平均客単価2200円の鶏料理専門居酒屋、最新テクノロジーの導入で効率的な店舗運営を実現

てけてけ

(ユナイテッド&コレクティブ:東京都港区)

坂井 英也 社長(45)

Pro­file さかい・ひでや

1974年、福岡県出身。98年、法政大学卒業後に自動車メーカーに入社。1年で退職し、外食業界へ。2000年、ユナイテッド&コレクティブを設立し、創作和食居酒屋を開業。現在、「てけてけ」を中心に、3業態84店舗を展開している。

 にんにく醤油で焼き上げた焼き鶏や水炊きで人気の居酒屋「てけてけ」。首都圏ですでに3業態93店を展開し、4月からはフランチャイズ募集も開始した。運営を手掛けるユナイテッド&コレクティブ(東京都港区)の坂井英也社長に今後の事業展開について聞いた。


起業を志したきっかけは学生時代のサークル活動


――総合居酒屋の時代が終わり、世間では専門性の高いお店が人気を博しています。鶏料理をメーンに据えた「てけてけ」もこうした流れの中で消費者の心を掴み、順調に売り上げを伸ばしているようですね。


坂井 昨年度は積極的な新規出店が功を奏し、売上高約73億円、営業利益約2億1000万円、経常利益1億7000万円と、いずれも前年度を上回る結果を残すことができました。6月時点の店舗数は全ブランド合計で93店舗。内訳は「てけてけ」が85、「the3rdburger」が6、 「やるじゃない!」が2となっています。今期は新たに8店舗の出店を計画しています。


――坂井社長のプロフィールを拝見すると、外食業界に入る前は自動車メーカーに勤務されていたそうですね。


坂井 起業を考えるようになったのは大学時代で、サークル活動で組織運営に興味をもったことがきっかけでした。ただ、その想いがどこまで本気のものなのか、正直なところ自分自身でも分からない部分がありました。それでいったん社会に出て、自分の意思を確認することにしたのです。結局、わずか1年で自動車メーカーを辞め、外食の世界に入りました。


――独立に外食を選んだのはなぜでしょうか。


坂井 学生の時に友人の父親が切り盛りしていた居酒屋でアルバイトをしていて、お客様に喜んでもらえることの楽しさを知りました。やるなら世の中に貢献できるもの、人々に喜んでもらえるものを考えていたので、外食以外は考えられませんでした。会社を辞めた後、個人経営の居酒屋などで2年ほど和食の技術を学び、2000年9月に高田馬場に最初のお店を出しました。


創作和食店の失敗で「てけてけ」を開発


――ユナイテッド&コレクティブの主力業態は「てけてけ」ですが、最初は別の業態でスタートしたそうですね。


坂井 初めは「心」という、客単価4000円程度の和食をメーンにした創作居酒屋でチェーン展開を進めていました。この業態にしたのは修行の経験を活かせるのと、店舗を増やせずに終わるかもしれないので、やっていて飽きないものにしようという考えがあったからです。坪数わずか15坪弱の小さな店舗でしたが、初月で300万円、以降はずっと400万円以上の売上があり、すぐに経営は軌道に乗りました。学生のイメージが強い高田馬場で、あえて当時ほとんどなかった社会人向けの居酒屋を出したことが良かったのだと思います。


――好調だった中で、なぜ新業態の開発に着手したのですか。


坂井 きっかけは3号店の失敗でした。2003年に飯田橋に出店したのですが、料理長が辞めてしまったため、すぐに閉めることになってしまいました。 「心」はその日の仕入れや季節に応じて提供する料理を変える職人仕事にこだわる業態だったため、人の代えが利かなかったのです。価格帯もカジュアルではなかったので、チェーン展開には向いていなかったのだと思います。それで改めてチェーン展開に適した業態を作ることにしたのです。


――さまざまな食材がある中で、鶏をメーンに据えたのは何故でしょうか。


坂井 魚と比べて圧倒的に扱いやすいことと、子供の頃に博多で食べた祇園本陣というお店の焼き鶏の印象が強く残っていたからです。魚は季節や個体、調理する職人の腕によって味が変わるため扱いが非常に難しく、また、生で提供する場合は、さまざまなリスクも想定しなければならない食材です。一方で鶏肉は、熱処理するのでリスクが少なく、誰が扱ってもある程度同じ品質で提供することができます。


