建設業界特化した人材派遣業で100億円突破 海外拠点開設し外国人人材の育成も強化

コプロ・ホールディングス(愛知県名古屋市)


3月19日、東証マザーズと名証セントレックスに同時上場を果たしたコプロ・ホールディングス(愛知県名古屋市)。建設業界に特化した人材派遣で売上高は100億円を突破し、2006年の設立以来順調に業績を拡大させている。同社の清川甲介社長は今後、海外人材の育成と高齢者雇用の活性化、プラント向け技術者派遣など、事業領域の拡大を進めていきたいという。(※2020年2月号より)



清川 甲介 社長(42)

きよかわ・こうすけ

1977年、愛知県生まれ。名古屋工業専門学校卒業後、地元建設会社にて現場監督を経験。大手アウトソーシング会社にて営業を5年経験し、グループ企業の社長を経て、2006年に前身となるトラスティクルーを設立。

3000億円市場規模で業界シェアは第3位


―設立12年で節目の売上高100億円を突破しました。


清川 2019年3月期の売上高は、前年比20.7%増の108億1900万円になりました。営業総利益も36億2400万円でいずれも過去最高を記録しました。


―建設業界に特化した人材派遣ビジネスを展開していますが、とび工や左官などの現場作業を手掛ける職人ではなく、技術者に特化しています。


清川 当社の場合、主に建設現場での工程管理・安全管理・品質管理・原価管理業務ができる人材を派遣しています。建設会社の正社員が担う管理者と、各種職人の間に入り建設プロジェクトの管理を実施する、というのが当社のスタイルです。派遣マージン比率は平均で約43%というところでしょうか。近年は建設業界だけでなく、プラント業界へ業域を広げています。現在、1763名が在籍しています。


―建設業界向け派遣ビジネスのマーケットは3000億円以上あると言われていますが、御社の位置付けは。


清川 市場で最も高いシェアを占めているのは夢真ホールディングス、次が、テクノプロ・コンストラクションという会社です。当社はこの2社に次いで業界3番手という位置付けです。

―同業他社と比べての強みは。


清川 他社は、若手に特化した未経験者が多い。安く採用して安く派遣するというモデルです。一方、当社は設立以来、意識的に経験者を集めてきました。そのため即戦力が多いのが強みでしょう。


―ただ近年は若手の採用にも力を入れています。業界未経験者も多いと聞きました。


清川 2019年の派遣技術社員は新卒・中途含めて計画を1000名採用としていました。業界未経験者は324名です。


―若手を増やしている背景は。


清川 最近は企業も若手の派遣ニーズが高まっています。このため、当社でも若手人材の採用に力を入れている。実際、年齢構成比は10~30代が約40%と年々増えています。


―人材的には未熟者が多くなりませんか。


清川 企業によれば、若い人はスキルはいらないそうです。それよりも、コミュニケーションがとれるかどうかが重要で、専門的なスキルは、こちらで教えることが出来る。むしろヒューマン的なスキルが求められています。


設立10年でIPOに舵切る

最短2年で2019年上場果たす


―今年3月にマザーズとセントレックスに上場を果たしました。そもそもIPOを決めた理由は。


清川 実は当初は全く上場しようとは思っていませんでした。業績も順調に伸ばしていましたし、リーマンショックも乗り切りました。転機となったのは創業から10年を経過して、売り上げが80億円になり、目標であった100億円が見えてきた時です。ちょうど10周年パーティーを開催する際に、次の10年30年後にはどうあるべきかを考えました。あくまでも100億円は通過点として、企業としての価値を高めていく。そのためには資金調達や知名度向上は欠かせない。そう考えた時、IPOを決心したのです。


―IPOを決めてからは早かった。


清川 上場は最短2年を目指しました。幸い業績は申し分ない。もっとも時間をかけたのは人事体制や財務面などの内部統制でした。実はこれまで財務経理は外部の専門家にアウトソーシングしていました。しかしこれではとても上場企業に見合うスピード感は出ない。内製化するために、これまで蓄積されたデータを移管し、新たなシステムを導入する必要性があったのです。


―上場してからも内部体制を整えている。


清川 実際、上場してからは、調達した資金で基幹システムの入れ替えを行っています。自動請求や自動計算などバックオフィスを充実させていることで省力化を図っています。これにより利益率を高めていきます。


―これまで順調に売り上げを伸ばしてきましたが、オリンピック需要がひと段落します。建設業界の今後の見通しは。


清川 確かに現在は、2020年のオリンピック・パラリンピックや復興需要などで建設需要は堅調です。ただ2020年以降の建設市場は緩やかではあるものの、右肩上がりになっていくと考えています。現在、オリンピック需要の反動が懸念されていますが、今後も、都心部では品川駅・渋谷・西新宿などの再開発やIR・リニア開通など大きなプロジェクトが進んでいるからです。


都心部では再開発が進む(写真は大阪・梅田駅周辺)

―一方で建設業界ももれなく人手不足の問題をはらんでいます。昨今の働き方改革の影響は大きいのでは。


清川 業界団体からは、建設現場の労働時間削減の指標が打ち出されています。労働環境の改善は重要な問題であることは間違いありません。しかし、派遣のメリットは残業すればするほど給料が上がっていくという点です。派遣先の企業も限られた工期の中で、できるだけ残業してほしいという要望も多い。お互いジレンマを抱えているのが現状です。当社としてもコントロールすることは難しい。その点は当社としても懸念しているところです。


プラント事業向けに業域拡大

IT化で社員コミュニケーション円滑に


―今後の成長戦略は。


清川 建設業界で蓄積したノウハウを生かした水平展開をしていきたいと考えています。新たな派遣先として、プラント工事事業者の開拓を始めました。従来の建設業界よりも高い単価が見込めます。


―国内での支店展開や海外進出も積極的に行っている。


清川 国内では営業・採用の拠点となる支店を4つ新設します。海外では、シンガポールに現地法人の設立、インド、フィリピンなどの東南アジアでは拠点作りのための現地調査を進めています。現地の人を採用し、彼らを育てることによって、国内で活躍できる体制を作っていきたい。将来的には母国に戻ってもらって活躍してもらうのが理想です。


―人材派遣ビジネスは如何に人的財産の価値を高めていくかにある。


清川 そのための投資は惜しみません。例えば専門学校などの教育機関をM&Aすることも考えています。また、ITやSEなどの人材を確保していくことで、事業領域はますま

す拡大していくでしょう。あと、忘れてはいけないのが、人材の定着率の向上です。今でも決して悪いわけではないのですが、より業務の効率化を図ることで、負担を少しでも軽減させていきたい。今回、調達した資金を元に、1800人の社員全員にスマートフォンを貸与しました。本社と密に連絡を取るなどのコミュニケーションを常に図る体制を構築しつつあります。例えば、画像で直接顔を見ることで、彼らの様子を把握することができれば、より綿密なフォローアップができます。当社のビジネスの大きな肝は人材ですから、より働きやすい環境づくりが重要だと考えています。

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