全国75万店舗の顧客基盤を活用し 「BGM配信」から「総合支援サービス」へ脱却

USEN-NEXT HOLDINGS(東京都品川区)


全国75万店舗の顧客基盤を軸に、BGM配信、店舗向けIoT、電力・都市ガス販売など幅広い事業を展開するUSEN-NEXT HOLDINGS(東京都品川区)。個人向けサービスでも、映像配信の「U-NEXT」が有料動画配信サービスで国内シェア2位を占めるなど、業績の拡大が進んでいる。今期の過去最高収益達成はほぼ確実となり、中期経営計画の目標である、2024年8月期の売上2300億円という数字が大きな現実味を帯びてきた。

                                (※2019年8月取材)



宇野 康秀社長(56)

うの・やすひで

1963年生まれ。明治学院大学法学部卒。リクルートコスモス(現:コスモスイニシア)入社、その後、インテリジェンス(現:パーソルキャリア)を経て、大阪有線放送社(現:USEN)社長就任。2010年、旧U-NEXT(現:USEN-NEXT HOLDINGS)社長就任、2017年USEN-NEXT HOLDINGS(旧U-NEXTより商号変更)社長就任(現任)。



年間売上高1700億円

コンテンツとエネルギーが快調


―7月に発表された2019年8月期第3四半期の業績は、売上高1283億円、進捗率は75.5%まで進んでいます。今期の売上高予想1700億円の達成見込みは。

宇野 ほぼ計画通り推移していますので、予想の売上高はクリアできるでしょう。

―BGM配信サービス含めた主力の店舗サービス事業は、356億円超と相変わらず好調です。

宇野 BGM配信に加え、消費税増税に伴う軽減税率に対応したPOSレジ「Uレジ」や、WiFi「USEN SPOT」、決済サービスの「USEN PAYGATE」など、店舗向け商材の強化を図ってきました。特に「Uレジ」は前年と比べて約1.5倍の増収です。当社はこれまでの「BGM配信のUSEN」から、「店舗総合支援サービスのUSEN」へとブランドチェンジしている最中で、このセグメントは今後も大きな伸びが期待できます。

―コンテンツ事業とエネルギー事業も今期は大きく伸びています。動画配信サービス「U-NEXT」については、会員数がこの3年間で2.8倍に増え、前年度比約1.4倍の増収です。

宇野 Netflix、Huluなど海外系の大手がひしめく中で、ユーザーシェアはトップ3にまで拡大しました。幅広いラインナップを揃える方針が数字に表れたと思います。会費は月額1990円と他のサービスより少し高い設定ですが、代わりにポイントが付与され、そのポイントを使って最新作の映画を見られます。また作品数は、国内サービスナンバーワンで、ジャンルごとに担当者をおき、コアなファンが好む作品をしっかりと調達できている。そこが我々の強みですね。映像配信サービスは上位しか生き残れないので、会員は今後3倍、4倍に膨れ上がっていきますし、シェアももっと広げられるでしょう。

―一方で、店舗や工場向けに電気・ガスを販売するエネルギー事業はまだ赤字です。

宇野 2016年に立ち上げた「USENでんき」の売上は、昨年度の約2.2倍に成長しました。こちらは8月に黒字化しましたので、来期からは完全に黒字転換できます。メインターゲットになるのはスーパーやコンビニで、市場規模はおよそ4.5兆円といわれていますので、拡大の余地は大きいとみています。

 しかも積み上げ型のビジネスなので、そこから大きくマイナスになることはないでしょう。また都市ガス販売の「USEN GAS」の提供エリアも、これから拡大していく予定です。エネルギー事業は、他の商材・サービス販売へのきっかけとなるフック商材ですので、当社の重要事業として位置付けています。

店舗以外にオフィスにも進出

社内連携で多様なメニューを提案

―6月に発表した中期経営計画では、「NEXT for 2024」をスローガンに、2024年の売上高2300億円という目標を掲げています。

宇野 ほとんどが顧客から毎月お金をいただくストック型ビジネスなので、顧客数と取扱い品目が増えていけば売上高もおのずと増える。現在のペースで行くと5年後はここまでいくでしょう、という数字です。

―やはり大きいのは、シェアトップのBGM配信サービスを通じた顧客基盤を持っていることです。

宇野 昨年、シェア第2位のキャンシステムを傘下に収め、顧客数は全国75万店舗になりました。基本はその数を維持していきます。ただ寿司屋のように、業種によってBGMが不要なお店もあります。しかし我々は通信回線のサービスも提供していて、それは今後ほとんどの店に導入されていくサービスですから、顧客数として75万店舗を超えて伸ばす余地はまだまだあります。

