企業研修実績年間2万件、受講者数は50万人、レジュメ、 講師の分業制で 「量」 と 「質」 の両立図る

インソース 東京都千代田区


舟橋 孝之 社長

PROFILE ふなはし・たかゆき

1964年4月生まれ。大阪府出身。神戸大学経営学部卒業後、三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。システム部門では顧客分析システム等、リテール部門にてテレフォンバンキング等を企画・開発した。退行後ベンチャー企業を経て、2003年同社を設立。



 東証一部上場のインソース(東京都千代田区)は、社会人向け研修ビジネスを展開、これまでに2万5000社以上との取引実績を持つ。講師派遣と公開講座を合わせた年間研修回数は約2万回、年間総受講者数は約50万人にものぼる。手掛ける研修コンテンツは実に4500種類。同社はレジメ作成と講師を分業することで、膨大な量のカリキュラムと研修の質の両立をさせた。こうしたビジネスモデルについて、舟橋孝之社長は自社を「劇団四季」に例える。そのココロとは何か。



2019年9月期は売上56億円見込む

提供コンテンツは4500種類以上


─企業向け研修ビジネスで、2016年に東証マザーズ、翌年には東証一部上場を果たしました。売り上げも上場以降、伸長しています。


舟橋 2019年9月期は全体で56億円になる見込みです。売り上げの内訳は講師派遣が33・3%、公開講座が14・6%、その他が8・4%です。それぞれが順調に伸びています。


─そもそも研修ビジネスの市場はどのくらいあるのですか。


舟橋 いわゆる企業向けの研修ビジネスの市場性は3480億円といわれています。そう考えると弊社のシェアはまだ2%程度です。同業他社は約2000社あり、大手といわれている企業は、リクルート・能率協会・ビジネスコンサルタンツ辺りで、弊社は3~4番目というところでしょうか。研修ビジネスは参入障壁が低く、年間300社程が参入してきます。


─常に激しい競争に晒されている。


舟橋 その分、同じくらいの数が撤退します。ですので約2000社という数字はここ数年間横ばいです。


─その中で独自色を打ち出していかなくてはならないですね。


舟橋 研修メニューの数の多さは同業他社と比べても際立っています。今のところ、弊社が手がける研修は、派遣型研修のコンテンツが2283種類、公開講座コンテンツは2291種類です。派遣研修は文字通り、講師がクライアント企業に赴くもの、後者は全国32か所ある弊社のセミナールームで行うものです。


─これだけコンテンツがあればどの層に対しても対応できる。


舟橋 管理職から内定者までの階層別研修から、営業力強化、接遇、ハラスメント防止といったテーマ別研修、働き方改革に至るまで、どのクライアントにもフィットするメニューを用意しています。もともと、研修という商品は決して売れるものではない一方で、競争相手は多い。これに対応するためには多くの商品をラインナップし、需要を確実に獲得する必要があるのです。


─そのために派遣型と公開講座合わせて4500ものコンテンツを用意している。しかし、その企画・製作だけでも膨大な作業になるのでは。


舟橋 基本的には弊社の社員がこのクリエイティブな部分を担当しています。弊社の社員は約300人ですが、社員のほとんどが営業・企画・翻訳・テキスト作成・ウェブエンジニアなどです。


─社員は講師ではないのですか。


舟橋 現在、講師の方は約300人ほど在籍していますが、全て委託契約でお願いしています。研修会社の社員は、多くが講師のカバン持ちになりがちです。弊社は講師と研修コンテンツ・レジュメ作りを分ける、社員はコンテンツ作りに注力する、これが弊社のビジネスモデルなのです。


─完全な分業体制を敷いている。講師は話すことに集中してもらう。社員はそのコンテンツを作るということですね。


舟橋 社員はあくまでも裏方のクリエイターとして動いてもらう。


─通常、研修は講師自身がテキストの作成から登壇まで行います。本来ならばそれだけ講師の力量によるところが大きいはず。


舟橋 多くの講師は独自のメソッドを持っていますが、これでは研修の均一性が保てません。このため弊社は、こちらで作ったレジメに沿って話してもらうだけ、という方法をとっているのです。


