リユース業界トップの894店舗を展開、リアル店舗を重視した戦略を推進

(ハードオフコーポレーション:新潟県新堀発田市)


ハードオフ 山本 太郎 (38)

Profile やまもと・たろう

1980年、新潟県出身。早稲田大学卒業後、ファーストリテイリングに入社。2007年にハー

ドオフコーポレーションに入社後、常務、副社長などを経て、2019年4月に社長に就任。

 リユース業界大手で年商約190億円を誇る「ハードオフ」。その運営会社であるハードオフコーポレーションを率いるのは、父である善政氏から今年4月に、バトンを引き継いだ山本太郎社長だ。同社は今後、急拡大を続けるリユース市場の中でどのように存在感を強めていくのか。38歳の若き社長が思い描く事業戦略を取材した。

ネットのフリマサービスの登場で市場が拡大


——フランチャイズ578店舗を合わせ、全国で894店舗を展開されています。これはリユース関連のショップとしては最多の店舗数になるそうですが、この2、3年は出店ペースを抑えて、インターネットの方に力を入れていたそうですね。


山本 「メルカリ」に代表されるインターネットを使ったサービスの登場で、リユース市場はここ数年で大きく変化しました。我々もこの流れに乗るために、リアル店舗の出店を意識的に抑え、ネットを使ったサービスの構築に力を注いできました。


——リアル店舗に強みをもつリユース業者にとって、 「メルカリ」のようなネットを使ったサービスはどのような存在なのでしょうか。


山本 大きな脅威であることは間違いありません。しかし、業界全体で考えれば、彼らのようなサービスが出てきたことは大きなプラスになったと思います。今までリユースに興味がなかった若い世代の取り込みに成功し、市場のすそ野は間違いなく広がりましたし、何より“リユース”という言葉が一般消費者に浸透しましたからね。


——実際にネットをやってみて分かったことはありましたか。


山本 ネットだけでは駄目だということです。売上は順調に伸びていますし、アプリで依頼できる「オファー買取」によって買取出張の件数も以前の10倍くらいにまで増えました。しかし、これは空中戦のようなもので、強そうに見えても、いつか落とされるかもしれません。値段の安いものだけを扱うのであればネットだけで十分かもしれませんが、我々の扱う商品は安いものから高いものまでさまざまです。高額なものは、直接見たり触ったりする必要が出てくるので、リアル店舗の存在は欠かせません。地に足を付けるという意味でも、我々の一番の強みであるリアル店舗に軸足を置きながら、アメリカのウォルマートやベスト・バイのように、ネットをうまく活用して売上を伸ばしていければと思います。


——リアル店舗に関して、今後の具体的な戦略を教えて下さい。


山本 掃除や挨拶の徹底、ローコストオペレーションの再確認など、今期はまず店舗を「磨き上げる」ことに注力したいと考えています。普段も徹底していていることではあるのですが、長く続けていると次第に緊張感がなくなり、緩みが生じてしまいます。我々にとって中心はあくまでも店舗ですから、まずはここの部分をしっかり締め直すことから始めていきます。


海外は300店舗出店が目標


▲主力の「ハードオフ」を軸に、さまざまな専門業態を展開する

——直営、フランチャイズにおける新たな出店計画については、どのように考えているのでしょうか。


山本 現在、直営とフランチャイズの店舗数の比率は、だいたい1対3くらい。今後もこの割合を維持しながら店舗を増やしていく計画です。1店舗の商圏は人口10万人としていますが、人口222万人の新潟県で 55店舗出店していることを考えると、最大2000店舗くらいまでは出店の余地があると考えています。


——「ハードオフ」の加盟店は、多店舗出店するメガフランチャイジーが多い印象を受けます。


山本 そうですね。フランチャイズ576店舗に対して加盟企業数は38社ですから、単純計算すると1社あたり15店舗前後を出店していることになります。実際は店舗数の差が大きく、一番多いところは1社で70店舗以上出店しています。我々本部も含め、加盟店の約8割がもともと電器店を経営していました。新規加盟を完全にストップしているわけではないのですが、フランチャイズ店は基本的に、今ある加盟企業に出店してもらう方向で考えています。


——「ハードオフ」以外にも、 「ホビーオフ」や「リカーオフ」など、専門性の高いリユース店を展開されていますが、新たな業態開発の可能は。


山本 新しい業態を作る場合は、どれだけグループの成長に貢献できるかで判断しています。具体的には最低100店舗できるものでないとやりません。今の段階ではすぐに新業

態を出すことは考えておらず、今あるブランドを100店舗、300店舗、500店舗と育てていくことを優先しています。


——最近はアメリカでの出店にも力を入れています。


山本 アメリカのリユース文化はフリーマーケットやガレージセールが中心で、我々のような会社は、ほぼないに等しい状況です。十分商機はあると考え、まずはカリフォルニアに1号店を出店しました。向こうは大型の空き店舗が結構あるので、出店はしやすいです。10店舗くらいは出したいですね。


——これから各ブランドの店舗数を増やし、加盟店を含めたグループ全体が成長していくための課題は何でしょうか。


山本 まずは今以上に、店舗の運営を省力化することです。一人三役こなせるようなイメージで、スタッフそれぞれのスキルを向上させ、効率的な経営を実現していきたいと思います。また、システムの面もこれからどんどん改善を進めていく予定で15分もかかってしまいます。これではいくら何でも非効率すぎるので、5分で出品できる仕組みを作っているところです。


——先代社長の善政会長は、(一社)日本フランチャイズチェーン協会の会長職も務めるなど、日本でのフランチャイズの普及に注力されてきました。太郎社長もそのDNAを受け継いでいると思いますが、改めてザーとジーの関係はどうあるべきだと考えていますか。


山本 父はこの話をするときはいつも、天秤に例えます。両者のどちらか一方が強すぎてもバランスは取れない、だから常に等しい関係性であるべきだと言います。私もこの教えと同じく、両者はWin&Winの関係であるべきだと考えています。フランチャイズの良いところは、本部と加盟店が意見を出し合いながら、成長を目指していけるところです。もしも本部だけが一方的に力を持つようなことになれば、加盟店の厳しい目にさらされているという緊張感がなくなり、良い仕事ができなくなってしまうと思います。

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