テイクアウトに強い「かつや」「からやま」が好調な業績を牽引冷凍食品メーカーをM&Aし、シニア向けの新事業に着手/かつや・からやま他/臼井 健一郎 社長

最終更新: 1月5日


アークランドサービスホールディングスグループ

東京都千代田区

臼井 健一郎 社長(47)


コロナ禍にあって好調な業績を維持するアークランドサービスホールディングス(東京都千代田区)。特に目を引くのが、テイクアウトにめっぽう強い和食のファストフードチェーン「かつや」「からやま」の好調ぶりだ。両者の奮闘により、7月に発表した第2四半期決算では、前年同期を上回る売上高約166億円を達成した。臼井健一郎社長に話を聞いた。(※2021年2月号「巻頭特集 コロナ禍で見えた底力逆境を上昇気流に変えた強いフランチャイズ」より)



臼井 健一郎 社長

Profile うすい・けんいちろう

1973年生まれ。東京都出身。広告代理店を経て、2000年9月にアークランドサービスに入社。店長を経て、2001年に店舗開発部に異動。以降、営業統括部長、本部長を経て、2016年から現職を務める

「かつや」はテイクアウトの割合が2割以上も増加


――コロナ禍で外食企業の多くが苦戦を強いられる中、グループの業績は順調に推移しています。


臼井 外食企業はどこも、それぞれ大変な努力をされています。うちは今、たまたまうまくいっていますが、今後のコロナの動向次第で、いきなり状況が変わることもあるかもしれまん。とにかく油断しないこと、これを社内で徹底しています。


――傘下のブランドの中では、「かつや」「からやま」という2つの主力ブランドの強さが際立っています。好調の要因はどこにあるのでしょうか。


臼井 かねてからテイクアウトに力を入れてきたことが、ここにきて生きました。両ブランドとも、コロナ前から売上に占めるテイクアウトの割合は3割から4割と高かったのですが、コロナによって巣ごもり需要が喚起されたことで、4月以降、その比率が一気に上がりました。「かつや」はだいたい5割前後で推移していますし、「からやま」にいたっては何度か6割を超えた月もありました。もちろん、一方でイートイン客は減りましたが、それを補って余りあるくらいテイクアウトの販売が伸びています。


――傘下のブランドの中には、出店立地の関係でまったく営業ができなかったものもあったようですが、それをまったく感じさせない両ブランドの好調ぶりですね。


臼井 あと、我々は日常的に使ってもらえるクイックサービスの業態しかやらないようにしています。「長居することなく、さっと食べて帰れる」、結果的にこれも安心感につながったのだと思います。


――両ブランドとも、ロードサイドを中心に展開されています。


臼井 いずれの店舗も9割はロードサイドにあります。都心部の飲食店と比べて客足の戻りが早く、そのことも好調な業績に大きく寄与しました。


――豚カツをメーンにした外食チェーンはいくつかありますが、その中で店舗数、売上でトップを走るのは「かつや」です。業態としての強みはどこにあるのでしょうか。


臼井 一番の強みは価格です。我々がこの市場への参入を決断した20年前は、豚カツといえば1000円が相場でした。後追いで同じことをやっても勝負になりませんから、我々

は豚カツ・カツ丼を牛丼と同じようにファストフード化しようと、500円という価格設定に挑戦しました。かなりの苦労がありましたが、何とかこれを実現し、その結果、多くの方の支持を得ることができたというわけです。リピート率を上げるための施策も盤石で、7割の方が会計時にお配りしている割引券を使っています。


新事業でシニア向けの冷凍食品販売に挑戦


――多ブランド化という話が出ましたが、ブランドの自社開発にかなり積極的に取り組んでおられます。実際、どのくらいのペースで業態を開発しているのでしょうか。


臼井 日常的に利用してもらえる食事をコンセプトに、多いときで年に4、5ブランドは作ります。もちろんすべてがうまくいくわけではなく、失敗も多いです。今年は「江戸前天丼はま田」や「東京たらこスパゲティ」など、すでに5つの新業態を出店していますが、これらについては今のところ順調です。一度チャレンジして失敗した業態でも、やり方を変えて再度挑戦することもあります。天ぷら業態は、これまでに5回はやりましたね。おそらく、寿司以外の

業態は一通りやったのではないでしょうか。


――M&Aにも積極的です。6月にはタイ料理店の「マンゴツリー」などを運営するミールワークスと、コスミックダイニング・清和ヤマキフードを傘下に収めました。


臼井 当時、ミールワークスの社長で、今は会長の小島由夫氏とは昔からの知り合いで、昨年末に食事をした際に、「マンゴツリー」を多店舗展開したいから手伝ってほしいと相談を受けました。それでグループに入ってもらうことになりました。我々としても、女性向けの業態を強化したいと考えていた時期だったので、タイミングも良かったです。ただ、傘下入りした直後にコロナが来てしまったため、実際に店舗を増やしていくのは、事態が収束してからということになるでしょうね。


――コスミックダイニング及び清和ヤマキフードは冷凍食品のメーカーです。これをM&Aした目的は何でしょうか。


臼井 少し前から、シニア向けの冷凍食品販売をやりたいと考えていました。コスミックダイニング及び清和ヤマキフードは、スーパーや飲食店向けに、美味しいとんかつやメンチカツ、ハンバーグなどの冷凍食品を販売していることで有名でしたから、いろいろ勉強させてもらいに行っていたのです。何度かやりとりするうちに、一緒にやった方が双方にとってメリットが大きいのではないかという話になり、M&Aすることになりました。


――FC加盟店を含めたグループ店舗への食材供給も念頭にあるのでしょうか。


臼井 将来的にどうなるかは分かりませんが、少なくとも現時点では考えていません。あくまでも新事業のためのM&Aという位置づけです。

加盟店に対しては多店舗展開を推奨


――「かつや」「からやま」「縁」など、一部のブランドについては積極的にFCの加盟募集も行っています。開業にかかる初期投資や投資回収のモデルはどうなっているのでしょうか。


臼井 初期投資は「かつや」で6500万円、「からやま」で8000万円、ともに回収目標を5年程度に想定していますが、実際はもう少し早いです。投資額が大きく、さらに20〜30年という長期で土地を借りなければならない業態なので、加盟は法人のみとしています。


――太陽エンタープライズやコナカエンタープライズなど、規模の大きなメガフランチャイジーの加盟が目立ちます。


臼井 10店舗以上やって頂いているところもありますが、平均すると1社あたり2、3店舗運営してもらっています。加盟会社に対しては、うちのブランド以外にも、いろいろな業態を運営して下さいという話をしています。複数のブランドがあれば、小さなエリアでドミナント的に出店することができますし、経営資源を効率的に活用することもできます。リスク分散の効果も高いですし、フランチャイズをやる以上、そのメリットは最大限に活かしてもらいたいと考えています。


――今後の出店戦略についてはどのように考えておられるのでしょうか。


臼井 具体的な出店目標はあえて立てないようにしています。ただ、「かつや」も「からやま」も商圏が車で10分圏内と、非常に狭いことから考えれば、出店の余地はまだまだあると考えています。特に「からやま」は、直営とFCでまだ100店舗ですので、出店の余地はいくらでもあります。今後数年のうちに、店舗数を一気に増やしたいですね。

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