食材から厨房機器・食器までラインナップ、売買サイトの流通総額は56億500万円

Mマート 東京都新宿区


村橋 孝嶺 社長(82)


PROFILE むらはし・こうれい

1936年生まれ。東京都出身。別府市観光喫茶田園、バッキンガム、丸和実業、まつ里を経て、2000年Mマートを設立。2018年2月同社を上場に導く。


2000年から食材・食器・厨房機器など飲食店に特化したインターネットマーケットプレイスを運営しているMマート(東京都新宿区)。昨年2月には東証マザーズ上場を果たした。同社を率いる村橋孝嶺社長は、長年飲食店を経営したのち、64歳で同社を起業、上場時は81歳ということで話題となった。老當益壮を地で行く村橋社長の次なる事業戦略とは。



─飲食業に特化したBtoBマーケットプレイスの運営で、昨年上場を果たしました。食材を扱う「Mマート」、食器・厨房機器等を扱う「Bnet」、食材以外の商品を扱う「ソクハン」、それぞれの出店数と流通額が毎年伸長しています。


村橋 当社全体の売上規模は、6億5500万円、来期は7億4700万円を見込んでいます。昨年度の総流通金額で言えば、56億5500万円、主力の「Mマート」は出店数900店で、売り上げ高4億3500万円、「Bnet」は230店で8800万円、「ソクハン」は4800店で1億2300万円です。


─買い手となる会員も10万店を突破しました。


村橋 一昨年に大台を超えまして、現在は、12万2002店です。もちろん退店もありますが、毎月1000店程新規会員が増えています。最近はホテル、旅館などの宿泊施設も増えてきました。インバウンド増加に伴ってイスラム圏の人が食べられる食材、ハラル認証を受けた食など、ニーズは多様化しています。


─売り手はサイトへ出店することで、人件費含めた販管費削減ができ、その分通常価格より安く販売できる。買い手はその安価な商品を、必要なときに必要な分だけ仕入れることができます。


村橋 実際、当サイトでは、リアル店舗と比べても価格は15%~20%安い。また仕入れに関わる業務負担も減らすことができる。もちろん、何万という商品から自由に比較検討ができます。


─事業規模の推移をみると、2010年から2011年にかけて流通金額が倍増しています。


村橋 「ソクハン」を開設したのが2009年、これまでは食品のみを扱ってきましたが、扱い品目が増えることによって、知名度も上がり利用していただくケースが増えました。以降、新たなサービス開始と比例して右肩上がりになっています。


─会員が増えれば、出店社も販売機会が増える。


村橋 ますます好循環が生まれる。


─飲食店向けBtoBマーケットプレイスは、同じく上場会社のインフォマートが先行してきました。Mマート含めて業界では2強体制が続いています。


村橋 ネット業界を俯瞰してみると、ほとんど2社しか残っていないのが現状です。例えばBtoCでいえば、アマゾンと楽天、飲食店向けBtoBでは、インフォマートと当社でしょう。もちろん先行者によるアドバンテージはありますが、利用者はいくつかあるサイトを比較して使いやすいところに集中する。インフォマートとは、当社の方が中小企業が多いということを含めて、性格が異なります。利用者はその点を棲み分けていただいているようです。


─この7月より新たなサービスを開始しました。


村橋 大口取引のマッチングサービスとして、「畜産100」「畜産1000」をスタートさせました。これは文字通り肉を100㎏、1000㎏単位で販売するものです。続いて水産・農産についてもスタートさせていきます。これまで当社のサイトでは、商品は大きいロットでも15㎏までのものが主流でした。しかし買い手が小規模店舗から、大型店舗、チェーン店と幅広くなるに従って50㎏以上のニーズも多くなってきた。そこで市場拡大を狙っていこうというものです。


食材出店料100点まで2万5000円

出店社名・連絡先を公表し信用力担保


─飲食店経営に長年携わってきただけあって、会員は登録のみで無料と、「買い手目線」のシステムが特徴です。


村橋 メーカー・卸業者・生産者といった売り手側に毎月出店料として固定費を頂くシステムです。例えば「Mマート」では商品100点まで2万5000円、400点までが4万円といった具合です。当社システムで売買した場合に、販売代金に応じて1%を当社に支払っていただく仕組みです。


─ユニークなのは、出店社と会員の直接取引を可能にしている点です。敢えて商品には、出店社名はもちろん、住所・電話番号、担当者名まで記載されている。


村橋 実はほぼ90%が直接取引をしています。それだけ出店社の信用性が高いということでしょう。当社では、売り手が登録する際は、商品に偽り等齟齬があった場合は損害賠償を申し受ける、という規定に同意して頂きます。また会員に商品や出店社の評価をしてもらい、それを公表しています。


─売り手情報を公表することは良し悪しなのでは。


村橋 出店者を公表することは私の「ネットの本質は情報の対称性にある」との考え方が根本にあるからなのですが、会員からみると顔が見えない分だけ安心ができないようです。

電話を入れて相対することで初めて良い取引ができる。直接取引を可能にしているのは、通常、業者間取引ではリピーターには、割り引きをしたりして、価格が一定してないからで、双方にとってメリットは大きい。


─直取引によってサイト利用率は減りませんか。


村橋 マーケットプレイスの一番の魅力は、多くの商品を比較検討できるという点です。会員は日々、現時点で最も安い商品を提供してくれる売り手を探しているのです。特に中小の飲食店は、年間2~3%の利益を確保するために神経を使っています。このため、多くは決して仕入れ先を固定することはないでしょう。実際、サイトを離脱する会員は毎年ありますが、ほとんどすぐに戻ってくる。固定先と直接取引を続ければ、新規の優良な情報は入ってこない。ここに当社の強みがあるわけです。


─売り手側にとっても、足で新規開拓をすることなく、24時間360日受注できる機会がある。


村橋 決済も現金やクレジットカードですので、未回収リスクも少ない。また、商品へのアプローチ記録が残るため、マーケティングにも活用できる。非常にシンプルなシステムですが、双方にとって使いやすいものだと思います。


BtoBのEC市場規模は約94兆円

「伸びしろは10~20倍はある」


─上場したことで新たなフェーズに突入しました。今後の成長戦略は。


村橋 BtoBのEC市場規模は、約94兆円といわれています。しかし、EC化率はまだ30%にも満たない。従って市場の伸びしろはまだまだあります。


─売り上げに対して、システム開発、人件費負担が高いように見えます。


村橋 確かに社員は40人以上在籍していますが、外回り営業ではなく内勤が主ですので、それほど大きな負担とはならない。システムは確かに日々更新していかなくてはなりませんが、上場によって資金調達ができましたので、今期は利益を減らしてでも人材の確保やシステム開発に力を入れています。例えば管理ページの一覧表からボタン一つで注文できるようにすることで、同じ商品を同じ会社から注文できる自動継続発注システムの構築が進行中です。


─海外への進出は。


村橋 国内でもやるべきことは沢山ありますので、当面は考えていません。いいものを安く仕入れることができ、誰でも出入りできるのが当社のプラットフォームです。これをベースに更なる利便性の追求や、横展開することで今の好循環を持続させていければと考えています。若い人の発想に期待しています。

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