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  • ビジネスチャンス編集部

業務用ビジネスコミュニケーションツール主軸で初の上場企業に 「Chatwork」サービスは24万2000社、300万人超が利用

Chatwork (東京都港区)


ビジネスチャットサービス「Chatwork」を開発・提供し、9月24日に東証マザーズへ上場を果たしたのがChatwork(東京都港区)だ。同社の2018年12月期売上高は、13億100万円、そのうちChatwork事業が86%を占め、ビジネスチャットを主軸に展開する初めての上場企業となる。2019年12月期は売上高17億7000万円を見込んでいる。(※2020年2月号より)



山本 正喜 社長(39)

やまもと・まさき

1980年12月16日生まれ、大阪府出身、電気通信大学情報工学科卒業。大学在学中に兄と共に、前身のEC studioを2000年に創業。以来、CTOとして多数のサービス開発に携わり、Chatworkを開発。2011年3月にクラウド型ビジネスチャット「Chatwork」の提供開始。2018年6月、同社代表取締役CEO兼CTOに就任。



大規模障害が株式公開目指す契機に


ビジネスチャットとは、PC、スマートフォン、タブレットなどにより、ウェブ上で複数人が同時にリアルタイムで、情報を共有、コミュニケーションが可能になる業務用ツール。

2011年のサービス開始以来、当初の8000社が2017年には16万社と順調に増加、2019年11月末現在、24万2000社以上、300万人超が利用している。

サービスはグループチャットのほか、タスク管理、ファイル共有、ビデオ・音声通話という4つの機能を有する。グループチャットでひとつのIDを持つ人数が14を超えると有料になるビジネスモデルだ。当初は無料で始めたユーザーは、半年から1年ぐらいで有料に切り替わるケースが多いという。現在の有料利用人数は39万人超。

「もともとIPOは考えていなかった」と話す山本正喜社長。しかし、資金調達による開発体制強化はもちろん、「事業の継続性や信頼性を担保にして、ビジネスチャットを社会インフラとして定着させたい」と考えIPOに舵を切った。きっかけは2014年に発生した大規模障害だった。

「利用者が右肩上がりになって勢いに乗ってきた矢先に、サーバが落ちるなどの大きなトラブルが発生し、顧客からのクレームや問い合わせなどが殺到したのです。その時に当社のサービスはビジネスのライフラインとして活用されていることを痛感しました」

翌2015年から資金調達を積極的に開始し、開発を強化。2018年6月には、創業者の兄から社長を継ぎ、現在の体制になった。


非IT業界での利用が増加


ビジネスのコミュニケーションツールは、電話・ファックス・メールへと、より簡易な方に流れてきた。チャットは、いつ見てもいいという気軽さも相まって、企業でのIT企業を中心に爆発的に増えてきた。国内マーケットは、2017年の62億円から、2022年には230億円へと3.7倍に成長するといわれている。

そのため同社の「Chatwork」のほか、「Slack」「kintone」「LINE WORKS」など大手企業含めて競合ひしめく分野でもある。一方で、開発には高い技術力が必要になり参入障壁は高い。

国内の事業所は個人事業所も含めて385万社あるといわれており、国内労働人口は6700万人にも及ぶ。「その中で、ビジネスチャットの普及率は23%です。従ってまだまだ開拓の余地があります」という。

他社のチャットサービスは、クローズド・グループウェア型と呼ばれ、社内で使用するIDと社外に繋がるIDを別管理しなくてはならない。しかし「Chatwrok」は、オープン・グループウェア型で、「社内・社外とも同じアカウントを利用できるため、プロジェクト同士での利用が可能になることで、登録や管理の手間がかからない。新規活用のツールとして導入しやすいはずです」ここに同社の強みがある。

「ビジネスチャットは、IT企業を中心に普及してきましたが、当社はもともと大手企業だけでなく、中小企業のIT化を支援することに注力してきました。士業、建設、介護、医療など300名以下の非IT業界で利用されているケースが多い。フリーランスのユーザーも増えている」


「Chatwork」は非IT業界での採用も増える

例えば介護の現場では、一人の患者のケアプランを共有化することで、ケアマネージャー、本部、医者、薬剤師などリアルに患者の状況を報告することができる。建設では、下請けを含めた図面・現場の共有や管理、士業ではクライアントとの相談などで活用されている。

部署やチーム、プロジェクト、顧客、トピックごとでグループを作るなど使い方は多種多様で、同社ではビジネスだけでなく、「雑談チャット・部活チャット・飲み会チャットなどもあります」という。

今後同社では、販売チャンネルと業種展開の拡大を成長戦略の一つとして挙げる。製造分野では、オフィスや工場・仕入れ・販売とのやり取り、小売りは店舗間・仕入れ先とのやり取りなどが考えられる。

「ビジネスチャットはまだまだ普及率が低い。様々な業種で使い方を啓蒙して、ビジネスチャットを当たり前にしていきたい」これまでは直販のみだったものを、キャリアなどの代理店を通じた販売にも広げる。

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