障がい者の日常を支援するグループホーム、空き家対策やシルバー人材の活用にも寄与

ヒューマンリンク 北海道札幌市

iGloo(イグルー)運営


田中 紀雄 社長(44)

PROFILE たなか・のりお

1974年、北海道生まれ。2010年に㈱ヒューマンリンクを設立。在宅介護や障がい福祉における総合在宅ケアサービスを提供し、現在はグループで全国148事業所を展開。同社の代表のほか、一般社団法人日本デイサービス協会の副理事長も務める。2015年「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー・ジャパン」北海道ブロック特別賞を受賞。

リハビリ型デイサービスの「カラダラボ」を中心とした介護や在宅医療、障がい福祉事業など、13業態で148事業所を展開するヒューマンリンク(北海道札幌市)が、昨年から新業態でフランチャイズ展開を加速させている。同社の田中紀雄社長に、ブランドの概要とその強みについて話を聞いた。

対象者数は936万人

全国の整備率は未だ10%程度


─昨年から「iGloo」(以下:イグルー)というブランドで、障がい者向けのフランチャイズを開始しているようですね。


田中 イグルーは障がい者向けのグループホームです。イメージしやすい言い方で言うと、「障がい者向けの支援付きシェアハウス」といったものです。

 当社は元々介護や福祉事業を幅広く展開しており、日常的に行政機関などとも情報交換をしているのですが、そこで「障がい者向けのグループホームが不足しているから作って欲しい」という声があったのです。

 障がい者向けのグループホームには、いわゆる身体や知的、精神といった部分で障がいを持つ方が暮らすのですが、設備が整った大型施設への入居は中度〜重度の障がい者が優先され、比較的軽度の障がいの方の受け皿が不足していたのです。


─障がいに関するビジネスは、ここ数年で盛んに耳にするようになりましたが、そんなに対象者が多いのでしょうか。


田中 身体や知的、精神障がいと言われる障がい者の数は、936万6000人。これは日本の人口の7.4%になります。

 ただその一方で、障がい者の方々が安心して暮らせる住宅環境が整備されているかというと、そうではない。当社が独自で調査した情報として、障がい者グループホームの整備率のデータがあるのですが、東京23区ですら24.5%。大阪は6.3%、名古屋7.5%、福岡4. 2%、当社の地元である札幌でも10.1%。全国の平均10.52%ですから、入居希望者が10人いたとしても、1人しか入居できない状況なのです。


─なぜ、ここまで受け皿が不足しているのでしょうか。


田中 単純に障がい者を受け入れる体制がなかったというのが結論ですが、障がい者の区分で受け入れる施設が異なるのも、一つの要因です。障がい者区分はその状態によって7つに区分されるのですが、中度〜重度の区分である4〜6の部分は社会福祉法人やNPO法人、独立行政法人などの団体で運営されているケースが多い。

 彼らは資金も潤沢なので、多額の設備投資が必要な大型施設も開発できます。しかも、障がい者区分が高ければ高いほど報酬単価も高くなるので、こうした施設が自然と多くなる。その結果、障がい区分なし~1・2・3といった軽度の方に対応する施設が少なかったのです。


─とはいえ、軽度~中度の障がい者グループホームも結構な投資額になるのではないのでしょうか。


田中 イグルーが対象としている物件は、一軒家の空き家やアパートの空き部屋ですから、新たに施設を作るというよりは既存の住宅を借りて運営する形なので、そこまで投資はかかりません。1つの事業所で30居室までを想定しているのですが、4LDKの一軒家であれば4室、ワンルームアパートであれば1室というカウントになります。

 現在は日本の空き家の数も846万室まで上昇しており、空室対策が急務となっています。しかも先ほど申し上げたように、障がい者の方が住む住居は圧倒的に不足している。この部分に可能性があると思っています。


営業利益は25%を記録

500万円からスタート可能


─グループホームの運営はどのような形で行われるのですか。


田中 当社の障がい者グループホームは、通称「障害者総合支援法」という法令に基づいた共同生活援助事業になります。ですから障がい者の方が一人で生活するのではなく、彼らの心身のケアや服薬管理、ご飯の準備や掃除、困りごとの対応といった部分をスタッフが支援します。


─利用者の獲得はどのように行うのですか。


田中 特別支援学校や障がい者相談支援事業所、精神科病院・診療所からのご紹介と、ご本人や家族からの問合せというように、大きく4つの経路があります。対象年齢は18〜64歳までですが、当社の利用者様は20〜30歳代の若い方が多いです。事業の性質上、よほどのことがなければ利用者は退居することはないため、経営的にも安定化が図れます。


─収支計画は。


田中 住居の立地にもよりますが利用者一名に対して発生する家賃や食費、サービス費を含んだ金額は約25万円。その内、サービス費については9割が国保から支払われます。 15名を超えた時点で単月黒字化となり、1事業所の定員である30名では、月に750万円の売上。営業利益率25%という数字が、基本の収益モデルです。

 開業時は加盟金等で350万円。ほかに物件取得費や設備費・工事費などがありますが、エリアによっては仮に4LDKの一戸建てを2物件借りてスタートする場合でも、最少500万円からの初期投資で開始できます。いきなり30室でスタートする必要はなく、徐々に増やしていく形でも良いと思っています。


─今年から本格的にフランチャイズ展開を開始したということですが、反応はいかがですか。


田中 現在、直営で7事業所、フランチャイズで1事業所が開設しており、問い合わせも不動産会社やタクシー会社など、福祉とは異なる分野からもいただいております。当社の事業は利用者の支援をするものだけではなく、空き家対策やシルバー人材の活用といった、様々な社会問題を解決できる可能性を秘めていると思っています。

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