「鍵交換」「水漏れ修理」など専門業者をウェブ上で紹介 総合マッチングサイト「生活110番」主力に売上高80億円突破

シェアリングテクノロジー(愛知県名古屋市)


生活支援マッチングサイト「生活110番」を展開しているのがシェアリングテクノロジー(愛知県名古屋市)だ。同サイトを中心とした「暮らしのお困りごと」事業とは、住宅リフォームから修繕、家事代行に至るまで、日々の生活をサポートするマッチングサイト運営のことで、軽作業からリフォームまで140ジャンル・3700社以上の加盟店が参加している。(※2020年4月号より)



森吉 寛裕 社長(30)

もりよし・のぶひろ

1989年8月29日生まれ。千葉県出身。2014年4月ジャフコ入社。2018年4月にシェ

アリングテクノロジーに入社。同年12月、取締役CFOに就任。2019年2月、代

表取締役共同経営者、同年12月に代表取締役CEOに就任。

「暮らしのお困りごと」事業は前年比134%

自社コールセンターで適正な業者を紹介


同社の2019年9月期通期全体の売上収益は、79億700万円で前年比167%。「生活110番」を中心とした「暮らしのお困りごと」事業をはじめとするウェブ事業は、51億800万円。子会社3社による投資事業が27億9700万円。中でも「暮らしのお困りごと」事業での同年通期の売上収益は、38億9100万円で前年比134%と大きく伸長した。

主力のマッチングサイト「生活110番」は、ウェブ上で完結させるのではなく、コールセンターを通じて紹介できるのが特徴。

同社の森吉寛裕社長は話す。

「マッチングがウェブ上で成立するのは10%程度、90%が24時間365日受付の自社コールセンターを通じてのものです。緊急を要する人は電話で直接電話するケースがほとんど。当社としても現状や要望を直接聞くことで、適正な業者を迅速に紹介することができます」。

現在、本社のある名古屋駅前のオフィスに50人以上が、正社員として365日24時間稼働している。

コールセンターで、ジャンル・場所・施工希望日などを聞き、適切な加盟店を紹介する。加盟店と利用客との間で契約が成立した時点で同社が加盟店から手数料を徴収する成功報酬型だ。手数料率は公開していないが、ジャンルによって異なる。

「鍵交換2万円、シロアリ駆除8万円からなど単価は低いものの、人を介することで、信用性を高め、実績を伸ばしてきました」(森吉社長)。

現在、月間640万PV、年間85万件以上の問い合わせがあり、成約率は約35%、流通金額は約150億円にも及ぶ。


生活に関する「お困りごと」を解決する


260もの特定ジャンルに特化し

利用者の細かいニーズに対応


同社の特徴は、「電気工事110番」「鍵交換110番」「雨漏り修理110番」など、260にも及ぶ細かい特定ジャンルに特化したサイトを多く作っていること。

「困っている人は、必ず細かいキーワードで検索するため、より利用者のニーズに合わせて、ニッチに絞り込んでいる」(森吉社長)。

もっとも同様の分野のサイトは数多く存在するため、集客はグーグルなどのリスティングによるものが多い。その広告宣伝費率は40%にも及ぶ。

これらをまとめたポータルサイトが「生活110番」だ。このサイトは、暮らしに関する役立ち記事情報をサイト上で掲載する「ライティング」投資などによる、リスティングに頼らない集客だ。

「現在、ライターはアルバイト含めて約150名、ライティングへの2019年9月期の投資額は2億8600万円ですが、これは成長過程において必要なものと考えています。業務の効率化によって、記事当たりの製作コスト低減が進めば、収益向上が見込めます」(森吉社長)。

TVCMや新聞折込チラシなどのマス向けの広告などで、「生活110番」のブランディングを行うことで知名度向上を図ることで、集客力の強化と収益性の拡大を図っている。

合わせて様々な業種とののコラボレーションなどによって、新たな顧客獲得を目指していく。

実際、その効果は徐々に表れており、「生活110番」の「暮らしのお困りごと」事業全体に占める売上構成比率は、2018年9月期4Qの約3・5%から右肩上がりに推移、2019年同時期で約5・7%となっている。

また、集客と同時に力を入れているのが、加盟店の管理だ。加盟する店舗は今でこそ希望者が引きも切らないが、当初はスタッフが一軒一軒加盟を促してきた。ただ、3700社を超えた今、加盟店にも仕事に対する温度差が明確になってきているという。

「当社は成功報酬を謳っているだけに、加盟店と利用者のトラブルはご法度です。加盟店への審査や教育には神経を使っています。審査では身元調査はもちろん、過去施工実績など精査します。仮にクレーム率が高ければ退場してもらう」(森吉社長)。

一方、評価が高い加盟店には、多店舗化など成長を支援する。

「例えば、鍵交換の需要が高いものの、成約率が低い加盟店が多いエリアがあるとします。他のエリアでそこに出店意欲がある優良加盟店があれば、情報を提供して出店を後押しします。加盟店にとってもビジネス拡大になりますし、当社にとっても優良店を紹介することができる」(森吉社長)。


特定ジャンルに特化したサイトは260にも及ぶ

2017年に東証マザーズ上場

約5兆円の国内市場でシェア拡大狙う


同社は2006年設立。2009年にインターネット回線販売、2012年にはウェブによる「暮らしのお困りごと」事業をスタート。2017年には東証マザーズと名証セントレックスに上場を果たした。

その後は上場益をもとに、異業種企業を次々と買収したが、子会社の売却など、本業への経営資源の集中するため、この1年間、事業の立て直しを進めてきた。今後も主力の「暮らしのお困りごと」事業に集中していく考えだ。

リフォーム、引っ越し、修理含めた生活サポート分野での国内市場は14兆円といわれている。そのうち同社が得意とする鍵交換・漏電修理など、主に300万円以下の軽作業の市場は約5兆円。海外に目を転じてみると、アメリカでは40兆円の市場性があるといわれている。「そう考えれば、まだまだ成長余地は大きい」(森吉社長)。

背景にあるのは、65歳以上の人口増加と、小家族化だ。これに「B to CサービスのEC市場の拡大が当社の成長を後押しする」(同社長)と、期待を寄せている。

「暮らしのお困りごと」事業は好調に推移しているほか、2018年にスタートさせたフランチャイズビジネスのマッチングサイト「FCの窓口」などのウェブ関連事業も軌道に乗り、同社のビジネスは「新たな成長過程を描いている」(森吉社長)という。

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