設立10年でFC拠点数1500カ所を突破、自動車保有台数の減少を尻目に需要を獲得

ニコニコレンタカー(レンタス:神奈川県横浜市)

木村 孝広 社長(54)

Pro­file きむら・たかひろ

1993年、レンタスの親会社である株式会社マーケティングインフォメーションコミュニティ(現:株式会社MIC)に入社。ガソリンスタンドの販売支援営業を経て、2010年10月にニコニコレンタカーFCの新規開拓チームのリーダーとなり、5年間で300件以上の契約を獲得する。2015年11月にレンタスに出向し、2018年12月に取締役社長に就任。現在に至る。

 若者の車離れが進んでいる中、着実に需要を獲得しているのがレンタカーだ。近年のカーシェアリング事業の急拡大で、一部成長に陰りが見え始めている市場だと思われがちだが、「レンタカーとカーシェアは共存し得る存在」とレンタスの木村孝広社長は話す。累計会員数350万人を保有するレンタカーFC最大手の同社の強みは何か。

——2008年に「ニコニコレンタカー」の事業をスタートされていますが、事業開始までの経緯を教えてください。

木村 元々は当社の親会社であるMIC(神奈川県横浜市)とホームネットカーズ(東京都新宿区)という2社が深く関わっています。私自身、以前はMICに在籍をしており、そこではガソリンスタンド向けに売上アップのためのお手伝いをしていました。当時はガソリンスタンドが全国に6万店ほどあり、すでに飽和状態。ですからガソリンスタンドではガソリンの価格競争だけでは他店との差別化ができなくなっており、タイヤやオイルなどの交換、さらに車検販売などでプラスアルファの収益を上げなければならない状況でした。一方、ホームネットカーズは、ガソリンスタンドでの車の販売を根付かせてきた会社として実績を持っていました。

 そんな中、MICが廃車の買取を手掛けるようになって、事態が変わります。それまで廃車される車というのは、所有者がお金を支払って廃車しなければならないのが一般的でした。それならばその車を自社で買い取って、売りに出してみたらどうだろうかと。実際、売りに出すと20~30万円で販売される車もあったのです。そこでこの買い取った車をもっと有効活用できないかと思い、「わ」ナンバーを付けて貸し出してみようという話になったのです。

 そしてホームネットカーズの専務が、MICの社長に中古車でのレンタカー事業を持ちかけたというのが設立のきっかけです。両者に資本関係は無く、ニコニコレンタカーをフランチャイズ化しようとアライアンスを組んだのです。


——この業界には、ニッポンレンタカーやオリックスレンタカー、トヨタレンタカーやタイムズカーレンタル、日産レンタカーという大手の5社が存在します。これらの企業とはどのように差別化を図っていますか。


木村 大手5社が提供している車両は新車が中心ですが、当社は新車、または走行距離が10万㎞未満の良質な中古車で運営しています。中古車ということには変わりがありませんが、近年の車は品質が高いので、商品性能で劣ることはありません。そしてその分、事業開始時から一貫して「12時間2525円」 (Sクラスマーチ・ヴィッツなど)という低価格で提供しており、この安さは当社の最大の武器です。最近は隣接業態のカーシェアリングの需要も高いですが、当社とは価格帯が異なるため、シェアを奪い合うことはありません。


——実際、大手5社と比べるとどれほどの相場観なんでしょうか。


木村 半額くらいですね。安さの理由としては、中古車であることが一つ。そしてもう一つが、運営側のスタンスです。大手さんは事業を専業で行っているのに対し、私たちのビジネスモデルは兼業が基本。たとえばレンタカー事業を行おうとすると、まずは事務所が必要になりますし、整備や洗車を行うスペースや什器が必要となります。しかしガソリンスタンドなどで兼業として開業すれば、これらの設備が元々備わっています。

 私たちの事業の謳い文句は、 「良質な中古車を用意して、ガソリンスタンドが兼業で行えるから安さを実現できる」というもの。自動車整備工場や中古車屋さん、板金屋さんといった車関係の事業者はもちろん、それ以外の業種でも参入が可能となっています。


——現在展開しているエリアと商圏について、教えてください。


木村 約1500拠点の内、都市部が半分で、残りの半分が日本全国津々浦々という感じです。当初は拠点の半径2㎞圏内の世帯数が5000~6000世帯で、車両保有率も200%以上、周辺が田んぼだらけという地域では需要がないと思っていたのですが、実際はそんなことはありませんでした。都心部のように月商1000万円を記録することは難しいですが、月に50~100万円を売り上げることはできます。ですから専業か兼業かによって立地を選別しなければならないという問題はありますが、基本的に全国どこでも開業が可能なのです。


——開業に際しての初期投資や収益モデルも、オーナーと相談して組むことができるのでしょうか。


木村 以前は私も、新規開拓の営業で日本全国さまざまなところへ行きましたが、 「儲かるのか?」という問いに対しては、 「どれくらい儲けたいんですか?」と返答していました。多額の初期投資をして専業で始められる方もいれば、本業の傍ら、小遣い稼ぎでいいという方もいらっしゃいます。ですからそこは正直に話をし、 「これだったらできる」 「これだったら難しい」というように、オーナーさんとプランを組み立ててきました。ただ正直な話、ニコニコレンタカーを立ち上げた当時は、地方に行っても「ここでは難しいだろう」という場所が多く、営業をしている我々がおっかなびっくりで及び腰の営業をしていましたね(笑)

 しかしそんな場所でも手を挙げてくれる方がいて、実際に加盟するとしっかりと売上を上げている。そうしているうちに、その地域での認知度もジワジワと上がってきて、借りる方がどんどん増えていったのです。


——専業か兼業、また導入する台数応じて売上設定も変わってくると思いますが、どれほどの売上設定の方が多いですか。


木村 車両一台当たりの目安として、普通に稼働をしていれば月に6~7万円の売上になります。ですから月30万円であれば4~5台あれば十分ですし、当社がその台数に縛りを設けていることもありません。イメージとしては3~5台でスタートをする方が多く、チェーンの平均としては11台です。これだと平均70万円ほどの売上となり、営業利益は4~5割です。10台程度であれば一人でも運営が可能なため、この辺りの開業パターンが多いですね。


——開業資金は。


木村 車両代を除いた初期投資は90万円で、内訳は加盟金が50万円と初期ツールが20万円、研修費が10万円となります。車両については基本的にご購入いただいていますが、本部によるリース契約もご用意しています。車両の調達は加盟店に委ねていますが、今本部で検討しているのは、何社かのメーカーから数十台、数百台の単位で一括納入して費用を抑え、その分加盟店に安価で提供するというスキームです。


——今後の注力分野と展開について教えてください。


木村 海外からの渡航者を囲い込むために、多言語化対応の三者間通話サービスの提供を開始しました。これは日本語がまったく喋れない方向けに加盟店と利用者、そしてサービス提供会社の三者で利用者の問合せに対応するというものです。当社の利用者の平均貸出日数は1・5日ですが、海外の方は平気で1週間ほど借りる方も多いので、利用単価の上積みも期待できます。しっかりと時流を見極め、こうしたインバウンド対策にも積極的に行っていきたいと思います。

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