設立から32年かけて全国124拠点をネットワーク化 FC展開前から各地で探偵学校を開校し、人材の育成に注力/ガルエージェンシー/渡邉 文男 社長


ガルエージェンシー

東京都中央区

渡邉 文男 社長(61)


ドラマや映画で昔からよく題材にされている探偵業。主に浮気調査や信用調査、行方調査などを行う業種だが、実生活では身近な業種とはいえず、アンダーグラウンドなイメージを持っている人も多いだろう。その中でガルエージェンシーは、創業から40年をかけて業界内の明朗会計化を含めたグレーな部分を排除していき、現在では業界トップの124拠点を運営するまでになった。同社の創業者である渡邉文男会長に、起業のきっかけや同社の特長について聞いた。

(※2021年2月号「FC本部インタビュー」より)



渡邉 文男 社長(61)

Profile わたなべ・ふみお

1956年福岡県生まれ。23歳から修行を重ね、事務所開設。33歳でガルエージェンシーを起業し、全国に支社を持つ総合探偵社に成長させる。会長就任後も人気のニュースサイト「探偵ファイル」への執筆を重ねる。


――「ガルエージェンシー」という探偵チェーンの名前は聞いたことがある人は結構いらっしゃると思いますが、どのような経緯で設立されたかについては知っている人は少ないと思います。

渡邉 私がガルエージェンシーを設立したのは、1988年、29歳の時でした。当時、探偵業の会社はまだ少なく、興信所といった結婚調査や浮気調査を行う個人業がほとんどでした。


――探偵業を立ち上げるといっても、経験がないとなかなか難しいと思います。その点はどうされたのですか。


渡邉 会社を設立する前に個人で探偵業を行っていました。さらにさかのぼると、元々は私が政治家の秘書を行っていたところに行き着きます。当時はある政治家の秘書として、政治資金の流れを調べる業務を行っていました。その時に調査の仕事の面白さを知り、その先生に独立させてほしいとお願いし、探偵業をスタートさせたのです。


――フランチャイズを開始したタイミングはいつですか。


渡邉 1995年です。全国展開をスタートするタイミングでFCを開始したのですが、まずその前に「ガルディテクティブスクール」という探偵学校を1992年に立ち上げました。

FC展開するためには人材の供給がきないと全国展開ができないと考えたからです。北は仙台から横浜、名古屋、大阪、福岡まで、7カ所開設しました。起業する際にはアメリカに渡り現地の探偵から調査や宣伝の仕方を学んだ経緯があります。


――当初から専門人材の育成に着目しているケースは珍しいと思いますが、実際に探偵学校ではどのような教育をしているのですか。


渡邉 コースが「スタンダード」と「プロフェッショナル」の2通りあり、研修期間はコースによって3カ月〜1年ほどになります。どの産業もそうですが、時代による法律の変化があります。探偵にしても、人探しの調査がその年その年で全然変わってくる。たとえば2000年代になって個人情報保護法が施行されたと思いますが、その内容をしっかり把握していないと、知らぬ間に個人のプライバシーを侵害する調査をしてしまうこともある。また個人の場合、尾行時に知らぬ間に住居侵入罪を犯していることも多い。ですから私たちはそこを座学と実技それぞれでしっかり指導をしています。


――探偵学校にはどのタイミングで入学するのですか。


渡邉 加盟店オーナーが自身で独立する前に入学するケース、独立後に通うケース、また自身の店舗の従業員を通わせるケースなどがあります。地方エリアで学校がない場所については、通信課程で本部から指導ができる体制にしています。


▲探偵学校の教材「完全探偵教範」

――フランチャイズによる全国展開は順調にいったのでしょうか。


渡邉 当時の探偵業では、電話帳に広告を載せて集客を行うのが主でした。各社が軒並み広告を出稿するので、1ページ広告を出すだけで100万円かかるものを2ページ、3ページといったように皆で競っていました。探偵だけで40ページぐらいあったのではないでしょうか。ですから私はそれがもったいないので、バラエティーテレビなどに年間30本というように積極的に出演するようにして、知名度を高めていきました。


――1995年に出版した「完全探偵マニュアル」は累計で40万部売れたと聞きます。


渡邉 探偵という珍しい業界の情報を発信したインパクトが大きかったのだと思います。これによって探偵の仕事を認知していただけたことや、チェーン展開にも大きく寄与したと思います。元々、探偵業でチェーン展開をしている企業は少ないですが、チェーン展開している企業でも仕事だけ請け、実際はほかの探偵社に委託しているケースも多い。当社もここに来るまで色々ありました。儲かっているから途中で加盟を辞め、自分で探偵業を立ち上げてしまった人もいました。しかし、自分1人でやるのはなかなか難しいんですよね。その点、当社はこれまで培ってきたノウハウや歴史、規模といった自力がある。


――いち早く組織を作れたことが、勝因になったということですね。


渡邉 ただ組織が大きいだけではなく、当社は加盟店同士で互いに助け合える土壌があるというのが特長です。たとえば加盟店で業務が重なり受付けができない場合は、近隣の加盟店に頼んで仕事を受けてもらうことが頻繁にあります。店舗を構えるビジネスだと店舗同士で顧客を食い合ってしまうことがありますが、当社は店舗型ではないので頼めば近隣の先輩加盟店が喜んで調査を手伝ってくれます。だから加盟店も人材をたくさん雇う必要がなく、少人数でもリスクなく運営できます。


――加盟店同士のコミュニケーションが盛んな結果だと。


渡邉 当社では全国をブロックに分け、毎月一回ブロック会議を行っています。ここでは加盟店同士で情報交換をしたり、調査の手伝いをしたりなど頻繁に行っています。私たち

の仕事の中でも行方調査や信用調査などは、遠方の現地加盟店と連携しないと見つからないことも多い。ですから皆がいないと困るのです。


――ノウハウ共有や実務連携は、加盟店にとって心強いですね。


渡邉 ガルエージェンシーには120名以上の経営者がいて、それぞれが時代に即した調査を追求している。その上で、ブロック会では加盟店同士が何時間も「ああでもない、こうでもない」というように、証拠写真の撮り方一つで議論する。そうすることで新たな商品が生まれることもある。このように切磋琢磨し、高め合うのは当社しかできない絶対的な強みです。


――探偵業を利用する人は限られていますので集客の方法が難しいと思いますが、どのよう利用者を獲得しているのですか。


渡邊 まず当社では、開業時に本部から8万枚のチラシを加盟店へお渡しし、それを近隣の世帯や企業へポスティングしていただくことからスタートします。これは業界は違いますが、車や不動産と同じだと考えています。まずは地元で認知させる。そしてそれにはチラシが一番安くて効果的な方法なのです。もちろん、ある程度顧客が付いているベテランの加盟店の方はネットでの集客と両方で集客していますが、チラシの場合、ひと月に2〜3万枚配布するだけで月商500万円以上を稼いでいる人もいます。


――リピーターになる人もいるのでしょうか。


渡邊 直接ご本人がリピーターになるというよりは、当社の場合、弁護士さんから案件をご紹介いただくケースが多いです。弁護士さんからすると、やはりすぐになくなってしまう探偵社よりは当社の方が信用してもらいやすいですし、実際に提出する調査報告書の質が他社よりも非常にしっかりしている点を評価していただいているようです。こうした関係性の構築を地道にしてきた点も、今のガルエージェンシーの強さにつながっていると思っています。


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