グローバルに活躍する人材の育成を目指す オンライン英会話サービスで今期年商45億円を見込む

レアジョブ(東京都渋谷区)


オンライン英会話サービスで唯一の上場企業、レアジョブ。利用しやすい価格設定が消費者の心を掴み、利用者数は80万人を突破した。年商も今期は45億円を見込むなど好調だ。前社長、加藤智久氏とともに同社を創業した中村岳社長に、今後の事業展開などについて聞いた。(※2020年4月号より)


中村 岳社長(39)

なかむら・がく

1980年生まれ。東京都出身。2003年、東京大学工学部卒業。05年、東京大学大学院情報理工学系研究科卒業後、NTTドコモ入社。08年、レアジョブ代表取締役最高技術責任者就任。12年、レアジョブ代表取締役最高執行責任者就任。15年より現職。


―マンツーマン形式のオンライン英会話サービスを手掛けておられます。この分野では先駆者として知られていますが、そもそもこのサービスに目を付けたきっかけは何だったのでしょうか。

中村 この会社は、会長の加藤智久とともに2007年に立ち上げました。我々は中学・高校の同級生という間柄です。加藤は起業を志し、大学生の頃には経験を積むためにITベンチャーに所属し、一方で私は、世の中にインパクトを与えることができるサービスを作りたいという思いを抱いていました。社会人になってからもその想いが消えることはなく、それで実際にいくつかサービスを作っていくうちに、スカイプを使って中国語を教えるサービスが生まれました。これは、中国人の知り合いから、夜になるとスカイプを使って地元の知人と会話しているという話を聞いて思いついたもので、実際に事業化したわけです。

―現在のオンラインサービスの原型とも言えるもののようですが、英語にシフトしたのはなぜでしょうか。

中村 全然うまくいかなかったからです。無料でいいからと、知り合いにも声をかけてみたのですが、「中国語は必要ない」「使ってみたけど、発音がよく分からない」といった理由で、あまり使ってもらえませんでした。そもそも当時は中国語を必要としている人が、それほどいなかったんですね。ただ、英語ならやってみたいという意見は結構ありました。それで思い切って中国語から切り替えることにしました。


―レアジョブの英会話サービスでは、フィリピンの方が講師をされています。なぜアメリカ人やイギリス人ではなく、フィリピンの方を起用しているのでしょうか。

中村 英語力を伸ばす一番のポイントは、とにかくたくさん英語を話すことですが、レッスン料が高額だと、数をこなすことができません。数多く利用できるようにするためには、人件費を抑えて、レッスン料をできるだけ低く設定する必要があります。いくつかの国を検討した結果、ネイティブの方と比べて人件費が安く、それでいて発音などがしっかりしているフィリピンの方を講師にすることにしました。実際に、加藤が現地まで足を運び、最初はフィリピン大学の学生に声を掛けました。そこから徐々にネットワークを広げ、今では6000人以上の方が講師として登録されています。


フィリピン人講師によるWebを使った授業を行う

―事業が軌道に乗るまで、どのくらいの時間を要しましたか。

中村 最初のうちは広告宣伝費もそれほど使えませんので、口コミや比較サイト、SEO、ブログなど、あまりコストのかからないものを使って集客を図っていました。サービスをリリースして1ヶ月ほどすると、色々なメディアで取り上げられるようになり、安定的に利用者数が増えて行くようになりました。それほど先行投資が必要なビジネスモデルではないので、2期目にはほぼ黒字化することができました。

―ここまで成長してきた中で、ぶつかった壁のようなものはありましたか。

中村 オペレーションの部分では、常にいろいろな課題があります。例えば、生徒の数が急激に増えてしまうと、講師の数が足りなくなって、レッスンの予約ができないとクレームになってしまいます。また、講師は海外にいるわけですから、きちんと彼らをコントロールしなければなりません。フィリピンの方は日本人と比べると少しルーズな面があるので、遅刻しないように管理する必要があります。

―講師の給料は現地通貨で支払っているそうですが、その辺りで苦労したことはありますか。

中村 円安、円高によって支払う給料が変わるので、アベノミクスで円高が進んだ時には、人件費負担が結構増えましたね。この時は、レッスン料を少し上げました。

―2014年に上場されました。これは、創業時から目標にしていたことなのでしょうか。

中村 創業してから半年ほどしたタイミングで、VCから資金調達をしたこともあり、IPOは必達の目標としてありました。ただし、具体的な時期はそれほど意識せず、企業が成長していく中で、適切なタイミングを見計らってというふうに考えていました。結果的に、創業から7年弱で上場しました。

―IPOによってどんなメリットがありましたか。

中村 一般的には、資金調達を目的に上場する会社が多いようですが、我々はそこはあまり重視していませんでした。それよりも、人材の確保がしやすくなること、法人客を増やすために社会的な信用を強化する、この辺りのことを考えていました。あとは、上場準備の過程で、組織体制を整備できたことも、大きなメリットだったと考えています。

―オンラインの分野では、DMM英会話が直接的な競合になると思われますが、教室型の英会話教室とはどのようなすみ分けがなされているのでしょうか。

中村 英会話レッスンという意味では同じように見えるかも知れませんが、生徒を教室に集めて行う英会話サービスとは、客層が異なります。例えばECCは、子供が中心だと思いますが、うちは大人が多いです。法人向けで考えるとベルリッツなどが競合ということになります。

―最近は、スカイプだけでなく、いくつかの授業形態があると伺いました。

中村 自社で作ったレッスンルームを使ったWebレッスンや、アプリを使った授業などがあります。今は、スカイプから徐々にこれらの方にシフトしているところです。

―今後は、どんなビジョンを描いているのでしょうか。

中村 グローバルに人々が活躍する場を作るというのが、我々が掲げるビジョンです。そのために3つのことを考えています。一つは英語をトレーニングすること、これは今、我々が取り組んでいることです。ただ、グローバルで活躍するためには、英語力だけでなく、リーダーシップやネゴシエーション、ファシリテーションなど、さまざまなスキルを身に付けなければなりません。この点にも、我々は注力していこうと思っています。あとは、それらのスキルを身に付けた人と、企業を結び付けるようなサービスも必要です。この3つを、日本だけでなく、世界に広げていくというのが、今後の我々の目標です。


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