「識学」 用いた研修コンサルティング, 従業員100名前後の企業中心に提供

識学 東京都品川区


安藤 広大 社長

PROFILE あんどう・こうだい

1979年生まれ。大阪府出身。早稲田大学卒業後、NTTドコモ入社。2006年に転職したジェイコムホールディングス(現ライク)では、子会社のジェイコム(現ライクスタッフィング)で取締役営業副本部長等を歴任。2013年、「識学」と出会い独立。2015年に識学を設立。

独自の「識学」というメソッドを通じて組織改革を提案している識学(東京都品川区)現在では中小企業中心に1000社以上のクライアントを抱える。「部下を動かす理由に、モチベーションを与える必要はない。目標を達成したことによる自然発生的なモチベーションというのを感じられる組織が、正しい組織」というマネジメント論を提唱。短い期間でクライアント企業の成果を上げ、昨年12月には設立12月には設立4年で東証マザーズの上場を果たした。同社の安藤広大社長に取り組みを聞いた。

設立4年で東証マザーズ上場

スポーツクラブが導入するケースも


─上場以来、初めての決算を迎えましたが、創業から4期連続の増収となりました。


安藤 2019年2月期は売上高12億5100万円で前年比約165%増でした。2020年は132%を見込んでいます。この4年間で着実に実績を積み上げてきたとともに、クライアントに対しても常にサービスの品質を保ってきた結果だと考えています。


─研修コンサルティングが大きな事業の柱です。


安藤 「識学」という組織マネジメント論を駆使した、マンツーマンの研修コンサルティングサービスが半分以上を占めています。もう一つは組織診断や動画機能などを備えたプラットフォームサービス。この2つが大きな柱です。


─独自のメソッドが中小企業を中心に広がっています。


安藤 当社のクライアントは業種問わず、企業規模は10数名から数千名まで幅広いのが特徴です。中心となるのは従業員数100名前後の規模でしょうか。


─トップの目が現場の隅々まで行き届きづらくなる規模ですね。


安藤 クライアント企業は1000社以上で、初めて導入する企業が多く、結果が上がった企業からの紹介で増えてきました。実際に採用した中小企業では、売上が4年間で約3倍に増加し、約150名だった従業員数は約500名規模にまで成長しました。現在は70%が紹介案件です。


─近年は企業だけでなくスポーツクラブでも導入されています。


安藤 「識学」が普遍的なものだからでしょう。最近では、神戸製鋼ラグビー部のGMが受けていただきまして、結果、今年の全日本選手権で久しぶりの優勝を果たしました。プロサッカーチームの大分トリニータは今年から導入していただいていますが、リーグ戦は好調ですね。4月からは私の出身校である早稲田大学ラグビー部にも導入されています。


─研修内容は。


安藤 週1回、1時間の12週がワンパッケージです。研修自体は半年から9か月で終了するのが基本パターンです。金額は基本300万円です。


社員にモチベーション与えることを否定

あくまでも「成果」にこだわるプロセス作り


─そもそも「識学」とは?


安藤 当社の第2位株主にもなっている福冨謙二氏が20数年前に研究を始めたのが始まりです。それを私がビジネスとして成立させました。端的に言えば「誤解」と「錯覚」を排除する、この2つが何故発生し、どうすれば発生しないのかをロジック化したものです。


─組織内での「誤解」や「錯覚」とは?


安藤 例えば、ある企業の社長は、帰宅するときに社員全員に挨拶をするなどのコミュニケーションを図ってきましたが、業績は伸び悩み、その理由がわからなかった。これは社長が社員のために良かれと思って取り組んでいるケースですが、実は、誤った取り組みです。また、上司が部下と飲み会を行うこともありますが、これも間違いです。ノミニケーションはともすると、上司と部下が必要以上に関係が近くなってしまい、上司は部下に気を遣い、部下は甘えが生じてしまいます。これが組織における「誤解」と「錯覚」なのです。


─企業が円滑に動き、成果を上げるため、「社内のコミュニケーションによって、スタッフのモチベーションを上げる」、と考える経営者は多い。


安藤 「識学」ではこれをすべて否定します。経営者の多くが「会社がモチベーションを与えれば、社員は会社に貢献してくれるだろう」という考えを持っていますが、それは勘違いです。私はまず、「『モチベーション』は必要ありません」という話をしています。


─部下を動かすには、モチベーションを与える必要はないということですか。


安藤 こちらから与えるものではなく、最初に目標設定し、数字を達成したことによる自然発生的なモチベーションというのを感じられる組織が、正しい組織だというのが「識学」の考え方です。


─部下の生産性を上げるためのマネジメントをいかにしていくかが、管理職は悩みの種でしょう。


安藤 それは、自分の「位置」と「結果」を正しく部下に認識させることで、解決が可能になると考えます。自分がどういう立場で、何をいつまでに達成しなければならないのかを正しく理解することで、部下は上司に指示されなくとも必要な行動を行い、より良い成果を出すことでモチベーションを自ら高めていくという好循環が生まれるのです。


─あくまでも数字という目標にこだわる。


安藤 「一生懸命頑張っています」という「アピール仕事」をなくす。仕事は結果で管理し、評価をするので、やるべきことをしっかりやれば残業もしなくても済むはずです。「働き方改革」にも繋がるでしょう。


感銘を受けたロジックを自ら実践

「日本に広めるため」ビジネス化に成功


─自身が「識学」で成果を上げたことが独立の契機になっている。


安藤 当時在籍していた企業の管理職時代に偶然「識学」と出会いました。それまでは、私自身もコミュニケーションをとるために、部下ともよく飲みに行きました。自分では良かれと思っていたのですが、実はさほど成果にはつながらなかった。部下のスキルが上がっていなかったのです。そこで、「識学」を勉強してみて、「組織や人は数式に近い」ことがわかったのです。そこには感情は必要ない。実際に試してみると、業績が急速に伸びました。そこで「この識学を日本に広めなければならない」という使命感を抱き、講師として独立したのです。


─設立から僅か4年で上場を果たしました。


安藤 当初は悲しいかな「識学」の知名度が低いため、企業に提案しに行っても、検討さえしてもらえませんでした。そこで少しでも早く社会的認知度を高めるためには上場することが最短だと考えたのです。


─研修コンサルビジネスは、教育を行うコンサルタントの確保・育成が肝です。


安藤 現在、コンサルタントは25名在籍しています。彼らは営業も兼ねており、一人一人はまだまだ余力があります。しかし、クライアントの増加とコンサルタントを教育していくための期間を考えれば、徐々に増やしていきたいと考えています。


─上場したことで知名度も高まっています。今後の成長戦略は。


安藤 日本では中規模の企業は約55万社あるといわれています。これらが当社のターゲットになるでしょう。また、メソッドのバージョンアップをしていく考えです。新しいものでは、組織マネジメント論に特化したビジネススクールの展開を進めています。クライアント企業が増えるにしたがって、M&Aの買い手企業や仲介会社からの引き合いもあり、今後はこうしたビジネスも本格化させていきたいと考えています。


─「識学」を教育機関にまで広げていく動きもある。


安藤 実際、小中学校の校長先生に向けて講演も行っています。「識学」を知ってもらえることは大きなメリットなのですが、残念ながらまだ収益を上げられるスキームが見つかりませんので、今後に期待、というところでしょうか。とはいえ10年、20年後には「識学」を日本のスタンダードにするというのが私の目標です。

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