フランチャイズビジネスの未来像

一般社団法人

日本フランチャイズチェーン協会

(東京都港区)




渡辺 裕明 会長(62) (B-R サーティワン アイスクリーム社長)



わたなべ・ひろあき

1956年、東京都出身。立教大学経済学部創業後、山一證券入社。85年、ビー・アールジャ

パン(現B-Rサーティワン アイスクリーム)入社。2003年、執行役員社長室長、07年

、常務執行役員管理本部長などを経て、13年に社長に就任。

特別インタビュー

5月、フランチャイズ業界の健全化と育成に向けた活動 を行う(一社)日本フランチャイズチェーン協会(東京都港区)の第15代会長に、B-Rサーティワンアイスクリームを率いる渡辺裕明社長が就任した。市場規模を拡大させる一方で、人手不足やコンビニの24時間営業など、さまざまな問題に直面している業界の発展に向け、協会は今後、どのような活動を行っていくのか。渡辺会長に聞いた。

成熟期を迎えたフランチャイズビジネス

チェーン全体の売上高は25兆円を突破


市場規模は25兆円

拡大傾向はさらに続く


――日本にフランチャイズのビジネスモデルが導入されて約50年。協会が昨年9月に発表したデータではフランチャイズチェーン全体の売上高は25兆円を超え、前年から約4600億円も増えています。


渡辺 これはまさに、現在の社会構造の中でフランチャイズビジネスの重要性が増していることを表した結果だと考えています。日本は今、高齢化や人口減少など、さまざまな問題に直面していますが、その中で人々の生活を豊かにし、そして便利にするために、フランチャイズの役割はこれからどんどん重要になってくるはずです。そうした観点から考えると、フランチャイズビジネスは成熟期を迎えていると言えるでしょう。ただ、その中でも新たに起業して、この方式を用いて成長していこうという企業や、始めてから10年経っていない若い本部もたくさんありますので、そうした会社は是非ともこの協会に加盟して、フランチャイズの草分け的な企業の経営者から。いろいろ学んでもらいたいですね。


――協会が考える〝ザーとジー共栄共存〞という考え方をもっと広めていくためには、会員数の拡大が重要になってくると思います。直近の会員数の推移はどのような状況でしょうか。


渡辺 現在は500社を少し超えたくらいです。入会がある一方で、 色々な事情で退会する本部も多少なりともありますので、ここのところは微増という状況が続いています。


――チェーン数や加盟店舗数なども市場規模の拡大に合わせて少しずつ増えていますが、加盟するオーナー数の動きはどうなのでしょうか。


渡辺 全体を把握するのは非常に難しいので部分的にお話ししますが、例えば私が社長を務めるB-Rサーティワンアイスクリームのような大手の飲食チェーンは、都市部でないと店舗の損益が成り立ちませんので、すでにそれほど出店の余地は残っていません。大都市型を深堀りすればまだ増やすことはできますが、これは本部の考え方によります。ただし、大手の中でもコンビニだけは別です。ドミナント的に集中して店舗を出していくので、まだまだ出店の余地はあると思います。また業種・業態によっては、これから地方に出て行くものもあります。これらを総合的に考えると、フランチャイズビジネスという大きな枠組の中では、オーナー数はまだ増える可能性があると思います。


人手不足問題の解決には従業員の満足を上げる努力が不可欠

協会バックアップで拓殖大学で専門科目がスタート


――会員各社が取り組むべきものとして、 「消費税軽減税率の円滑な導入」や「取引適正化への取・り組み強化」 「規制改革税制改正要望への対応」 「JFA開示自主基準の順守徹を発表しています。例えばこの中で、消費税引き上げのタイミングで実施される軽減税率への対応については、会員各社は現在どのような取り組みをしているのでしょうか。


渡辺 会社によって軽減税率の適用除外になってしまうところとそうでないところがありますし、7月の参院選が終わるまで判断しづらい部分もあったので、どうするべきか揉んでいるところがほとんどだと思います。

 私としては、ポイントは2つあると考えています。一つは、軽減税率があることによって、お客様に対して混乱を与えるようなことがあってはならないということ。できるだけお客様に分かりやすく説明しなければなりません。もう一つは、オペレーションが複雑になってはならないということです。これは今の人手不足の問題にも絡んできますし、店舗の顧客サービス、お客様の満足という観点からも、絶対に避けなければなりません。対加盟店舗に対しても、商品を持ち帰る際に必要な包装が負担にならないように、本部は考慮しなければならないでしょう。


