コロナによるデリバリー需要の増加で大幅増収増益宅配寿司市場で5割以上のシェアを占める/銀のさら・釜寅/江見 朗 社長


ライドオンエクスプレスホールディングス

東京都港区

江見 朗 社長(60)


コロナ禍で大きなダメージを受けた外食業界。しかしその中にあって売上を伸ばしているのがデリバリー事業者だ。ライドオンエクスプレスホールディングス傘下の宅配寿司「銀のさら」も巣ごもり需要の拡大を追い風に、存在感を高めている。同社を東証一部上場企業にまで育てた江見朗社長に話を聞いた。(※2021年2月号「巻頭特集 コロナ禍で見えた底力 逆境を上昇気流に変えた強いフランチャイズ」より)



江見 朗 社長(60)

Profile えみ・あきら

大阪府出身。1979年、岐阜高校を卒業後、単身アメリカのロサンゼルスに留学。現地で寿司職人として7年過ごした後に帰国し、現在、副社長を務める松島和之氏とともにサンドイッチ店を開業。後に宅配寿司店(現 銀のさら)に事業転換し、全国展開を進める。

競合はみな淘汰され 一人勝ち状態


――新型コロナの感染拡大に伴い、巣ごもり需要が増えたことで、宅配寿司チェーン「銀のさら」の業績が伸びているそうですね。5月に発表された決算資料によると、2020年3月期は売上高210億円、経常利益13・1億円を達成されました。


江見 コロナに加え、ゴールデンウィークや年末年始などの繁忙期売上が好調だったことが業績に反映された格好です。おかげさまで、創業以来過去最高益を更新することができました。


――新型コロナは今も収束する気配が見えません。年末年始にかけて、再び感染が広がるという見方もあるので、宅配需要はさらに伸びそうな気配です。


江見 11月に発表した第2四半期の時点で、それは如実に表れています。売上高は約123億円、経常利益は約13億5000万円と、いずれも前年同期と比べ、大幅に増えました。勢いは落ちるどころか、むしろ上がっている印象すら受けます。


――これだけ伸びている宅配寿司ですが、現在はこれといった競合はなく、御社の一人勝ち状態です。


江見 以前は、我々以外にも宅配寿司の会社はありましたし、今から8年ほど前には、ある小売大手も、熱心に宣伝活動をしていました。しかし、結局どこもうまくいかず、事業を縮小するか、あるいは撤退してしまいした。約590億円(2018年時点)と言われる宅配寿司市場で、我々は51・4%のシェアを獲得しています。


――このところ、デリバリー全体の売上は伸びていて、市場規模は4000億円を超えました。ピザをはじめ、各業態も伸びています。なぜ宅配寿司は御社一強になったのでしょうか。


江見 簡単なようで、実はものすごく参入障壁が高いのです。何が難しいのかというと、ポイントは大きく2つあります。まず、宅配サービスというと、おそらく多くの方はピザやうどんといった、いわゆるファストフード的なものを想像されるかと思いますが、実は寿司だけはそういう感覚ではできません。ピザはもともとファストフードとして日本に入って来たものですし、イメージとしても定着しています。しかし寿司はそうではありません。昔からお祝い事や来客があったときに頼むものだというイメージがあり、味に対するこだわりが強い方も多い。要は、日本人は寿司に対する造詣が非常に深いわけです。そうなると、安いものでは駄目で、クオリティにこだわらなければなりません。当然、原価が上がりますから、ファストフード的な値段では提供できなくなります。だから我々は、アッパーミドル層をターゲットにした価格設定にしています。準老舗のようなイメージですね。


▲ファストフード的な宅配寿司と区別し成功

――御社以外の宅配寿司業者はみんな、そこに気付かずに失敗してしまったというわけですね。


江見 あとは人の管理の難しさもあります。例えば、寿司に限らず、宅配サービスは売上を作るためにポスティングを行わなければならないのですが、これを自発的にさせるのは意外と大変です。例えば夏の暑い日には、さぼりたくなってしまうわけです。私も、かつて店長をしていた頃には、何度もそう思ったことがありました。私でさえそうだったのだ

から、アルバイトならなおさらそう思うはずです。だから、そうならないようにポスティングをする人との信頼関係をしっかり築かなければなりません。この仕事がどれだけ地域の役に立っているか、人々に求められているか、そういった志を共有しなければ、自発的にきちんと仕事をしてくれません。


コロナによる需要増を機に FCの加盟募集を再開


――宅配寿司を始めてから3年後の2001年にフランチャイズ展開をスタートさせました。「銀のさら」357店舗のうち加盟店は262店舗あるそうですが、FC展開は事業を始めた当初から構想にあったことなのでしょうか。


江見 「銀のさら」は作り置きを一切せず、注文を受けてから作ってお届けするというビジネスモデルなので、人件費の比率がどうしても高くなります。それでいて準老舗店並の品質を求めるわけですから、店舗数を増やしてスケールメリットを出さないと、とてもじゃありませんが利益が出ません。だからフランチャイズ展開は不可欠でした。この事業をやろうと思ったときから、最低でも全体で300店舗は必要だろうと考えていました。


――「銀のさら」とは別に、宅配御膳「釜寅」や宅配寿司「すし上等!」という別ブランドも展開されています。


江見 両方とも、基本的には「銀のさら」の店舗内に併設するブランドとして作りました。異なる業態も、同一店舗内で運営すれば人件費がかかりません。これも店舗の収益性を高めるための戦略の一つだというわけです。「釜寅」は現在、198店舗で併設運営されています。


――このところ、フランチャイズの加盟募集はいったんストップしていたそうですね。再開したのは、コロナ禍で宅配サービスの需要が増したからでしょうか。


江見 もちろんそれもありますし、FCのビジネスモデルが以前よりも成熟したというのもあります。店舗数がさらに増えれば、スケールメリットはより大きくなり、店舗の収益力は高まります。今ある加盟店のためにも、FCは再開するべきだろうと判断しました。


――自社の宅配サービスとは別に、他社の商品を宅配する「ファインダイン」というサービスも手掛けておられます。


江見 こちらもコロナの影響で問い合わせが増えてきました。今後、力を入れていこうと考えています。


――昨年からレストランの運営にも乗り出しました。


江見 リアル店舗を出すと認知度が上がるため、デリバリーの売上が伸びるんです。まだ岐阜県内で2店舗出店しただけですが、今後も機会を見て出店を検討していくつもりです。


――宅配寿司サービスの今後の見通しは。


江見 間違いなく伸びていくでしょう。4000億円と言われるデリバリー市場の中で、宅配寿司はたったの590億円しかありません。一方で宅配ピザは1500億円もあります。日本人の嗜好に照らし合わせて考えれば、どんなに贔屓目に見ても、宅配ピザ並みの規模まで成長の余地はあるはずです。店舗数についても、宅配最大手のドミノピザが、2025年までに1000店に増やすと言っているくらいですから、我々だってそれに近いところまで出店できるはずです。それこそ町内に一つはある寿司屋のような感覚で、「銀のさら」も増やしていければと考えています。

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