金融・教育・エンタメ・エネルギー・スポーツetc 「何でもあり」ビジネスで事業領域は40を超える

DMM.com(東京都港区)



総合エンターテイメントサイト「DMM.com」の運営のほか、動画配信、FX、英会話、ゲーム、太陽光発電、3Dプリンタ、果ては海外のプロサッカークラブ運営まで、「領域問わず何でもやる」異色の企業DMM.com(東京都港区)。アダルト事業からスタートした同社は設立20年で、サービス会員3000万人、グループ従業員4000名、売上高2211億円にまで成長した。今でも毎月のように新たなビジネスの萌芽を育てている。同社の取り組みについて、キーマンである村中悠介COOに話を聞いた。(※2019年12月号より)


村中 悠介 最高執行責任者COO(39)

むらなか・ゆうすけ

1979年生まれ。2002年DMM.comに入社。2011年に取締役就任後、アミューズメント事業、アニメーション事業など多岐にわたる事業を立ち上げる。2018年6月にCOO就任。40以上ある事業を統括。2019年5月よりDMM GAMES CEOを兼任。


20年間で従業員4000名・売上高2211億円

事業本部制採用し、意思決定を迅速に

―この20年間で事業領域が大きく広がってきました。

村中 事業数でいえば40以上はあります。ゼロから立ち上げたものもあれば、M&Aによるものもあります。もちろん、すべてが成功しているわけではないですが、「とりあえず何でもやってみよう」というのが、当社の考えですので、まだまだ増やしていきたいと考えています。

―昨年から今年にかけては、ベルギーのプロサッカークラブ、墓石や葬儀関連のメディアなどを展開するスタートアップ企業の「終活ねっと」買収が話題になりました。

村中 当社は若手起業家が挑戦できる機会を創出するため、スタートアップの支援、ベンチャー・コミュニティ活性化に向けた投資・買収等を積極的に展開しています。「終活ねっと」は、代表が現在東大生であるのをはじめ、主要メンバーはいずれも20代前半と若い企業です。今後、同社グループが保有する人材やサービス基盤、ビジネスノウハウなどを活用することで、終活サービス領域のITインフラ化を進めていきたいと考えています。

―DMM.comが展開している事業は基本的にBtoCが中心ですが、共通しているものが見当たりません。

村中 ジャンルが広すぎてカオス状態と言われます。ただそれが当社の特徴であり、強みだと思います。

―手がけている事業の中には水族館の運営や、消防車の製造というのもあります。それぞれの事業を統括するのも大変なのでは。

村中 そのため組織を整理しました。私自身、これまで複数の事業を見ていたのですが、COOとして40以上の事業、会社全体を見るようになりました。ただ一人ですべてを見ることはできませんので、まずは積極的な権限移譲を行いました。事業本部制を採用して、各事業部内の細かい意思決定は、基本的に事業部長に任せる形に変えました。

―命令系統をはっきりさせることで、迅速な意思決定ができると。

村中 ある事業部で進めていることが、隣の事業部でも行っているものと連携できる部分はある。それらを繋ぐことによって、互いにシナジー効果を生み出す。40以上ある事業それぞれが連携できるのは当社にとって大きな強みとなっています。

―横の連携が強くなった。

村中 結果、現場のスタッフたちにとっても活動しやすい環境を作ることができたと思います。同時に広報機能を一貫して担う部署を社内に新設するなど、よりスピーディーに新しい取り組みができる社内体制づくりを進めました。

「DMM VENTURES」をスタート

出資比率1~5%の「マイノリティ出資」

―新たな事業を立ち上げるに当たり、どのような点を注視していますか。

村中 まずはコンペティターの大きさがどれくらいあるかですね。手掛けるからにはその分野でトップにならなければならない。たとえば当社は、「DMM英会話」というオンラインによる英会話事業を展開しているのですが、始めた当時はトップ企業でも規模はそれほど大きくなかった。今後の成長性を考えた時、これならばイケるということで始めたのです。

―M&Aはもちろん、亀山敬冶CEOへ直接プレゼンできる「亀チョク」など、新規事業に対する間口は広い。

村中 今でも私のもとに上がってくる案件だけで、月15件以上あります。しかし、これを精査して事業化まで至るのは1件あるかないかです。実際に事業化するための期間は、3カ月から半年です。

―今、注目している事業はありますか。

村中 今後は農業をはじめとする一次産業ですね。何か面白いものがあれば積極的に取り上げていきたいと考えています。

―昨年10月には「DMM VENTURES」という若手起業家への支援を目的としたベンチャーキャピタルを設立しました。予定投資規模は100億円といいます。

村中 出資比率1~5%を基準にしたいわゆる「マイノリティ出資」です。当社ではこれまでも、新規事業の育成、買収、提携などを進めてきました。その延長線上の新たな取り組みとして、さらなる「ベンチャーコミュニティの活性化」「若手起業家支援」などを目的にしたものです。これまではある程度形になった企業への投資、いわゆるマジョリティ出資が多かったのですが、投資先の幅を広げていくことで、また面白いものが生まれるのではと思います。