─すると、話術に長けるなど、ますます講師の質を高めていく必要性がある。


舟橋 それこそ何人いても足りないくらいです。日々多くの方から講師の申し込みが来ます。様々な経歴の方がいますが、採用基準は立派な経歴よりも受講者に対して愛情があるかないかが大きなポイントです。講師の評価は、当日のアンケートなどで毎日リアルタイム評価できるようにしています。このデータが蓄積されて、質の向上にも役立てているのです。講師にとってもその都度クオリティが高くないと続きません。トップ講師になれば年間1000回登壇することも珍しくありません。


講談内容をウェブ上で公開

クライアント自信課題を見つけやすく


─研修内容は当然、企業によっても変わるでしょう。そうなると必然的にコンテンツ内容も多岐に渡る。ここに分業制を敷く意味がある。量も増やすことができるし、高い質も保つことができる。ビジネスとして考えれば効率化も図ることができる。


舟橋 営業研修ひとつとっても、代理店向けと、その他では違う。メーカーと小売りとでも違ってきますし、小売りでも百貨店向けとコンビニエンスストアとでも違う。これらをそれぞれ、クライアントに合わせた内容を作成しています。


─研修の数をこなすことで、ある程度のコンテンツの平準化は図ることができる。そこにクライアントごとカスタマイズをしていく。


舟橋 このため弊社では、毎日コンテンツ作りを進めています。社員は営業段階でクライアントからヒアリングを行い、課題と解決策を内容に落とし込みます。これを常にデータベース化しているのです。そのためコンテンツはどんどん細かいものになります。ですのでどの企業の要望にも応えることができるわけです。


─必然的に研修内容が増える。


舟橋 弊社は劇団四季のようなものだと考えています。劇団四季は「チケット販売」「運営」「作家」という裏方と、「演者」と分けることで、全国同時進行で様々な演目を行っている。弊社も同じく、「営業」「ウェブ」「テキスト作成」という裏方と、「講師」と分けることで効率も質も高めることができる。


─これらのレジュメをあえてウェブ上に全て公開しているのも大きな特徴です。


舟橋 サイト上では既に1万2000ウェブページにも上ります。その意味では、弊社は研修ビジネスに区分されることが多いのですが、ビジネスモデルはむしろネットビジネスに近いのではないでしょうか。ウェブを通じてクライアント企業の担当者が、自らの課題に近い事例を容易に見つけることができる。一方、極力負担を軽くすることで講師も事前準備をしっかりとできる、という訳です。結果、受講者アンケートでは、満足度が研修内容で95・4%、講師で94・3%と高い評価をいただいています。


働き方改革・ハラスメント・コンプライアンス

職場環境の変化に対応したカリキュラム


─ところで、社員の半数近くが女性で占めるなど、多様な人材を登用しているのが目立ちます。


舟橋 実際には女性が60%というところでしょうか。時間管理のリターンとフィーは女性の方が費用対効果が高い。


─女性だけでなく、他にも外国人、高齢者、LGBTの人も在籍しています。


舟橋 昨今働き方改革が叫ばれていますが、日本ではこれからもっと労働人口が減少していきます。これに対応するためには多様なスタッフを採用していく必要性があります。社員の仕事は多岐に渡りますので、彼らに合った仕事を提供していくと必然的に多様性に富んだ社員構成になるのです。


─働き方改革だけでなく、昨今、コンプライアンスやハラスメントなど、職場には問題が山積みされています。


舟橋 最近は、ハラスメントに関する研修ニーズが増えています。また若手社員の離職防止の一環として、新入社員研修だけでなく、入社2年目から5年目までの社員を対象にした研修ニーズも増えています。かつては入社時の研修が終われば、数年間は行わなかったのですが、今は、2年目、3年目など密に行う傾向があります。今後もますます増加していくでしょう。弊社もこうした職場環境の変化に応じたカリキュラムを常に作ることで、年間20%成長を目指し、市場シェア拡大を進めていきたいと考えています。

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