富裕層向け投資用IoTレジデンス一棟販売 AI活用した不動産DXビジネスも将来の柱に/タスキ/村田浩司社長

最終更新: 2月10日


タスキ

東京都港区

村田浩司社長(53)


10月2日に東証マザーズに上場を果たしたタスキ(東京都港区)。同社の主力事業は富裕層をターゲットにした投資用マンションの企画・販売だ。一方で、建築プランの自動生成システムやAIによる土地査定システムなど不動産テック事業にも力を入れている。2020年9月期の売上高は70億2700万円で前期比37・3%増、経常利益は5億2200万円とこちらは実に58・0%増となった。同社の取り組みを聞いた(※2021年2月号「話題の会社を直撃2」より)



村田浩司社長(53)

PROFILE むらた・こうじ

1967年生まれ。1991年4月明和地所入社、2002年3月新日本建物入社。2014年4月同社事業本部事業開発部担当部長、2015年1月同社事業本部住宅事業部長、2017年タスキの前身であるTNエステートに転籍、2019年10月タスキに商号変更、2019年11月同社代表取締役に就任。

「東京23区」「駅5分」に特化 平均3億円の新築物件企画・開発


10月1日、東証で大規模システム障害が発生した。翌日に上場を控えた村田浩司社長の元には、多くのマスコミから問い合わせがあり、同社はちょっとした話題となった。「思いがけず当社の名前が出て、困惑しましたが、こちらは何もできないので、東証の人を信じるしかなく、祈るような気持だった」という。翌日、無事上場を果たした同社の初日は、初値が付かず公開価格の670円の2・3倍となる1541円で引けた。


同社は東京23区、駅から徒歩5分以内で20坪程度という立地にこだわり、1棟売り用賃貸マンションを開発・販売している。ターゲットとする投資家は、純資産規模1億円以上の富裕層。このマーケット規模は約131世帯、299兆円といわれている。

「この層がいずれ発生する相続対策に焦点を当てて商品設計とコンサルティングを実施しています」(村田社長)。


仕入れる土地は駅近にもかかわらず、決して広くなく用途も限られることから、意外と売却が進まない。特に近年はホテル用地としての需要が高く、20坪程度の土地は好立地でも買い手がつかないことも多かった。実際、ある大手デベロッパーも「入ってくる案件は小さいものばかり」と嘆いていたほど。同社はここに目をつけた。


「今でも1日で多くの土地情報が寄せられる。これを精査し開発するのです」(村田社長)。

コロナ禍ではむしろ条件のいい案件が次々と舞い込んでくるという。「先日四谷三丁目で3棟を購入しましたが、いずれも1階に飲食店が入居していました。コロナ禍で家賃が滞るなど最近はオーナーの資金化ニーズが多い」(村田社長)。


同社の主力商品「Live Mana (リブマナ)」は、壁式RC工法で、1棟当たり10

〜20戸で4〜5階建てが中心。通常同規模の建物の販売価格は5億円は下らない。しかし

同社の場合は1棟当たり3億円程度で提供する。


「条件のいい物件が3億円程度ならば、投資家も買いやすいですし、投資のポートフォーリオも組みやすくなる。同じ投資家が2棟目・3棟目と買っていただくことも多く、リピーターの獲得にもつながっている」(村田社長)。


▲同社の「IoTレジデンス」

「商品の規格化」「定量発注」で工事会社への負担も軽減


同社の商品が安価で提供できる理由は、商品の規格化と工事会社への定量発注にある。


物件の構造は至ってシンプルで、真四角で真ん中に階段を配置する設計。間取りは基本1LDK。同物件は「Io Tレジデンス」と称するように、スマートフォンの音声入力によって外出先でも家電の遠隔操作を可能にしているほか、人の動きを感知する人感センサーにより、侵入者の発生を知らせる機能を標準装備する。人気が出難い1階部分をトランクルームにするなど物件の収益力を高めるための工夫も施している。


「容積は無視して、プランを統一規格化し住宅設備仕様も統一化を図った」(村田社長)。工期は8〜9か月で、手離れは早い。


工事に際しては、仕入れのドミナント戦略によって、「同一エリア・複数工事を建築会社に1社集中発注する。これにより工事の効率化が図られ工期も短縮できるという訳です。建設会社にとっても現場の人材を確保しやすい」(村田社長)。


例えば同社では、東京・江戸川橋で3か所の建設用地を取得したが、全て駅から5分以内に集中してさせている。施工は同じ建築会社に発注し通称「江戸川チーム」として活動してもらう。「1棟が終われば次の物件と、手間をかけずに次々と建築していくことで、効率的に動くことができますし、1社に一括発注すれば全体のコストを圧縮することができる」(村田社長)。

これが競合他社と比べて同社の特徴でもあり強みでもある。


中小企業に「給与前払い」サービス ITを活用したサービス続々


現在、同社の売上は投資用賃貸マンション販売が90%を占めているが、将来的に目指すところは不動産DX事業にあるという。

そもそも村田社長が、かつて在籍していた会社の休眠会社をMBOして同社を設立させたのは、「不動産会社としての機軸を持ちながら、テクノロジーによるライフプラットフォーマーを目指したい」との考えがあったからだった。


「子会社のままでは思い描くビジネスは難しいと考え独立を果たしたのです。認知度を高めるとともに新たな施策を打ち出すべく早期に上場を目指した」(村田社長)


同社が新たな事業として成長を期待しているのが、「Day Pay 」と呼ばれる不動産・建設会社向けの給与前払いプラットフォームだ。これは、従業員が給与日を待たずに、実際に働いた給与の一部をいつでも受け取ることができる福利厚生サービス。従業員は利用したいタイミングで、スマホ・PCから24時間365日、いつでも給与前払い申請ができ、勤務先の承認なく「即時」前払い金を受け取ることが可能になる。外国語にも対応しており、外国人労働者も利用できる。


「従業員からの前払い申請額は当社が立て替えてお支払いするため、企業側で準備金を用意する必要はありません。煩わしい事務作業もなく、最短1週間で導入可能です」(村田社長)。


建設業界は深刻な人手不足に直面している。実際、同社が依頼している業者にも影響が及んでいる。「このサービスを謳うことで企業の求人応募数の増加や従業員定着率の向上が期待できます。企業が人材確保に悩み、採用期間の延長や求人回数を増やす対策として大きな成長が期待できる」(村田社長)。


同社はまたDX関連サービスを矢継ぎ早に打ち出している。

今年スタートさせた「SMARTCITY VR」は、VRを活用してオンラインによる非対面営業システムで、ウィズコロナでの販売方法として確立させた。

最寄駅から建物の動線、外観や共用部、間取りやデザインなど全てをCGや360度カメラ等で撮影しVRで提供する。最終的には対面での契約になるが、何度も現地に足を運ぶことなく、営業効率を向上させる。


「国内だけでなく、国外の投資家の方への営業も可能になり、新たな販路も確立できる」(村田社長)と期待も大きい。 


また、1口10万円から始められるオンライン完結型小額不動産投資サービス「タスキFunds 」は、投資家のすそ野を広げることを目指している。


「今後も駅近小規模物件を軸にする戦略は変えず、デジタル技術に力を入れ大きな柱に育てていきたい。不動産事業をデジタル事業が抜くことが理想です。当社は単なる不動産会社ではなく、DX会社として認知していただけるよう事業を展開していきます」(村田社長)。


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