保険業界の一社専属文化を破壊した新規ビジネス/アイリックコーポレーション勝本竜二社長

アイリックコーポレーション(東京都文京区)

勝本 竜二 社長

一社専属が当たり前だった保険業界に、「複数の保険を比較検討するための保険ショップ」という新しいビジネスを持ち込んだアイリックコーポレーション(東京都文京区)。主力ブランド「保険クリニック」は全国で200店を突破し、2018年の9月には、満を持して東証マザーズへの上場を果たした。保険業界の革命児、勝本竜二社長を直撃した。(※2020年2月号「IPOに成功した経営者たち」より)

勝本 竜二 社長(55)

かつもと・りゅうじ

1964年3月17日生まれ。共栄信用金庫(現のと共栄信用金庫)を経て、1982年にアメリカンライフインシュアランスカンパニー(現メットライフ生命保険)入社。1999年に、国内初の保険相談窓口「生命保険情報ステーション(現保険クリニック)を立ち上げる。

――来店型保険ショップ「保険クリニック」を全国展開されています。

勝本 商業施設を中心に、2019年11月末時点で全国で214店を出店しています。このうち直営は41店、残りは地域密着の保険代理店が加盟するフランチャイズ店になります。昨年度の年商は連結で約39億円。今期は42億円を目標に、事業を進めています。

――保険ショップは、全国で約2500店あると言われています。勝本社長がこの事業を始めた経緯を教えて下さい。

勝本 保険の業界には長らく1社専属という文化があって、富裕層は別として、個人が複数の生命保険会社の商品を比較検討できるような仕組みがありませんでした。30兆円という巨大なマーケットを支えている個人に対して、十分なサービス提供がなされていなかったのです。53%の方は外務員の方から話を聞いて保険に加入していました。

しかし、色々な商品を見れば、もしかしたらもっと自分に合ったものが見つかるかもしれません。保険業の改正で、ちょうどそういう時代になりつつあるタイミングでもあったので、より良い保険サービスを提供しようということで、この会社を立ち上げました。

――新しいビジネスモデルを作るにあたり、色々な苦労があったと思います。

勝本 一番苦労したのは資金繰りです。何十社もある保険会社の商品を比較検討したり、あるいはお客様が過去にどんな保険に入っていたのかを確認して説明するためには、どうしてもシステムが必要になります。それで2002年にインフォディオというシステム開発の子会社を作ったのですが、これが非常に苦労しました。というのも、システム開発はものすごいお金がかかるんですね。しかもいったん作り始めると止めることができません。完成するまでは、お金を垂れ流すだけです。子会社で開発していたので、外注するよりはだいぶ安かったのですが、それでも資金繰りが追い付かないくらい大変で、保険を売った手数料が入ってきても、大半はそのまま開発の方に回していました。銀行も貸してくれないし、ベンチャーキャピタル向けの説明会をやっても駄目。最終的に足りなくなったときに友人たちがお金を出してくれたおかげで、2004年に何とか完成にこぎつけることができました。

――現在、直営とフランチャイズの両輪で店舗展開されています。フランチャイズについては事業を始めた当初から構想としてあったことなのでしょうか。

勝本 自分達の力だけで全国展開できるなんてことは最初から考えていませんでしたので、最初からFCも含めた事業展開を考えていました。特に地方は、我々が出て行ってやるよりも、地域に密着してやっておられる保険代理店に仕組みを提供してやってもらった方が、ずっと効率が良いだろうなと考えていました。

――2018年9月、東証マザーズに上場されました。上場を目指すことになったきっかけは何でしょうか。

勝本 起業した以上、少しでも上のステージを目指すというのは当たり前のことなのでしょうけれど、私の場合は友人たちに恩返しをしたいという気持ちが強くありました。先程も話したように、システム開発で会社の資金が底を尽きかけたとき、友人たちがいなかったらこの会社はなくなっていたかもしれません。どうにかしてこの恩を返そうと思い、それでIPOを決意しました。もう15、16年前のことです。

――IPO決意から、実際に上場するまでかなり時間が経っています。

勝本 実は去年が3回目のチャレンジでした。最初の挑戦は今から10年ほど前で、当時の大証ヘラクレスに上場申請しました。ところがスタッフが少なく、ガバナンス面にも不安があったことから、承認が下りませんでした。2回目は確か、リーマンショック直後くらいの時期だったと思いますが、株価の折り合いがまったくつきませんでした。提示された額では、とてもじゃないが支援してくれた友人たちに恩返しができなかったので、やむを得ず断念しました。3回目ともなれば馴れたもので、2年ほど前から経営企画室や管理法部の方にはいつでもいける体制を作っておくように指示を出していました。

それで営業ラインが軌道に乗った段階で、ゴーサインを出しました。「今回はいける」という感触が十分にありましたね。

――少子高齢化が進む中で、将来的にさまざまなマーケットの縮小が懸念されています。保険市場はどうなのでしょうか。

勝本 このマーケットはまだ伸びています。契約件数も増えていて、2017年度は約1700万件でしたが、2018年度は2200万件まで増えました。今はちょうど保険の入れ替わりの時期で、死亡保障や医療保障から介護や年金的な要素の強いものに乗り換える方が増えています。少子高齢化の影響で保険産業は衰退するなんて言われ方をすることもありますが、もちろん何十年も先はどうなるか分かりませんが、少なくとも現状のマーケットを見る限りは、そうした雰囲気は感じられませんね。

実際、出店競争も激しく、新しいショッピングモールがオープンするとなると、ほぼ間違いなく保険ショップが入ります。出せば必ずお客様が来るので、好立地の取り合いになっ

ています。

――御社のホームページなどを拝見すると、「健康年齢で保険料が変わる時代が来る」というようなことが謳われています。

勝本 遅かれ早かれ、これからそうなっていくと思います。健康を維持すれば、保険料を少し安くしますというようイメージです。すでにそれに近い保険も出てきています。そもそも同じ40歳でも、健康な人とそうでない人で同じだけ保険料を支払わなければならないと言うのはおかしいですよね。

――今後はどのような戦略で、店舗網を広げていく計画なのでしょうか。

勝本 FCはこれまで、地域に根差した保険代理店を対象に加盟開発を行ってきたのですが、出店速度を上げるため、最近は他業種の取り込みにも積極的にチャレンジしています。その一環で、東京・千葉・埼玉などで「スーパーBeLX」を展開するサンベルクスグループや、「TSUTAYA」と業務提携しました。直営については新規出店に加え、他のチェーンをM&Aすることも考えています。

直営、フランチャイズの両輪で、店舗網をさらに広げ、なるべく早い時期に500店までもっていきたいと考えています。また、システムについてもさらに枠を広げて提供していきたいと思います。


FCを保険代理店以外に広げ店舗網の拡大を図る


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