国内唯一のうな丼専門チェーンがライセンス販売を開始_居酒屋や焼鳥屋に空き時間のサイドビジネスとして提案/名代宇奈とと 片平 雅之 社長

G-FACTORY(東京都新宿区)

片平 雅之 社長

マザーズ上場のG-FACTORY(東京都新宿区)が、“ワンコインうな丼”で知られる「名代宇奈とと」のライセンス販売に乗り出した。「うな丼」を主力商品にした国内唯一のチェーンが、牛丼、カツ丼、海鮮丼、天丼など、数々の丼チェーンが鎬(しのぎ)を削る外食業界でどこまで勢力を拡大できるのか注目が集まる。今後の事業戦略について、片平雅之社長を直撃した(※2020年10月号「注目チェーン・トップインタビュー」より)

片平 雅之 社長(44)

Profile かたひら・まさゆき

1975年生まれ。1993年、神戸製鋼所入社。店舗支援コンサル業などを経て、平成15年に「名代宇奈とと」の事業を引き継ぐためにG-FACTORYを設立し、代表取締役に就任。現在、つなぐ株式会社や株式会社M.I.Tなどの役員も務める

多店舗化とオペレーションの効率化で低価格を実現

──牛丼チェーンやコンビニなどでもリーズナブルな価格で手軽に食べることができるようになった「うな丼」ですが、「名代宇奈とと」は他に先駆けてこれを低価格で提供し始めた専門店です。


片平 ご存知の通り、飲食業界を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。人手不足に人件費・食材費の高騰、そして今回の新型コロナウイルスの流行など、ネガティブな要素を挙げたらキリがありません。実際に閉店する店舗は増えていますし、何とか営業を続けているところも状況はかなりひっ迫しているはずです。そこで、こうした飲食店のお役に立てればとの想いから、今回「宇奈とと」のライセンス販売を始めました。普段は夕方以降にしか営業していない居酒屋などに、休業している時間を使って販売してもらうことで、新たな収益源にしてもらおうというわけです。

──「宇奈とと」の魅力は、炭火で焼いたウナギを乗せたうな丼が、リーズナブルな価格で食べられることにあります。昨今はウナギの値段が高騰し続けていますが、その中でどのようにして低価格を実現しているのでしょうか。

片平 ポイントは仕入れとオペレーションの効率化にあります。まず仕入れについてですが、まとまった数のウナギを発注することでコストを下げています。これは多店舗展開しているからこそできることです。オペレーションについても最少人数で店舗の運営ができるように極力無駄を省いています。具体的には、ウナギは中国の提携工場で一次加工したものを国内で蒲焼にし、冷凍してから店舗に送っています。だから店舗では解凍してから軽く蒸して焼くだけ、だから小さな店舗であれば1~2人で回すことができます。結果、うな丼1杯あたりの原価は、なんとか40%前後に抑えることができています。

▲オペレーションの効率化で少人数の運営を可能に

──現在、国内では直営店15店舗を出店されています。


片平 うな丼は老若男女、性別を問わず、幅広い世代の方に親しまれている料理です。そのため、多くの方に食べてもらおうと思うと、色々な場所に出店する必要があります。そこで当社では、出店するエリアを「ビジネス街」「ベッドタウン」「インバウンド」の3つに分類しています。

──今回の新型コロナウイルス騒動では、出店立地によって受けた影響がそれぞれ異なると思います。


片平 特に影響が大きかったのはインバウンドをターゲットにした浅草と上野、それと大阪の南森町の店舗ですね。売上は昨対で30 %まで落ち込みました。この状況はまだしばらく続きそうです。ビジネス街に出店している店舗も緊急事態宣言が出た後は客数がかなり減りましたが、今は昨対並みに戻りつつあります。一方でベッドタウンの店舗については、テイクアウトとデリバリーの需要が増えたおかげで、売上は昨対比110%とかなり良かったです。色々な場所に出店していたことが、リスクヘッジにつながりました。


──「名代宇奈とと」はもともと別の方が作った業態で、17年前に片平社長が引き継いで今の形にまで進化させたと伺いました。


片平 この会社を立ち上げる以前は出店支援の会社を経営していて、「宇奈とと」はその取引先の一つでした。牛丼や天丼など、どこにでもあるものをカジュアルに安く提供する業態が流行っていたことから、これも伸びるのではないかと思って色々とやり取りをしていたのですが、あるとき先方から「実は経営が厳しくて潰れるかも知れない」という話を聞かされました。こんなに可能性のあるものをこのまま潰してしまうのはあまりにも惜しいと思い、私が引き継がせて頂くことにしました。


──成長の可能性がある業態であるにもかかわらずうまくいっていなかったのは、どこに問題があったからなのでしょうか。


片平 売上はそれほど悪くなかったのですが、人件費がかかり過ぎてずっと赤字だったんです。なぜそんな状態になっていたのかと言うと、不動産業をメーンにしていた親会社が、本業が不調だったことから店舗の運営を他の飲食店から引き抜いてきた方に任せっきりにしていたことが原因でした。この方がまた経営についてはまったくの素人で……。わずか8坪でカウンターしかない店舗を、社員3人とアルバイト1人で回していたのですから、ワンコインの商品をどれだけ売っても利益なんて出るわけがありません。そこで、まずはオペレーションを見直すところから始めました。そして次がメニューです。「ひつまぶし」は「うな丼」と比べると、提供するのにも食べるのにも時間がかかるのでランチタイの提供はやめました。ピーク時は「うな丼」と「うな重」のみ、これだけでもかなり回転率が上がりました。また、客単価を上げるために「うな丼ダブル」という商品を投入しました。通常のうな丼が500円(現在は550円)なのにウナギが2枚乗って800円ですから、かなりお得感があります。これが思いのほか大ヒットしました。


外国人にも人気のうな丼今後は海外展開にも積極的に挑戦


──ライセンス販売で店舗網の拡大を進めていくそうですね。


片平 当社は現在、店舗のコンサルティングをメーンの事業としているので、そこはブレないようにしたいと考えています。 

──ライセンス制度の詳細について教えて下さい。


片平 既存の飲食店が新たなメニューの一つとして導入される場合の加盟金は100万円となります。他に保証金100万円と研修費25万円がかかります。ロイヤリティは5万円で、ウナギと米、タレなどの食材は当社から仕入れて頂きます。先程も申し上げたように、ランチタイムにお弁当として販売するのも良いですし、自前のメニューの一つに加えてもらっても構いません。フランチャイズのような縛りはないので、看板を出してもらう必要はありません。もともと焼き場がある飲食店であれば特に設備投資は必要ありませんが、炭が使えない店舗には導入できません。もちろん、新規で店舗を出すこともできます。その場合は加盟金が300万円、保証金が200万円、研修費が50万円となります。また売上に対して3%のロイヤリティがかかります。


──まずは主要都市から押さえていくことになると思いますが、一方で海外展開にも積極的で、すでに香港、タイ、ベトナムに進出されています。


片平 インバウンド店である上野店は、コロナが流行前は49席で月商1500万円を上げていました。このことから分かるように、うな丼は日本を代表する料理としてすでに海外の方もかなり認知されています。特にアジア圏での人気は高く、多くの引き合いがきています。香港は1号店を出してからわずか1年で5店舗まで増えました。他にもタイとベトナムにもそれぞれ1店あります。コロナが落ち着いてからになりますが、今後はこれまで以上に海外展開にも積極的にチャレンジしていくつもりです


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