大手つけ麺専門店がFC開始 地方中心に年間10店舗の出店を目指す

三田製麺所

エムピーキッチン(東京都渋谷区)

村上 竹彦社長



村上 竹彦社長

むらかみ・たけひこ

1961年5月生まれ、東京都三宅島出身。日本大学法学部を卒業後、立花証券を経て、ゼンショー(現:ゼンショーホールディングス)に入社。20年の在籍期間で、一介の社員から執行役員開発本部長、ゼンショーの代表取締役などを歴任し、2017年にエムピーキッチンへ移籍。同時に、同社代表取締役に就任する。

2020年の麺業態FC特集

都内を中心に国内38店舗・香港2店舗でつけ麺専門店「三田製麺所」を展開するエムピーキッチンが、フランチャイズ展開に乗り出した。つけ麺自体が東京発祥であることもあり、同社も都心部では圧倒的な知名度とファンを持つが、今後はFC展開を通じた地方攻略がカギになる。同社率いる村上竹彦社長にその勝算を聞いた。

─昨年11月から本格的にFC展開を開始しました。経緯は。


村上 現在、ちょうど40店舗の体制になり、業態のフォーマットとしてより拡大できるという確信に至りました。ただその一方で、東京や大阪はともかく、全国規模で見るとまだまだつけ麺自体の認知度が低いと感じていました。現在、既に広島では3店舗運営していますが、それなりの手応えを感じています。ですから全国の人たちに早く、当社のつけ麺の美味しさを伝えたい。そこで考えたのがFCでした。


─三田製麺所は、創業者が一等立地勝負にこだわって来たため、これまでは都心部の路面店を中心に出店を行ってきました。地方への出店となると、ロードサイド店での運営も避けられません。


村上 ロードサイド店は、これまで都内だと国分寺にあり、地方では大阪の堺で2018年に出店しました。ここで実際にお客様からの支持もいただける結果となったので、ロードサイドでもいけると。路面店だけだと立地が限られますが、ロードサイドでも出店できるのであれば、FC展開という部分でも相性がいい。現在は堺の他に、愛知県の岡崎や豊田、三河安城にも出店しています。


─単純につけ麺自体が全国で普及していないだけで、エリアによる参入障壁はないということですね。


村上 私は前職でゼンショーホールディングスに在籍しており、その時にGMフーズというラーメンをメインにした会社の代表をしていた経験があります。その時に色んなお店を出店してきましたが、エリアによる差はそんなにはありません。そこのエリアのポテンシャルがしっかり見極められれば、売上予測はそんなに外さないという経験則があります。


─つけ麺というものはラーメン店のいち商品として提供されているケースが多く、つけ麺専門店としてチェーン展開しているブランドだけだと多くないと言われています。この状況をどう見ていますか。


村上 ラーメン店さんのことを悪く言うつもりは毛頭ありませんが、やはりラーメン店で提供しているつけ麺というのは、いち商品であるが故に、流行や片手間で提供されることも多い。そのため、スープもラーメンのものを転用していたり、麺もつけ麺に適しているものではなかったりします。当社の場合、麺は小麦の風味が効いた石臼挽きの専門小麦を使用し、もっちりとした触感が味わえる極太角ストレート麺で、茹で方から締め具合まで最新の注意を払って作っています。こうした点をより多くの方に知っていただければ、つけ麺店のシェアはもっと伸びると考えています。


─ 差別化できる商品力があれば、つけ麺単体での店舗も成立すると思いますが、裏を返せばつけ麺を食べたいと思う人以外は、なかなか来店しづらいのではないのでしょうか。


村上 確かに間口が狭まってしまう点はありますが、そこはつけ麺の領域内で、柔軟にメニューの改良を行っています。当社の場合、スープはこれまで魚介豚骨一本できていました。しかし昨年の春先から、「鯛塩つけ麺」を提供しています。これは従来よりもライトなスープで女性を対象にしたものですが、おかげさまで受けも良く、女性の来店率向上に寄与しています。このように現在もお客様に対しての選択肢を広げる意味で、様々な商品を用意できるようにし、お客様のニーズに応えられるようにしていきたいと思っています。