――「てけてけ」の1号店を出店したのは、数多くの飲食店がひしめく赤坂です。


坂井 家賃が高いのに土日の売上は見込めない、それでいて競争は激しいエリアですが、初月から想定以上の売上を上げることができました。赤坂には飲食店が数多くあるものの値段の高いお店がほとんど。カジュアルな価格帯で美味しい鶏料理を楽しめるお店はありませんでした。 「てけてけ」は2200円という平均客単価からも分かるように、非常にリーズナブルな価格設定になっていて空間もオシャレに仕上げています。こうした工夫が消費者に支持されたのだと思います。


――今や人気店となった「てけてけ」ですが、業態を開発する上で難しかったことはありますか。


坂井 雰囲気や業態ストーリーにもこだわりましたが、何よりも苦労したのは看板商品の「塩つくね」の開発ですね。オープン後も改良を続け、納得の味になるまであしかけ2年かかりました。我々はとにかく味にはこだわっていて、焼き鶏に使う秘伝のにんにく醤油だれや博多水炊きの濃厚コラーゲンスープも、時間をかけて作り上げています。


――味の均一化や業務の効率化を図るためにセントラルキッチンを設けることが飲食業界のトレンドになっている中で、店内での仕込みと調理にこだわっています。美味しさを追求できるかも知れませんが、店舗の負担が増えるとスピード出店の障害になるのではないでしょうか。


坂井 確かにそうです。実際、仕込み作業が多くなり過ぎた結果、店舗の負担が予想以上に大きくなってしまい、実験的にやっていたフランチャイズ2店舗のクオリティが低下してしまったことがありました。すぐに店舗負担を減らすために仕組みの見直しに着手し、例えば鶏餃子は、もともと仕込みからすべて店舗で行っていましたが、味を担保した上で製造を外部に委託し、店舗では最終過熱をするだけで済むようにしました。他にもさまざまな部分で業務の改善を進め、コスト削減や味の均一化を進めました。


――外食業界では人手不足が深刻で、どこのチェーンでも人材の確保や高騰する人件費の削減に苦労しています。


坂井 我々の店舗では、新しいテクノロジーを積極的に導入することで、少ないスタッフで店舗運営ができるように常に努力しています。50坪の100席の店舗ではピークタイムに10名程度のスタッフが必要だとされていますが、うちはオーダータブレットなどを導入しているため6名ないし7名で回すことができます。新しいものでは、今度実験的にセルフレジを導入します。これはおそらく居酒屋としては初の試みになるのではないでしょうか。


さらに低価格を求める価格に応えて

新業態「やるじゃない !」を開発


全国500店舗体制を目指す


――これまでは直営方式で店舗を増やしてきていましたが、今期からフランチャイズ募集を正式にスタートさせました。


坂井 狙いは大きく2つあります。一つは成長スピードを早めることです。店舗負担を軽減するための業務改善に目処がついたので、これからは直営と合わせ出店を加速させていきます。基本的には本部は一都三県を中心に、地方都市はFCで出店していこうと思っています。理論上は、全国で500店までは出せるだろうと見ています。

 加盟金は300万円(税別)で、これとは別に保証金を納めてもらいます。ロイヤリティは売上の3%に設定しています。原価率は27%、28%と、大手チェーンよりも低く抑えることができているので、早期の投資回収が可能です。


――FCは「てけてけ」の他、新業態である「やるじゃない!」でも募集していくそうですね。


坂井 「てけてけ」の平均客単価2200円というのは、居酒屋としては非常にリーズナブルですが、地域によってはもっと低価格で普段使いしやすい価格帯のものを求める声があります。それで「てけてけ」の料理を絞り込み、さらに低価格の業態として開発したのが「やるじゃない!」です。平均客単価は1500~1600円です。店舗はまだ2店舗ですが、これから直営も含めて増やしていく予定です。

 今期に関してはFCの目標数字は具体的に設定していませんが、我々の理念に共感してもらえる方に加盟してもらいたいと思います。

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