「宿泊特化型」ホテル専業で東証・名証二部上場 「R&Bホテル」ブランド中心に全国43棟を展開

ワシントンホテル(愛知県名古屋市)




内田 和男 社長(69)

うちだ・かずお

1950年生まれ。1968年3月名古屋国際ホテル(現 ワシントンホテル)入社、1989年9月鳥取ワシントンホテル総支配人、2001年6月取締役、2008年6月同社専務取締役、2009年6月同社代表取締役社長兼ワシントンホテルプラザ事業部事業部長、2014年6月同社代表取締役社長(現任)。

名古屋特集

ワシントンホテル(愛知県名古屋市)は、全国で「ワシントンプラザ」18棟、「R & Bホテル」24棟、1961年開業の「名古屋国際ホテル」1棟の合計43棟を展開している。昨年10月8日に東証・名証二部に上場を果たしたのを機に、既存施設の改修と年間1〜2棟ペースの新規出店進めている。

2020年3月期売上高222億円超

スタッフのマルチジョブ化で経営効率図る


同社の2020年3月期は、売上高222億3400万円、営業利益25億6500万円、経常利益24億2600万円を見込む。2020年は3月に「R & Bホテル仙台東口」195室、12月には「R & Bホテル名古屋駅前」をオープンさせる計画だ。

同社が展開しているホテルは、宴会場やレストランを併設、もしくは直営しない「宿泊特化型」といわれる。アパホテル・東横イン・ルートイン・スーパーホテルなどが同じカテゴリーに入る。

同社のビジネスモデルは、地主が建物を建てて、同社が20年の賃借をして、賃料を支払うマスターリース型が主。現在、一部は自社所有しているものもあるが、「よほど好立地で収益性の高いものでなければ手を出さない」(内田和男社長)という。

中心ブランドである「R & Bホテル」は、稼働1室当たりの客室平均単価は約6000円で、年間平均稼働率は85%前後。全体の売り上げから保有室数で割った客室単価は、5000円台前後で推移している。「このブランドは、客室が9㎡と他のホテルよりも2~4㎡狭く、1㎡当たりの収益性が高いのが特徴です」(内田社長)。2019年度の営業利益率は全体14%、「ワシントンホテルプラザ」では9%だが、「R & Bホテル」は24.1%。

主要顧客はビジネスマンだが、近年はレジャー客の需要も高い。「実際、当社もビジネス客は60%を占めるものの、週末を中心にレジャー客が増加している。また、今後ホテルが供給過剰になった場合でも、コスト競争力で勝り、利益を確保できるのが強み」(内田社長)。

2013年からはフロントスタッフが空いた時間で他の仕事をこなすマルチジョブを推進、更なる労働生産性を高めている。こうした努力の結果、少ない人数で運営できるローコストオペレーションを完成させた。

同社は高度経済成長期の1961年に、老舗百貨店の丸栄をはじめとした名古屋財界の出資により設立された「名古屋国際ホテル」がルーツ。1964年には「ワシントンプラザ」の前身となる「ワシントンホテル」第一号を開業させた。

当初は運営を藤田観光が担い、その後東日本を藤田観光、西日本を同社とすみ分けてきたため、10年ほど前までは「ワシントンホテル」ブランドが混在していた。今では社名は残すものの、混同を避けるため、同社のブランドは「ワシントンプラザ」と名称変更している。


名古屋財界の協力で1961年設立

宴会場やレストラン廃した戦略が奏功


上場は同社にとって3度目の正直だった。

最初は1997年、藤田観光と事業を明確に分けていくために店頭公開を目指した。ところが直後に景気が悪化。2回目も直後にリーマンショックが発生し、上場を果たすことができなかった。

その後、「フルサービス型」だったホテルを、経年劣化で不採算となった宴会場やレストランの営業を終了し、「宿泊特化型」に順次転換させた。

「同時にこれまで1つ1つホテル内に設けていた事務所を、本部に集約するなど、収益構造を変えることで、業績が安定し、次の成長ステージへ行くため、みたびIPOを目指した」(内田社長)のだった。


ウェブ会員組織通じた集客強み

2022年の1万室体制へ施策着々


同社の強みの一つには、「宿泊ネット」というウェブによる自社会員組織の存在も挙げられる。2015年よりスタートしたもので、顧客のリピーター化と、販売手数料の削減を進めている。楽天トラベルなどの大手予約サイト経由の予約では、10%程度の手数料を徴収される。自社サイトからの予約ならば、手数料を取られることはない。

ポイント還元率を他の予約サイトよりも高い5%で顧客を囲い込んでいる。同社の販売経路の約70%がインターネット経由だが、そのうち24%が「宿泊ネット」によるものだ。

「会員数は25万人ほどで、年間販売数は約60万室、リピーター比率は60%を超えます。他の独立系ホテルにも加盟してもらうことで、当社の未出店エリアをカバーでき、会員の利便性も向上させることができます」(内田社長)。

上場によって調達した資金は、新規出店や、既存施設へのリニューアルの原資に充てる。

「新規出店は積極的に進めていきたい。現在の客室数は、9100室で1棟当たりの平均客室数は200室前後。今後年間1~2店舗のペースで中核都市に出店していき、2022年までに1万室を目指していく」(内田社長)と意気込む。

一方、既存ホテルは経年劣化が進んでいるものも多いことから、1棟当たり3億円かけて大幅に改装する計画だ。

「もちろん、これまでも壁紙やカーペットの交換など一部改修を順次行ってきましたが、水回りや空調、部屋のレイアウトを含めた大規模リニューアルを進めていきます。直近では群馬県高崎市のホテルを手掛けていきます。過去に大規模リニューアルしたケースでは、RevPARが鹿児島で約6%、岡山は約13%向上しました。今回も同様に上げていきたい」(内田社長)。

課題となっているのは、インバウンド客の集客だ。現状「ワシントンプラザ」は7.7%、「R & Bホテル」は3.7%、これは他のホテルと比べると、半分程度のため、比率を上げていく。

「そのため、今年より専門のプロジェクトチームを立ち上げ、海外旅行会社への訪問や、旅行博などの展示会に出展するなどの活動を進めていきたい」(内田社長)という。

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