「Premier」シリーズで低価格路線から変更 全国200店舗体制へ拡大戦略は継続

スーパーホテル

(スーパーホテル:大阪府大阪市)

山本 梁介 会長(76)


1942年生まれ。大阪府出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、 繊維・化学品商社に入社、不動産業やシングルマンション事業を経て、1989年スーパーホテル設立。現在は会長。

「安全で、清潔、ぐっすり眠れる、低価格」をコンセプトにビジネスホテルを全国で、136店舗を運営しているスーパーホテル(大阪府大阪市)。国内では東横イン、ルートイン、アパ大手チェーン4強の一角を占める。ホテル需要の拡大を背景に、「2022年までに200棟、売り上げ高500億円」を目指し拡大戦略を続けているが、近年は、「Premier」ブランドで低価格イメージからの脱却も図っている。

「Lohasから「Premier」ブランドへ

――「スーパーホテル」は1泊5000円程度が大きなウリでした。しかし、最近は都心部で平均7000円前後と高くなっています。もともと「安全で、清潔、ぐっすり眠れる、低価格」をコンセプトにしてきただけに、ブランドイメージが崩れてきているイメージがあります。


山本 確かに、当社はかつてのような安さをウリにするホテルから変わってきました。そのため、新たなコンセプトを打ち出しています。


――昨年はコンセプトを大幅に変え、これまでの「Lohas」から「Premier」ブランドに切り替えています。


山本 第一号店は銀座です。このホテルは、ハリウッドツイン、コネクトルームなど従来のビジネス客にとらわれない層をターゲットにしています。最新の映像を楽しめるルームはもちろん、ぐっすり休めるよう高品質の枕やベッドを更に進化させています。数字はもちろん重要ですが、それ以上に顧客満足度をいかに高めるかに重点を置いています。既存店をリブランドした「東京駅八重洲中央店」は、昨年、経済産業省が運用を開始した「おもてなし規格認証」で、最高位の三ツ星を獲得しました。


――「Premiam」は、インバウンドを意識したデザインが目立ちます。


山本 インバウンドは現在、全体の9%程度ですが、これを15%にまで高めていきたい。そのために部屋やロビー大きくしました。これが「Premiam」ブランドの特徴です。単価も通常のスーパーホテルよりも10%程度高くなっています。――新たなコンセプトの由来は。山本これまでは、自社のイメージを「21世紀のラグジュアリー」と表現してきました。昨年からはこれを進化させ、「Natural,Organic,Smart」にしました。これまでの「Lohas」をもっとわかりやすく、更に印象的に発信するための一環として、新たにブランディングしました。


――これまでも「Lohas」をテーマに環境活動を熱心に行ってきました。


山本 第一号店オープン当時から消耗品の設置を廃止しているほか、ペーパーレス化、電力・水道の使用量削減などでコスト削減に注力してきました。約20年前の水俣店のオープン時に、当時の水俣市長の「環境モデル都市づくり宣言」に賛同したのがきっかけです。省エネだけでなく、例えば朝食は必ず地元の食材を使用した料理を提供するようにしています。当社には独自の健康朝食基準があり、それに沿った朝食の提供を地元業者に依頼しているのです。


――かえってコストがかかりませんか。


山本 その分、他でカバーしています。ホテルごと地元業者を使うには理由があります。より新鮮なものを提供できるほか、輸送時のCO2を減らすことができるのです。これが当社の推進している環境保護にも繋がる。ひいてはブランドイメージ向上にも繋がっているのです。


――「Lohas」は引き続き進めていく。


山本 1996年の第一号オープン以来、当社は常に進化してきました。しかし、根幹は変わりません。――新コンセプトで重視している部分は。山本この中で最も重要視しているのが「Smart」すなわち「IT化の推進」です。例えばペーパレスチェックインやノーチェックアウト、客室へのタブレット設置といったものは既に導入していますが、今後は、AIを積極的に取り入れることで、合理化と顧客満足度の向上を図ります。


――合理化と顧客満足度の向上は両立できますか。


山本 IT化を進めるということは、人にしかできないことにマンパワーを集中させることです。宿泊客一人一人に対し、臨機応変に声をかけることはコンピュータにはできません。


サブリース主流だが 場所によっては所有も

――2020年以降も引き続き拡大戦略を進めています。


山本 2020年も5棟が竣工予定です。現在、136棟が稼働中ですが、「20220年までに200棟」を目標に掲げており、出店ペースをもう少し速めていく必要があります。全国を見渡しても、秋田・群馬・石川・福井・和歌山・佐賀・長崎が未開拓地域です。これらのエリアには早急に出店し、全国を網羅していきたいと考えています。


――都心部はもちろん、地方への出店も積極的に行っています。


山本 もともと当社はホテルを通じて地域活性化に貢献したいと考えていますし、経済産業省の「地域未来牽引企業」にも選定されています。自治体からの補助金や無利子の融資などの支援もあります。ホテルビジネスを進めながら、地元を元気にする。社会的意義を持たせることで社員のモチベーションも高まるものと考えています。


▲ 「スーパーホテルPremier銀座」

――出店に際しては、サブリースが主流でした、しかし、最近は自社所有も増えている。


山本 銀座の他、帯広、大宮、秋葉原、金沢も同様です。確かに弊社はサブリースをメインにしてきましたが、ここぞという好立地は条件が非常に厳しい。ならば自社で所有したほうが長い目で見ればメリットが多い。いい場所を確保するためには今は自社所有は必要です。以前出店した施設は安いところも多く、この含み益があるため、取得に踏み切りました。


――インバウンドの増加によって、ホテルの建設ラッシュが続いていますが、来年以降需給バランスが崩れるとの見方も多くなってきました。リスクはありませんか。


山本 確かに、一時的には落ち込むでしょう。これからはコンセプトを強く打ち出したホテルが生き残るのではないでしょうか。業界はこのペースでいけばいずれオーバーブッキングになることは間違いありません。近いうちにホテル業界の再編成は起きるでしょう。その時に主導権を握るためには、店舗の数や集客力が大きな武器となります。人材力や販売力含めた企業力の有無が問われる時が来るはずです。


支配人育成制度で23か所が独立開業者


――御社はFCも展開しています。支配人育成制度の現状は。


山本 スーパードリームプロジェクトと銘打って展開しています。基本は50日研修、4年で独立してもらうというものです。研修中の人は今でも10組以上おり、彼らも近いうちに独立できるでしょう。現在、こうした店舗は23か所ありますが、100店舗前後にまで持っていきたい。独立して2棟目、3棟目を手掛けるケースも増えています。彼らは出店意欲が旺盛です。


――独立開業志望者はどのような人が多いのですか。


山本 様々です。もちろんサラリーマンからの転職も多い。とはいえ、多店舗化を進めるあまり、FCをむやみに増やすつもりはありません。おかげさまで当社は、調査会社の顧客満足度調査では常に上位に位置しており、これを継続させていくためにはFCはかえってリスクが大きい。よほど信用できる企業・人間でなければFCとして組まないでしょう。


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