――最近始めた新たな取り組みはありますか。


渡辺 これはまだ打ち合わせの段階ではありますが、フランチャイズビジネスの在り方について、会員同士でもっと意見交換やディスカッションができる場を増やしていこうという話をしています。各社の経験や創業当時の精神などを会員同士で共有し合えば、経験の浅い会社にもとても参考になると思います。また、こうした取り組みが積み重なれば、やがてそれがフランチャイズビジネスの地位や会員の満足度の向上につながると思います。せっかくこれだけの会員企業がいるわけですから、是非これは実現したいですね。


――2020年4月には、協会の要請を受けて拓殖大学に、 「フランチャイズビジネス論」が正式科目として新設されます。


渡辺 これは前々会長を努められたハードオフコーポレーションの山本善政会長の頃から取り組んできたもので、山本さんの母校である拓殖大学に働きかけて、最初は寄附講座としてスタートしました。協会の全面バックアップのもと、会員各社のトップも多数、登壇してきました。実際に現場で戦っている経営者の生の話を聞けるとだけあって、毎講座満席だったと聞いています。フランチャイズビジネスに興味を持ち、いずれフランチャイズで起業したい、あるいは本部で働きたいと考える若者が増えるきっかけになればいいと思っています。


「コンビニの24時間営業問題」はザーとジーの関係性に起因


――現場では人手不足を解消するために、オペレーションの簡略化やテクノロジーを導入する動きが盛んになっています。


渡辺 人手不足への対応としては各社が色々な取り組みをされています。例えば機械化ですね。独自の設備やセルフレジ、注文システムなどを導入されるチェーンが増えていますが、いずれにせよポイントとなるのは、一番大切な接客に労を割いてもらい、それ以外のところの負担をいかにして軽減するかだと思います。

 あとは教育も大切ですね。せっかくお金をかけて優秀なスタッフを採用できたとしても、従業員満足を上げないと長続きしません。加盟店ビジネスの場合は、本部が報奨プログラムのようなものをきちんと用意して、従業員が辞めないように教育のお手伝いをする必要があると思います。いくつものブランドに加盟されているメガフランチャイジーならばともかく、小規模でやっておられるオーナーには時間的にも金銭的にも、そうした余裕がないでしょうから、本部の役割は重要です。


――「コンビニの24時間営業問題」がメディアに頻繁に取り上げられています。この問題については、協会はどのように考えているのでしょう


渡辺 もちろん大きな問題だと思っていますが、基本的には各社が個別に対処するべきものだと考えています。そもそもこの問題が起きた原因は、ザーとジーの関係が一方通行になっていて、うまくコミュニケーションが取れていなかったことにあります。フランチャイズビジネスが悪いというような取り上げ方をしているメディアも一部あるようですが、決してそんなことはありません。24時間営業問題で取り上げられているのが一部のコンビニだけであることからも、それは明らかです。中には24時間営業する方が良いというオーナーもたくさんいるはずです。最初から現場の声にきちんと耳を傾けてさえいれば、こんなに大きな問題にはならなかったと思います。ただ、根底には人手不足という問題があるはずですから、コンビニ以外の本部も、これを一つの教訓として、ザーとジーの関係性を改めて考えて、省人化や社員教育に取り組んでいく必要はあるでしょうね。


――来年にはいよいよ「東京オリンピック・パラリンピック」が開催されます。これまで以上に多くの外国人が訪れることになります。


渡辺 日本がオリンピック後も観光産業に力を入れていく方針であることを考えれば、現在26万店あると言われるフランチャイズ店舗も重要な役割を担っていると言えるでしょう。日本を訪れた外国人の方々に満足して帰ってもらうためには、今以上にサービスの質を上げる必要があると思います。また、東京五輪は、日本のチェーンが将来、海外に進出する際の格好のアピールの場にもなるはずです。

 いずれにせよ、大事なのは本部と加盟店はパートナーだという根本的な原則を忘れないことです。組織が大きくなると、どうしてもこうした考えが弱まったり、末端までしっかり伝わりきらなくなってしまうことがあるので、ときには立ち止まって見直してみることも大切だと思います。

16回の閲覧

ビジネスチャンス

次なる成長を担うすべての起業家を応援する起業&新規事業の専門情報誌
 

© 2003-2020 株式会社ビジネスチャンス