時間無制限の飲み放題で出入りも自由 0次会から2次会以降の需要取り込む新感覚のバー

セクションエイト(東京都渋谷区)


男女の出会いの場を提供するといったセンセーショナルな居酒屋業態の「相席屋」で一世を風靡したセクションエイトが、新たな柱業態の構築を急速に進めている。新ブランドの「The Publicstand(パブリックスタンド)」は、「出会い」と「飲み放題」といった要素を取り込んだバー業態として、2017年1月に1号店をオープン。その後約3年で19店舗(直営12/FC7)まで拡大させている。(※2020年2月号より)



安田隆之社長(59)

やすだ・たかゆき

中央大学大学院を卒業後、モービル石油にてMobil Oil Corporation及び、Mobil Asia Pacific Private Ltd.出向を経て、エクソン・モービルに転籍。その後、日本マクドナルドホールディングスで取締役上席執行役員、最高経営会議構成員を歴任。以降、コメダ顧問を経て代表執行役社長へ就任し、店舗網拡大とFC加盟推進を牽引。2017年10月にJ-STARの委嘱により、セクションエイトの社外取締役に就任。翌年5月に同社代表取締役社長に就任し、現在に至る。


─5年後の100店舗体制を視野に生まれたのが「パブリックスタンド」だと聞いていますが、どのようなコンセプトの店舗なのでしょうか。


安田 業態で申し上げると「バー」で、形態としてはスタンディングバーの括りになります。業態の開発経緯としては、まず、トラディッショナルバーやオーセンティックバーに近いものを作りたいというのがありました。しかしそういったバーは雰囲気が良く、お酒も頼めば何でも作ってくれるとは思いますが、店内は薄暗くてメニューもない。

またたとえば、マッカランの水割りをオーダーしても一杯いくらか分からないし、おつまみもいくらか分からない。そして会計時には結構な金額が記載された小さい紙だけがすっと差し出される。これだと入店するのにハードルが高いですよね。ですから誰でも気軽に、今までバーを経験したことがない人でも入店してもらえるような業態を考えた時に、定額制の飲み放題がいいのではないかと思ったのです。

そしてその上で、これまで手掛けてきた「相席屋」の特徴である出会いの場としての要素を提供できれば、面白い業態になると考えたのです。


─出会いを求める人たちが利用する相席屋については、世間でも様々な意見があります。しかし、あえてそのコンセプトは残したと。


安田 ただ単純に男女が出会う場所では決してなく、平日の夜であればサラリーマンの方も多いです。またパブリックスタンドは、営業時間内であれば何度も出入りが自由なので、飲み会前の0次会から始まり、2次会や3次会で戻ってきていただく利用も多いです。これまでそういった方はカラオケに流れていたりしたのですが、フードは食べずにお酒だけを飲みたいという人も多い。そこに需要があったのです。


─これまでそのような業態に他社が参入してこなかった理由は何なのでしょうか。


安田 ます大きな理由として、飲み放題にすることでの利益率を懸念したのだと思います。ビールサーバーが空になるくらい、浴びるように飲まれてしまったらどうしようと。しかし当社の直営店である恵比寿店を中心に調査したところ、実はそれほどでもないということが分かりました。大量に飲むというよりも、色んな種類のお酒を飲まれる方が多いので、トータルで見た時には十分利益が取れます。

そしてパブリックスタンドの場合は、店内調理を施すフードメニューが一切ありません。提供するのはスナックなどの乾きもの程度なので、キッチンオペレーションが発生せず、ドリンクを中心とした形態で回せます。またドリンクカウンターは詳細まで綿密に設計し、洗浄機等を使用せずにコンパクトにして、作業効率を高めています。その上で、ドリンクカウンターは25坪ほどの店舗であれば3〜4坪で収まるので、2〜3名でオペレーションができ、レイバーコストは18%程度で済むのです。


─ドリンク提供に特化した点が他社と差別化できていると。


安田 たとえば、他社さんではフィッシュアンドチップスであったりピザなどの提供をしていたりもしますが、先ほど申し上げた通り、それだとキッチンオペレーションが発生してしまいます。また新たに廃棄の問題も出てきます。通常、同等の規模感でバーを手掛ければ原価の2〜3%が廃棄となりますが、当社の場合は1%以下に抑えられる。なぜなら、「お酒は腐らない」からです。当社のFLコストが40%まで下げられるのは、こうした理由からです。


「あそこに行けば何か楽しいことがある」

ワクワク感を演出する店舗づくり


─現在は比較的人口の多い都心部を中心に出店をしていますが、今後地方に出店するとなると集客方法も変わってくると思います。


安田 現在でも一部地方都市に出店しており、現状、ここに出すとこれくらいの売上・利益が出るという出店マップはできています。ただ一方で、出店してみないと分からないこともあります。たとえば新潟市に出店している店舗は、爆発的に売上が伸びました。これを調べてみると、実は長岡市からの来店が多かったのです。来店者の方々は休みの前日から朝までオールを前提で新潟市に来ており、深夜も飲める場所としてパブリックスタンドに来店していたのです。このように、オールの方の受け入れ先機能を果たしているということも、出店してみて初めて気付いたことです。


─とりあえず飲みたい人たちにとっては、最適な場所になっていると。


安田 当社が目指しているのは、「何かあそこに行けば楽しいことがありそう」というワクワク感を持ってもらえる空間を作ること。そのためには2つの要素が必要です。1つ目は物件の選定。パブリックスタンドは路面店が前提のモデルです。どうしても条件が合わない場合は2階や地下も検討しますが、原則は1階の店舗です。なぜなら、パブリックスタンドはファサードをガラス張りにしているからです。つまり、外から中の様子が見えるのを理想としており、外から見て色んな年代の人たちが楽しそうに話している様子を見せていきたいのです。



そのために店舗の奥側は少し高くなる設計にし、入口から奥まで全体を見渡せるようにしています。ほとんどのバーは、お酒が並ぶカウンターを目立つように配置するのですが、当社ではカウンターは奥の隅にある。そうすることで若い女性でも入りやすい、安心できるお店だということを伝えていきたいのです。



外国人客増加も追い風だ

─2つ目の要素は。


安田 スタッフのコミュニケーション能力です。お客様がお店に来店する理由というのは、「いいことがないかな」や「楽しいことがないかな」「気持ちがいい」といった、定性的な部分が大きいと思うのです。もちろん、3000円(税別・週末は3500円)で飲み放題だからという定量的な部分でいらっしゃる方もいると思いますが、そこの区分では当社はお客様とのコミュニケーションを大事にしようというのがあります。

この能力は相席屋で培った強みでもあります。従業員が気軽にお客様に声掛けをしますし、コミュニケーションを取りやすくする仕掛けも用意する。たとえば誕生日会であったり、ハロウィーンやクリスマスにちなんだイベント、またスポーツイベントもあります。当社は一部でスポーツ番組の提供会社と契約もしていますので、パブリックビューイングのような形で店内を利用することもできるのです。


─これからの課題は。


安田 キャッシュレス化やITによる顧客情報の分析を強化したいです。キャッシュレス化については、ちょうど先月から「LINE Pay 」と「Ali pay 」のQR決済サービスを導入しました。今後は店舗に何回出入りをしているかを測定するための顔認証システムであったり、お客様がどこから来店しているかといった位置情報の解析も手掛けていきたいと思っています。

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