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  • ビジネスチャンス編集部

負債14億円で倒産寸前の状態から “逃げの戦略”の海外進出で復活を果たす

OWNDAYS(オンデーズ:東京都品川区)


 倒産寸前の状態から一転、創業者からバトンを引き継いだ田中修治現社長のもとで見事な復活を果たしたメガネ・サングラスの小売りチェーン「OWNDAYS」。その勢いはとどまるところを知らず、国内外を合わせた店舗数は、今年ついに300店を突破した。業界に旋風を巻き起こし続ける田中社長を直撃した。



OWNDAYS 田中 修治社長(42)

たなか・しゅうじ

1977年生まれ、埼玉県出身。10代の頃から企業再生案件を手掛け、2008年に倒産寸前だったオンデーズの社長に就任。海外展開の成功で会社を立ち直らせ、一躍大きな注目を集める。著書に「破天荒フェニックス」(幻冬舎)。

横展開は考えず

メガネ一本で勝負


―「オンデーズ」と言えば、他のメガネチェーンに先駆けて海外に打って出て、巨額の負債を抱えた状態から復活を果たしたというイメージが強くあります。当時の心境や状況はどんなものだったのでしょうか。


田中 海外での事業展開が上手くいったからこそ、今のうちがあるわけですが、実のところ最初から海外市場に目を向けていたわけではありません。むしろ、できれば日本国内で勝負したいと考えていました。しかし、私がこの会社を買い取った時点で、良い立地はすでに「JINS」や「Zoff」などの大手にほとんど押さえられてしまっていました。


 また、そういう物件は保証金だけでも1億円以上かかりますから、借金まみれだった当時のうちでは、とてもじゃありませんが手を出すことはできませんでした。無理に対抗して出店したところで勝ち目がなかったので、戦いを避けて海外に行ったというわけです。たまに「可能性を求めて海外に出た」みたいな書き方をされることもありますが、実際はそうではなくて、“逃げ”の戦略だったのです。ただ、結果的にそれが功を奏して、国内外合わせて300店舗以上のメガネチェーンに成長することができました。


―今年はインドにも店舗を出されました。依然として海外展開には積極的に取り組んでいますね。


田中 インドは現地のメガネの会社と組んで展開を始めたところです。すでに3店舗出店していて、5店舗目まで計画が決まっています。


―ほかにもシンガポールや台湾、マレーシアやカンボジアなど、海外ではアジアを中心に191店舗を出店しています。海外展開を進めるうえで失敗はなかったのでしょうか。


田中 もちろん、全部が全部上手くいったわけではありません。大きな失敗だって、何度もありました。たとえばオランダに出した店舗は、色々なサイズのメガネを展開したことが仇となり、全く通用せずにわずか1年で撤退しました。これは極端な例ですが、小さいものも含めれば失敗はたくさんしていますよ。


―国内での競争を避けて海外に行ったということですが、ここにきて国内の出店も強化していると伺いました。


田中 海外が上手くいったことで、うちもようやく大手チェーンと戦えるだけの体力やブランド力が備わってきました。それで今は本来やりたかった国内での出店にも力を入れています。もちろん、国内を強化するからといって、海外を抑えるということはありません。直営でやるのかフランチャイズにするのか、それとも現地の企業と組んで合弁会社を立ち上げるのか、やり方はその都度変えていく必要があると思いますが、いずれにせよ、これまで通り、積極的に出店していくつもりです。


今後は東京・大阪などへの出店を強化していくという

―メガネをファッションアイテムの一つとして捉えれば、色々な横展開も考えられると思います。


田中 そういう話をされる方もいますが、うちとしてはメガネ一本に絞ってやっていくつもりです。これから高齢化が進んでいけば、メガネの需要はどんどん増えていくと思いますしね。視力が簡単に回復できる時代が来ればメガネが要らなくなるかもしれませんが、少なくとも今の時点では本屋やCDショップのように消えゆく産業ではありません。


地域のメガネ店などに

FC加盟を提案


―社長就任後は、フランチャイズを中心に店舗拡大を進めていました。


田中 引き継いだ頃はかなりの負債がありましたから、自分たちの力だけで店舗を増やすのには限界がありました。それでフランチャイズにも力を入れ、3年でFC店を60店舗増やしました。今は十分な体力がありますので、どちらかというと直営の方に重きを置いていて、FCについては加盟対象をかなり絞り込んで募集しています。