―25歳以下の若手起業家を対象にしています。

村中 もちろん、出資するだけでなく、当社グループが保有する事業や技術、マーケティングなどのノウハウやネットワークなどのリソースも、必要に応じて出資企業に提供していきます。

―ゲーム分野では既に「DMM GAMES Ventures」というベンチャーキャピタルも存在しています。

村中 今回はそれこそジャンルを絞っておらず、BtoB、BtoC問わず面白そうならば何でも出資していこうというスタンスです。幸いこれまでの実績から「DMMなら何でも受け入れてもらえそう」という評価が定着していますので、どのような案件が持ち込まれるか楽しみです。

―既存の事業とのシナジー効果も期待できる。

村中 どんな事業でもサポートできることがあるでしょうし、スタートアップはそれこそ経理面や人材面で苦労することも多い。こうした経営に関するバックオフィス面でのサポートもできます。

―IPOなど投資した企業へのイグジットは考えていますか。

村中 こちらから話を持ち掛けることはしないでしょう。投資先がIPOや売却してもいいと考えています。当然、起業家はその選択肢を考えているとは思いますが、当社はこうした部分も含めて長くサポートできればと考えています。

―スタートから1年が経とうとしていますが、成果は。

村中 これまでに150~200件が持ち込まれましたが、思っていた以上に少ないというのが感想ですね。その中でも出資まで至ったのは8月時点で3件です。第一号案件はチャットアプリ事業で、その後、「Teplo」というIoTティーポットの製造・販売・アプリを通じた茶葉の販売事業、そしてビフォアフターを参考に予約購入が即座にできるSNS「ビフォーパープルアフターピンク」という事業に出資しました。

海外サッカーチーム運営も好調

地方自治体と連携で地域活性化事業も

―この10年間で投資する企業の傾向は変わってきましたか。

村中 M&Aも含めて、過去持ってきた起業家は、本当に売りたい時に来ました。最近は「DMMだからまず話してみよう」という人が増えてきましたね。それだけ、当社の間口が広いというイメージができたのだと思います。

―村中COOが入社した2002年当時は、DMMもスタートアップに近い会社でしたよね。

村中 私が入社した当時は、既に東京にオフィスを構えていましたが、社員は6~7名程度の規模でした。20年近く経って社員4000名規模になりました。この経験をもとに、今の若手起業家を育てていきたいです。

―昨年買収したベルギーのサッカーチーム、シント=トロイデン(STVV)の会長でもあります。

村中 日本サッカーのヨーロッパにおける拠点にしたいという思いがあったのですが、現在、6人の日本人選手を獲得し、鎌田大地選手、冨安健洋選手、遠藤航選手の3人はレギュラーとして活躍し、日本代表にも選出されました。もちろん、STVVを愛する人々への貢献

や還元という側面に関しても、レギュラーシーズン7位、チーム史上最高の勝ち点数「47」という好成績を残しました。ビジネス面に関しては、シーズンオフに冨安選手がイタリア・セリエAのボローニャへの移籍を決め、移籍金収入を得ることに成功しています。

―買収プロジェクトは順調に成果をあげています。

村中 1年目としては、まずまず成功したといえると思っています。ただ、我々にとってはビジネス的な参入だとしても、チームの地元の人たちにとっては、ビジネスもプロジェクトも関係なく、チームの成績が第一であり、ピッチの上で生まれる感動や熱量が大事なのは間違いありません。まずは地元の方々に喜んでもらえて、良かったと思っています。

―海外でいえば、アフリカでのビジネスも進めている。

村中 2015年よりアフリカ5カ国に拠点を作って展開しています。ただ海外事業は各国の事情もあり、色々難しい部分もありますね。しかし、ゲームやアニメ分野であれば特にアジアで成功する確率は高いでしょう。

―新たな取り組みとして、地方創生事業にも力を入れています。8月には山形市との包括連携協定を締結しました。

村中 山形市は深刻化している人材流出や雇用問題に対し、「健康医療推進都市」化を掲げ、医療と健康を軸にした施策を推進しています。今回の連携協定によって、当社が培ってきたノウハウやテクノロジーを活用し、新たな産業や事業の創出をすることで山形市全体の地域活性化に取り組んでいきたいと考えています。このほか、札幌、金沢でも包括的な連携を図っています。今後も地域活性化のための事業は増えていくのではないでしょうか。


39回の閲覧

ビジネスチャンス

次なる成長を担うすべての起業家を応援する起業&新規事業の専門情報誌
 

​お問い合わせ

104-0061東京都中央区銀座8-12-15

TEL 03-3524-2060   FAX 03-3524-2030

info@bci.co.jp

© 2003-2020 株式会社ビジネスチャンス