ネット通じた住宅設備機器「工事付き販売」2021年3月期の売上高47億円見込む/交換できるくん /栗原将社長

交換できるくん

(東京都渋谷区)

栗原将社長(45)


昨年12月23日に東証マザーズへ上場を果たした、交換できるくん(東京都渋谷区)。同社はトイレ・蛇口・給湯器などの住宅設備機器をインターネットを通じた「工事付き販売」を展開している。2021年3月期の業績予想は、売上高が前期比17・3%増の47・0億円、経常利益が同34・0%増の2億3000万円。リフォーム市場は現在約6.5兆円といわれているが、そのうち同社の業域である住宅設備機器市場は約2.8兆円。新築からストックへとシフトしていく中、同社の事業機会は更なる拡大が期待されている。(※2021年4月号「話題の会社を直撃」より)


栗原将社長(45)

PROFILE くりはら・まさる

1975年10月29日生まれ。神奈川県横浜市出身。高校卒業後、事務機器の営業マンを経て、1998年11月水道設備工事業として、サンリフレ(現交換できるくん)を設立。2020年2月に、交換できるくんへ社名変更。同年12月東証マザーズに上場。


工事費込み価格で平均単価13万円 年間施工件数は3万件超える


同社のビジネスモデルは、商品選択、見積依頼、工事日程の調整に至るまで、全ての工程を原則インターネット上で完結させるもの。ユーザーは、ホームページを見ながら、メーカー、価格を選択する。これが欲しいと決めたら、フォームに沿って入力するとともに、現場の写真含めて送る。その後、早ければ30分〜1時間、ピーク時でも24時間以内には見積もりが送られてくる。商材にもよるが、早いと翌日に施工する。支払いは申し込んだ際にクレジットで払う仕組み。実際に工事が終わった段階でシステム上で処理され決済される。


取り扱う商品は「浴室乾燥機」「ガスコンロ」「給湯器」「蛇口」「トイレ」などの8品目で、いずれも国内正規品を取り扱っており、工事費込みの料金で提供する。平均単価は13万円。売れ筋はトイレだが、「実はどの商品も安定的に需要があります」(栗原将社長)という。現在の営業エリアは北海道、関東、中京、大阪、福岡の5大都市圏。施工は自社で抱える80〜90名の職人が担当し、1人1日の平均施工件数は約3件、全体では1日約100件の現場をこなす。年間工事件数は3万件超。


「マッチングサイトとの比較をよく言われますが、マッチングサイトは、設備交換のような

10万円前後の小工事は割が合わないため、大きな工事を取りがちです。我々は自社で施工部隊を持っていて小工事に特化しているのが特徴です」(栗原社長)。


同社の強みであり特徴は、リフォームでもなければ小売りでもないという特異な立ち位置にある。事業ドメインは「チェンジ領域」と呼ばれる住宅設備機器の交換業務で、価格帯は5〜50万円。「一般的なリフォームよりも低価格帯で、便利屋や水道修理などの価格帯よりも若干高く、丁度中間にあたります。実はこの領域は収益化が難しく、専業にしている企業はほとんどない。当社は上場に当たり小売業に分類されていますが、実際はサービス業だと考えています」(栗原社長)。

30万件以上の施工事例を蓄積 サイトの利便性向上に注力


ビジネスモデルの確立以来、同社の命綱となるサイトは常にブラッシュアップさせてきた。

例えば、施工を担当する職人に対して、顧客が評価するシステム。リフォーム会社の多くは、顧客へのアンケートを行わない。これは多くの答えがクレームに近いものになるからだという。しかし同社は、「必ずアンケートを取っています。すると、『タバコ臭い』とか、クレームがしょっちゅうきます。これらを全てマニュアル化しているのです」(栗原社長)。


▲ウェブサイトから完結できるシステム構築

一方で、ユーザーには、商品を選択すると同時に、施工する現場を数か所写真に撮り送ってもらう。これを積み重ねてきたことで、今では殆ど施工パターンがわかるという。「ほぼ100%過去事例にはまります。写真を送っていただければ『これの場合はこうすればいい』とわかる。当社は累計で30万件もの施工パターンが蓄積されているわけです。トイレに限っても4〜5万件のデータが残っている。だいたい型番と排水の位置とか、基本的なパターンは殆どあります」(栗原社長)。


ただし、実際には目で見ても写真で見ても分からないものもある。こうしたケースでは、全て同社が金額を負担する。「我々は施工と一体で品質を担保しています。お客さんにも追加料金を頂かない。会社で負担しても全然問題ありません」(栗原社長)。


こうした一連のシステム化を確立するために10年を要した。販売する商品は、例えば家電量販店と比べても30%程安価。ハウスメーカーと比べても半額近く安いという。この大きな要因となっているのがネットで完結させることで、現地調査する必要がない点だ。現地に行くときは施工する時だけ。「営業マンが行かないでいいし、施工も全部パターン化されているから、コストを圧縮できる。当社のサイトは、施工事例などを掲載し続けてきたことで、今では6万ページあります。ありとあらゆるパターンが入っているので、検索エンジンからも高く認識されている。SEOが効いているのも強みですね」(栗原社長)。


ユーザーレビューにも充実化を図っている。写真付きで約6000件、もちろん商品レビューもあり、4300件と施工事例含めれば様々なパターンの施工情報を掲載しており、これがSE0を上げる要因であり、ユーザーの利便性を向上させる要因でもある。


ウェブオークションが事業のヒント リフォーム会社から業態転換


栗原社長は法人向け事務機器の営業マンを経て、前身の水道工事会社を立ち上げた。当初はトイレ修理や、蛇口の水漏れ修理を主に行っていた。しかし、「この業界は、金額が不明瞭で現場に行って顧客の足元を見て価格をつり上げていく営業スタイルが多かった。そこで提案営業に切り替えた」(栗原社長)。


これが評判を呼び、リフォーム会社として事業が拡大した。しかし、再び自分の事業に疑問を持ち始めた。「リフォーム会社は大きくなればなるほどクレームが増えて評判が悪くなり、結果経営が悪化する。これって何の意味があって拡大するのかと考えたのです」(栗原社長)。


丁度、インターネットが普及し始めたタイミングで、パソコンの知識があった栗原社長は自前でウェブサイトを作った。ヒントとなったのは、インターネットのオークションサイトだった。「写真をアップすればモノが公開される。逆に考えて、お客さんの家の状況を送ってもらえれば工事込みの見積もりができる。施工もセットにして販売してみようと思った」(栗原社長)。


住宅設備の機器交換は、コストパフォーマンスが決して良くない。「当時も今も本音ではやりたくない商売。この誰もやりたがらない領域で収益化できれば、事業として価値が出ると考えた」(栗原社長)。これが同社独自のビジネスモデルのスタートだった。


「直後は顧客からの抵抗感も多く、クレームも多かった。様々なものを乗り越えてきました。社会的なデジタルマインドが高くなり、今まではニッチだった市場が一気に大きくなってきたのです」(栗原社長)。


近年様々な後続企業が参入してきた。「ここはブレークスルーするタイミングだな、ということでIPOをした」(栗原社長)。


同社の当面の目標は売上高100億円だが、将来的には1000億円を目指していきたいという。「既存の流通を変えて、マーケットリーダーとして認知される企業を目指しています」(栗原社長)。


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