―具体的にはどんなところに絞っているのでしょうか。


田中 一つは地域のメガネ店です。たとえば、我々が地方のイオンに店舗を出したいと思っても、すでに地元のメガネ店が入っていると、施設側は簡単に出店を認めてくれません。商品の価格帯が異なるので、実際にはあまり競合することはないのですが、業態的には同じメガネ店ですからね。そんな時にそのメガネ店のオーナーと話をさせてもらって、フランチャイズへ加盟してもらうというわけです。


 我々としては直営でやった方が利益は増えるのですが、こうしたケースではそれ以上に出店できることのメリットの方が大きい。オーナーも売り上げが伸びるので、お互いにWin&Winになります。あとは商業施設などを所有しているデベロッパーなども対象にしています。最近だと、近鉄百貨店に加盟してもらいました。


国内外で300を超える店舗を展開

FC展開のメリットが薄れたことで加盟対象を限定


―メディアへの露出が増えたことで、加盟対象以外のところからの問い合わせも増えているのではないでしょうか。


田中 確かにそうなんですが、実際問題、我々もそこまで手を回せる余裕がありません。それに、FCをやるメリットも薄れてきているので、今は必要以上に増やさないようにしています。


―どのような面でFCのメリットが薄れてきているのでしょうか。


田中 一番分かりやすいのは情報です。私が社長になってすぐの頃は、地方に出発する際には、求人はどの媒体を使ってやるのが効果的なのか、出店場所はどこにすれば良いのか、信頼できるポスティングやチラシの折り込み業者はどこなのかなど、地元の人でないと分からないことがたくさんありました。


 しかし、今はインターネットさえあれば何でもすぐに把握することができます。僕のところには日々、世界中から色々な情報が入ってきますし、GoogleMapなどを使えば、地方の物件でもすぐに状況を確認することができます。物件を見たければ近隣のスタッフに現地まで行ってもらって、写真や動画を送ってもらえば済みます。


 あとは管理面のメリットも無くなりましたね。従業員の管理やケア、教育のために本部から地方の店舗に人を派遣するとなると、それだけで多大なコストがかかります。しかも次の訪問までは管理者不在の状態になってしまいます。そこで以前は地元のしっかりしたところに店舗の運営をお任せすることで、こうした問題を解決していたのですが、今はネットがあれば管理も教育もコミュニケーションもできてしまいます。


 ちょうど先日、私用で鹿児島に行った際に地元の店舗にも足を運んだのですが、2年振りくらいに顔を出したのにも関わらず、久しぶりという感じは全くしませんでした。さまざまなネットのサービスを使って、普段からコミュニケーションが取れているからです。私のLINEアカウントは一般のアルバイトでも知っているくらいですから。


高齢化によりメガネの需要は拡大するという

―ファイナンス面のメリットについては、どう考えているのでしょうか。


田中 以前は、自己資金が無くても店舗を増やせるという点で大きなメリットを感じていました。しかし今は空前の低金利。お金はいくらでも借りることができますし、ベンチャー投資やクラウドファンディングなど、資金調達の方法はいくらでもあります。FCに頼らなくても、店舗を増やすことはできます。


―最近は、コンビニの24時間営業問題をきっかけに、フランチャイズの問題点も色々クローズアップされるようになりました。


田中 そういう意味では、リスクが増えてきたなと感じています。特に労務に関しては、賃金の未払いや過度な残業など、色々ありますよね。実際のところ、フランチャイズだと加盟店側の労働環境まで本部では管理しきれません。しかし我々としては、加盟店の中で起こった問題はあくまでも加盟店の問題として扱いますが、現実は「オンデーズで働いていた」となってSNSなどで拡散されてしまします。


 メディアもあえて「オンデーズの加盟店」とは書かず、「オンデーズ」と書くので、まるでうちが問題を起こしたかのように世の中に拡散されてしまいます。これははっきり言って、リスクでしかありませんよね。だから会社が大きくなればなるほど、FCについてはある程度厳選してやっていかざるを得ないわけなんです。


―今後の展開については、どう考えているのでしょうか。


田中 向こう3年先くらいまでは売上と利益ベースでの計画を立てています。よく、「いつまでに何店舗まで増やすのか」と聞かれますが、店舗数ベースでは考えていません。


 うちを利用してくれるのは、30代・40代の方が中心ですが、この層をしっかり押さえておくだけでも、10年、20年後もメガネの需要が無くなることはありません。もちろん、これだけでは駄目なので、市場のシェアを取っていくために、これからも国内外で店舗を増やしながら色々な仕掛けをしていくつもりです。


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