しています。この領域はまだまだ伸びる余地は大きい。実際、ホームページの開設率はここ数年ほぼ横ばいなのに対して、SNS活用率は年々上昇しています。企業もSNSを活用することでフォロワーを増やし、商品をアピールし販売に繋げていきたいと考えている。

もっとも、自社で効果のあるSNS運用のノウハウは持ってない。そこで当社の出番となるわけです」

新たに開始した「to buy 」サービスは、大きな可能性を感じているという。

これは、インフルエンサーとeコマースを掛け合わせた販売手法で、「インフルエンサーが記事を書いた商品をサイトにアップし、それをみたユーザーがアマゾンや楽天のページから商品を購入する。すると当社にフィーが入るというモデルです。このビジネスは私が知っている限りでは、アメリカにはありますが日本では大々的に展開している企業はありませんので、先行者優位にあります」

今いる会員女性が年を取り、経済的に余裕ができるか、結婚するなどによって商品は変わってくる。高村社長は更なる業種拡大に期待を寄せる。

「SNSにしても、今中心になのはインスタグラムですが、今後TikTokなど新たなメディアが普及すれば、インフルエンサーが移行し、このビジネスモデル自体は大きく変わることはないでしょう」

SNSの浸透とともにインフルエンサーマーケティングの市場は大きくなるとみられる。「比例してアカウント運用の需要や新たなビジネス領域が広がっていくと期待しています。現在、当社は大手企業との取引が中心ですが、このノウハウをもとに、準大手・中堅企業へと顧客層を広げていきたいと考えています」

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