─現状の集客対策は。


村上 SNSを用いたPRを積極的に行っており、Twitterのフォロワーは現在1万4000名となっています。当社規模のチェーンであれば、比較的多い方だと思います。また昨年は、女性限定でTwitter やInstagramで商品の写真や動画の投稿をしていただいた方に、無料でレディースセットを提供する「つけ女祭り」というイベントも行いました。地道な活動ですが、つけ麺を知らない人たちに知っていただけるようにと行っています。



木目調で明るく清潔感のある店舗を意識


商品提供まで3〜4分

一時間で160名に対応


─ 単品業態のお話は先ほども出ましたが、ビジネスモデル上では、ラーメン店と比べてどこが異なりますか。


村上 大きな違いは、オペレーションが簡素化されるという点です。スープに関しては、外部である程度まで作り上げたものを店舗で仕上げて提供するので、一から炊きだしているラーメン店に比べればはるかに工程が少ないですし、味についてもほぼぶれがありません。また麺茹でも同様です。通常、麺茹には7分30秒かかるのですが、店内が混雑しているピーク時などは注文を予想して、予測麺でどんどん作っていきます。その結果、3~4分で提供できるので、むしろラーメンよりも早い。実際、当社のアリオ柏店での記録は、ワンレジで一時間に160名を対応した実績があります。これはマクドナルドさんやすき家さんよりも早いスピードです。

お客様が一杯来たら、とにかく麺を盛ってスープを入れて出す。具はスープ丼に仕込んでおきますから、麺を茹でて締めて仕込んだ丼にスープを入れて出す。これだけの単純作業です。提供時間が早すぎて、たまに「何で太麺なのに、こんなに早く出てくるんだ」とお叱りを受けることもあります(笑)


─提供時間を短縮することで、結果的に稼働率も上がり、売上も伸びやすい。


村上 ピークタイムは昼の12~13時で、この一時間だけで日商の15%程を売り上げます。月商は平均で850万円、最も高い売上の店舗は月商1500万円を売り上げます。営業利益は直営で20%出ていますから、FCではロイヤリティを差し引いても15%は残るフォーマットとなっています。


しっとりとコシのある麺にはファンも多い

─今後は郊外へ出店も行っていくため、サラリーマン以外にも幅広い利用者を獲得していかなければならないと思いますが、その点はどのように対応していきますか。


村上 どうしてもラーメン専門店やつけ麺専門店は、黒を基調とした少しマニアックな内装のテイストが多いですが、当社は木目調で明るめのコンセプトでお店を作っています。清潔感を感じ取ってもらい、お子様からシニア層まで幅広く安心して入っていただける店舗を目指しています。実際、こうしたタイプの店舗に変えてから、女性の利用比率が高まってきている感覚はあり、高い店舗では4割ほどが女性のお客様です。


─投資金額は。


村上 出店のパターンは、路面店とロードサイド、フードコートの3つに分かれます。今後積極的に展開していきたいロードサイド店だと、スケルトンの状態から30坪の店舗を作るとなると4000万円ほどかかってしまいますが、実は路面店タイプでもスケルトンから出店するとなると25坪で3300万円ほどかかるので、さほど変わりません。かなり条件が整った状態の居抜き物件であれば、1000万円ほどで出店することも可能です。


─路面店とロードサイド店の選定はどのように考えていますか。


村上 路面店で考えると、都内はもうそこまで出店する場所がありません。そうなると考えられるのは関東や東海、近畿や中四国、九州中心でしょうね。それ以外の地方都市はロードサイドで出店したいです。


─未経験者の初期研修は。


村上 基本的に丸々1カ月、稼働日数で30日間の教育期間を設けます。当社の繁盛店で最も実績のある教育担当者が、手取り足取りしっかり教えます。店長候補の人材であれば、この期間内で基本的なオペレーションは習得できます。また店舗に送り込む人材を面接し、その方に相性のよさそうな店長の下へ送り込むこともできますし、ローテーションを組み、様々な店舗を見ていただくことも可能です。


─今後の出店計画について教えてください。


村上 今年は直営店で6店舗を計画しており、それとは別にFCで4店舗出店したいと思っています。その後はFCを中心に、できれば3年で100店舗体制に持っていきたいと考えています。これまで商品や利用者層がある意味一本で固定されてきていましたが、今後は間口を広げ、お客様のニーズに応えられる商品や店舗作りにも注力していきたいと思います。

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