―BGMの顧客にも通信回線サービスを提供し始めるなど、様々なソリューションを提案しています。

宇野 たとえば店舗によっては、POSレジが必要だったり、安い電力を求めていたりするわけです。顧客への付加価値を提供することで、顧客を増やすという横方向の上積みと、平均単価が上がるという縦方向の上積みがあると考えています。

―BGM配信サービスでいえば、既に飲食や小売り店でのシェアは断トツです。そう考えると、拡大の余地は意外と小さいのでは。

宇野 確かに小売り・飲食店でのシェア拡大は大きく望めないでしょう。ですからその分、各店舗に合ったメニューを提案することで、単価を上げていく必要があります。また、それ以外のニーズを獲得していくことも重要です。

―飲食や小売店だけではなく、オフィスにもBGMを導入するサービスにもチャレンジしていますね。

宇野 昨今の働き方改革で、社内環境の改善や時短のために音楽を活用する会社が出てきています。この分野はこれから大いに期待ができそうです。

―今年4月には、オフィス向けクラウドサービスを提供する会社「USEN Smart Works」を立ち上げました。

宇野 法人向けに通信回線を提供していく中で、クラウド型のアプリケーション(SaaS)の導入支援をしていたところ、伸びが非常に大きいことが分かりました。そこで、独立して専門知識を持った人員を置くことで、さらに伸ばせるだろうと思いました。実際、本格的にスタートしたばかりですが、「USEN Smart Works」のサービスを導入する事業所は大きく増えています。

―BGM配信サービスだけでなく多様なサービスを展開している中で、顧客ニーズに合うものだけを提案するのは難しいのではないのでしょうか。

宇野 ここ10年ほど、まさにその悩みと対峙してきました。今は顧客に合わせた提案が70~80%達成できた段階で、まだまだできると思っています。

―以前とは提案方法も変わってきたということでしょうか。

宇野 かつてはBGM配信サービスを売るのが一番大事でしたが、最近は顧客数をいかに増やすかに重きをおいています。たとえば、店舗への営業担当者にレジに対するトレーニングを積んでもらうことで、BGMはいらないという顧客にも「タブレットを使ったレジサービスもやっています」と、サービスの幅を広げて話ができるようになっています。実際、軽減税率施行を前に顧客からのレジに関する問い合わせがとても増えました。

―とはいえ、サービス品目が非常に多いので、営業スタッフ一人で全部を理解することは難しいでしょう。

宇野 そこでさらに詳しい担当者につないでいくこともありますし、テレマーケティングやオンライン会議システムで資料を見せながら説明する専門部隊なども、組み合わせて提案をしています。


店舗の「変革期」見据え

省人化・人材確保事業も

―今後伸びが期待できるのはどのサービスですか。

宇野 やはり店舗サービスですね。コンテンツ配信やエネルギーはこのままでも伸びていきますが、店舗については業界に変革期が来ている。先ほどの軽減税率もそうですが、インバウンド客やキャッシュレス化への対応、それに人手不足なので省人省力化も必要と、課題が山積しています。我々がテクノロジーを持った新しいサービスを提供していくことで、顧客の課題を解決しつつ、ビジネスの幅を広げて単価を上げていける大チャンスになると思っています。

―具体的にはどんなサービスを考えていますか。

宇野 既に外国人採用支援の事業を始めています。今年4月に改正された入管法に従い、就労できる在留資格を持った人材の紹介と、外国人を採用した企業に義務付けられている教育管理の業務委託請負です。

―人手不足はどの店舗でも深刻な問題になっています。

宇野 店舗の人手不足を解決するには、省人化や業務効率を上げるとともに、人の採用、教育、管理というHRの対応も必要になる。我々はセルフオーダーアプリのサービスなど効率化も提案しますが、HRの部分についても少しずつサービスを増やしていきたいですね。

―省人化というテーマでいえば、2006年に買収したアルメックス社が展開するサービスにも大きなチャンスがありますね。

宇野 この会社は、主に病院やホテルなどに向け自動化した業務管理システムや機械を販売しています。こちらも新商品の市場投入や、提案型営業を強化しています。

―ホテル分野ではインバウンド増加によってアルメックス社の自動精算機やシステムが採用されることも増えています。

宇野 病院に関しても、たとえば受付再来機は、顔認証でキャッシュレス決済のサービスまでできるようになっている。この分野の変革はとても大きいので、ここにも大きな可能性があると感じています。

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