海外8カ国で味噌ラーメン店を展開 食材開発に注力し、“健康食ラーメン”を世界に

蔵出し味噌

麺場 田所商店

(トライ・インターナショナル:千葉県千葉市)


田所 史之 社長(55)

Profile たどころ・ふみゆき

1963年、福島県生まれ。東洋大学中退。21際で独立開業に成功したが、バブル経済時の投資が負担となり、35歳で倒産。40歳で自己破産から再起を目指し、2003年に有限会社トライを設立。同年、千葉市小倉台にて田所商店の前身となる味噌ラーメンの専門店「庄助」を開業し、2005年には市川市にて「田所商店」を開業。

 競争が激化しているラーメン業界で、新興企業でありながら着実に店舗数を伸ばしているのが「蔵出し味噌 麺場 田所商店」だ。味噌ラーメンに特化し、国内では100店舗を突破。運営元のトライ・インターナショナル(千葉県千葉市)はいち早く海外進出を果たした企業でもある。田所史之社長に将来展望を聞いた。

健康食材の開発に注力

海外での安定供給も万全間近


——初出店から約15年、国内は110店舗体制になりました。近年は海外でも積極的に出店しています。


田所 海外出店はブラジルに始まり、アメリカ、カナダ、イタリア、台湾、タイ、ベトナム、スリランカの8カ国で19店舗展開するまでになりました。アメリカではFC募集をかけながら取り組みを行っており、家族で運営できるような小型の店舗のコンセプトがちょうど固まったところです。10月にはシカゴで「RAMENEXPO」が開かれるので、そちらにも出展し、本格的に展開を進めていきたいと考えています。隣接するカナダではモントリオールやトロント、エドモントンといった地域ですでに出店していますので、今後は北米を中心にカナダの西側にも出店したいと思っています。


——アメリカをはじめ、海外で出店する場合は食材の安定供給が課題になると思いますが、その点はどう対応していますか。


田所 海外でもすでに工場を稼働させており、ベトナムの工場では製麺の販売で現地の多くの店舗に納めており、ベトナム国内の生中華麺市場では約8割のシェアを占めるようになりました。

 ただ今後のアメリカ出店を踏まえると新たな食材の物流拠点も必要なので、その準備も現在進めています。そこでしっかりと体制を整え、食材を供給できれば、一気に世界展開が進められると思います。


——海外での味噌ラーメンの印象はどのようなものなのでしょうか。


田所 当社が海外に進出したのは体に良く、健康的な食材である味噌を世界へ広めていきたいと思ったからです。私自身が味噌の醸造元の息子なので、普及への思いはひとしおですが、 最近では 「味噌はヘルシー」と世界各地で認知が進んでいると感じます。

 当社ではこれまでも低糖質麺や乳酸菌入りの味噌を開発してきており、最近では低塩分・高栄養価の麦味噌の取り扱いを始めました。

 新たな商品としては、 「ベジタブルラーメン」を開発しました。これは一食のカロリーが620キロカロリー程度で、一般的な豚骨ラーメンの約半分です。いずれは600キロカロリーに抑えるのが目標です。


——海外は多国籍なので、食に対する要望は多そうですね。


田所 当社で開発している食材はベジタリアンやグルテンフリー、ハラルといった様々な食の嗜好にも対応しているので、今後も可能性は高い分野だと思っています。海外の方から見ると、日本人は長寿で肥満体型の方が少ないという健康的なイメージが浸透しています。日本人の腸は欧米人と比較して平均67㎝長いのですが、この腸をきれいにするのが発酵食品である味噌なのです。


店舗数より「ハレの日のラーメン店」を目指す


——創業以来、様々な食材・商品の開発を続けています。


田所 当社は加盟店からのロイヤリティはいただいておらず、店舗への食材提供で収益をいただいております。そして収益を上げるためには、スープやチャーシュー、野菜などのすべての食材をPB化すれば良いわけです。味の画一化もできますし、店舗でもオペレーションも簡略化しますから。

 しかしそれだけをしていてもダメ。なぜなら、パックされて送られてきたスープと実際に店舗で炊きだしたスープとでは、味が違うからです。食べた時には差が感じられないかもしれませんが、30分経ってからの後味が違う。スープにも鮮度があり、フレッシュさに欠けるものでは物足りなさが残ってしまうのです。

 多くのラーメンチェーンが100~150店舗の出店で止まってしまうのは、この「味の統一化」を図ってしまうためです。知らず知らずのうちにお客に飽きられ、成長が止まってしまうのです。


——ただチェーン本部である以上、出店は続けていかなければなりません。

田所 現状、味噌ラーメンを提供するお店としてだけを考えるなら、300店舗までは出店できると思います。まだ出店余地のあるフードコートなどがありますから。

 ただ当社は、出店数だけにこだわってはいません。当社の店舗は、一般的なラーメン店と比べて広めのスペースを取っていますし、座敷も設けています。これはお客様がゆったりと過ごしていただくためですが、今後は誕生日や七五三、結婚記念日などの「ハレの日のラーメン店」として、より幅広い層にお越しいただけるお店を目指しています。


オープン前には8週間の研修


——店舗の収益モデルは。


田所 創業来、 「家賃50万円・月商1000万円」を目安にして出店を重ねてきました。現在のロードサイドメーンの出店は、ここに起因しています。売上に関してはすべての店舗で1000万円を達成できているわけではありませんが、たとえば直営店の行徳店(千葉県市川市)は、オープンから今年の冬で15年を迎えますが、今でも月に1100万円の売上があります。この店舗は当初800万円の売上からスタートし、少しずつ昨対比のアップを繰り返して1100万円を維持しています。つまり、当社の商品力やビジネスモデルに間違いがなかったことを実証していると思います。


——研修体制について教えて下さい。


田所 自社の研修センターを千葉に設けており、そこでこれからオープンする方向けの研修を行っています。フロアと仕込み、スープ場と仕込み、麺場と仕込み、管理業務と調理全般シフトの作り方というように、それぞれの項目を一週間単位で学び、合計で8週間行います。

それまでは直営店の中で研修を行ってきたのですが、中には飲食未経験の方もいらっしゃるので、包丁の握り方から教えるとなると直営店にも負担がかかります。現在は研修センターで7割程度を仕上げて、残りの3割を店舗で働きながら学んでいただくようにしています。

そしてオープン後は、2カ月に1度以上のSVによる臨店指導と、必要に応じては追加でよりきめ細かくお教えしています。


——ラーメンマーケットの将来は。


田所 ラーメンの市場は、現在よりも小さくはならないと予測しています。そうした中で大切なことは、店舗のお客さんにどれだけ食べに来てもらえるかということ。当社はそれを変わらずに追い続けることで、国内で100店舗を超え、ようやくスケールメリットを享受できる体制になりました。今後も勢いを緩めず、商品開発や供給拠点を拡充していきたいと思います。

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