均一価格を武器に急成長を遂げた焼き鳥居酒屋 タッチパネル導入で人件費の削減に成功

鳥貴族

大倉忠司 社長(58)


1960年2月、大阪府出身。焼き鳥店に勤務した後、85年に独立して、東大阪市内に「鳥貴族」1号店をオープン。86年に現社の前身となるイターナルサービスを設立して代表取締役に就任。2014年にジャスダック上場。東証2部を経て、16年に東証1部上場企業の仲間入りを果たした。


298円(税抜)均一価格を旗印とし、大阪、東京、名古屋を中心に650店以上の焼鳥居酒屋チェーンを展開する鳥貴族。2017年7月期は売上高293億円を達成したが、今期は昨年10月に実施した値上げの影響で業績予想を下方修正した。しかし2020年1000店舗を目標に掲げるなど、強気の経営方針に変わりはない。


将来を見据えて30年ぶりに覚悟の値上げ


――7月に通期業績予想の減額を発表されました。既存店では客数や単価が前期より下がっていますが、これはどのように分析されていますか。


大倉 昨年10月に実施した価格改定の影響があるのは間違いありません。弊社は社会的に“デフレの味方”というイメージがありましたが、それなのに値上げに踏み切ったわけですから仕方ありませんよね。均一価格で売っていたものだから値上げも非常に分かりやすい、これが予想以上にメディアで取り上げられてしまいました。


――30年ぶりとなる値上げを決断された理由は。


大倉 このタイミングになったのは、消費税が引き上げられてからでは値上げできないと考えたからです。短期的に見ると確かに売上は減りましたが、これは一過性のもので、中長期的には間違いない決断だったと私は思っています。


かつてリーマンショック後にも焼き鳥チェーンの均一価格競争が起こり、似たようなお店があちこちにできました。うちの店も1年半ほど既存店売り上げが前年割れしましたが、やはり利益が出ないということで模倣店はみんな止めてしまいましたね。弊社のように国産食材や店舗での串打ちにこだわるスタイルは、他では真似できません。お客様もうちのそういう部分をきちんと価値として判断してくださるので、一時的に他店に流れることはあっても、必ず戻ってきてくれます。


道頓堀空中店の成功で東京進出を決意

――7月末時点で全国665店を展開されています。直営と一般で言うところのフランチャイズに該当するTCC(鳥貴族カムレードチェーン)店舗の比率は。


大倉 直営の方が早いペースで増えているので、もうすぐ7対3くらいの比率になります。今期は直営店80店の開店を目標にしています。


――「TCC」という独特のネーミングで呼んでいるのはなぜですか。


大倉 「カムレード」とは“同志”という意味。TCCを始めたのは1991年社員が独立するというので、暖簾分けする形で発足しました。現在15社がTCCのメンバーですが、ほとんどが関西資本で、元社員や私の友人がほとんどです。各社とも20~70店を展開しています。一般的なフランチャイズのように、一般の方を受け入れることはしていません。


――100店舗を達成した2008年以降、加速度的に店舗を増やしています。きっかけは何だったのでしょうか。


大倉 2003年に大阪で35点目に出店した「鳥貴族道頓堀店」の成功が契機になりました。すでに一定の知名度はありましたが、あれだけ競争の激しい繁華街で、しかも空中階という立地で大繁盛させることができたのが大きかったですね。


 同じビルの中には有名な居酒屋チェーンの店舗があったのですが、最初はその居酒屋から席が埋まっていきました。それがいつの間には逆転しました。大きな自信になりましたよ。これで東京に出ようと決心しました。空中階の成功で路面店にこだわる必要がなくなったことも、出店を加速させた要因の一つです。


人件費をかけてでも店内調理にこだわる


――店舗の標準の広さはどのくらいになるのですか。


大倉 厨房を入れて標準で40~50坪、70~80席の店が多いですね。大規模店舗になると60~70坪で100~150席。こちらは渋谷や池袋、新宿などの主要都市にしかないので、数は全店舗の3分の1以下になります。全店均一メニューのため、厨房は焼き台の他にコンロやフライヤーなどが1台ずつあれば済みます。総合居酒屋と比べると、かなり省スペースできる業態です。


――外食経営で一番難しいのはFLRコストの管理だと言われています。鳥貴族ではどんな比率になっているのでしょうか。


大倉 大量購入で仕入れコストを引き下げているものの、国産の素材にこだわっているのでF(材料費)は30%くらいになります。これは他店とさほど変わらないでしょう。しかし、R(家賃)については7~8%とかなり低く抑えています。普通は12~13%くらいと言われていますが、うちは店舗がコンパクトなうえ、ほとんどの店舗が地下もしくは空中という立地なのでこの水準になるのです。ブランド力が相当付いてきたので、どんな立地でも集客できます。


――L(人件費)の割合はどれくらいですか。


大倉 串打ちなどの仕込みも各店舗で行っているので、Lは33%程度になっています。そこまでやるかと言われることもありますが、ここはうちのこだわりなので止めるつもりはありません。


――外食業界でも人手不足が大きな問題になっていますが、一部の業態ではこれを解決するためにITを採り入れる動きが活発になっています。御社でもタッチパネルの導入を進めておられますね。

0回の閲覧

ビジネスチャンス

次なる成長を担うすべての起業家を応援する起業&新規事業の専門情報誌
 

© 2003-2020 株式会社ビジネスチャンス