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  • ビジネスチャンス編集部

「一軒家完全貸し切り」ゲストハウス21店舗展開 2019年7月期売上高が初めて100億円を突破

ブラス(愛知県名古屋市)


「一軒家の完全貸し切り」をコンセプトにしたゲストハウスを運営、2017年には東証・名証一部上場を果たしたブラス(愛知県名古屋市)。現在、名古屋エリア4店舗、三河・知多エリア5店舗、尾張・岐阜エリア2店舗、静岡エリア4店舗、三重エリア3店舗、関西エリア2店舗の計21店舗を展開、さらなるシェア拡大を目指している。(※2020年4月号より)



河合 達明 社長(53)

かわい・たつあき

1966年愛知県生まれ。1998年に司会事務所として、有限会社ブラス立ち上げ。2003年にゲストハウス第一号とし愛知県一宮市に「ルージュ:ブラン」をオープンさせる。


ブライダルビジネス逆張り戦略が奏功

年間2600件の結婚式プロデュース


近年、婚姻組数や結婚式を挙げるカップルの減少が顕著になる中、同社は右肩上がりの成長を遂げている。同社は2003年、愛知県一宮市に1号店「ルージュ:ブラン」を開業させて以来、東海エリアを中心にドミナント戦略を進めてきた。2019年7月期の結婚式施行件数は、前年比122件増の2643件。平均単価も同72円増の385万4000円となった。

比例して業績も拡大。2019年7月期の売上高は前年比107%の103億9000万円と初めて100億円を突破し、営業利益は5億5800万円と成長軌道に乗っている。

同社の特徴は、これまでの結婚式の在り方を逆張りし続けていることにある。

それぞれエリアに合わせた異なるコンセプトを持つ施設は、全てが「1チャペル・1パーティー会場・1キッチン」の完全貸し切り型だ。

河合達明社長が話す。

「1日1組に限定することによって、まるで自分の家に友人を招待したような雰囲気を提供することができるのです。もちろん、会場全体を自由に装飾することも可能ですし、なによりも当日の進行は、他の結婚式を気にすることがない。通常の結婚式は、1日数組行うため、あらかじめ終了の時間が決まっており、その時間に合わせて進行する。しかし、当社は時間も貸し切りなのです」

「ウェディングプランナー一貫制」も他社のやり方とは真逆を行く。通常は新規来館、打ち合わせ、当日対応と最低3名がそれぞれを担当するが、「当社は新規来館から当日対応まで一人が担当することにしています。信頼関係を築きながら打ち合わせを進めることで、満足度はもちろん、施行単価も上げることができるのです」(河合社長)

また、全施設の「オープンキッチン」も業界でいち早く取り入れた。これはパーティー全景が見やすく、披露宴の進行に合わせてベストなタイミングで料理を提供できるからだという。

「参加者にもキッチンが見えているからこそ、調理スタッフの意識も高まり、衛生管理にも気を配ることができる」(河合社長)


2003年に第一号店開業

挙式後のアフターフォローで口コミ集客重視


こうしたビジネスの発想は、結婚式の司会業での経験にある。

営業マンから、プロの司会業として独立していた河合社長は、無手勝流の段取りを無視した演出が評判を呼んでいた。しかし、時間通りに進行させたい式場からはクレームの嵐だった。

「新郎新婦が会場の都合に合わせるのではなく、新郎新婦自身の思いを叶える理想の場所を創りたい」こう考えた河合社長は、ゲストハウス運営事業に舵を切ったのだった。

同社は結婚式後にも各ゲストハウスで定期的に「夏祭り」等を開催する。当日は撮影会やメモリアルアルバムの提供などで、式後の顧客と繋がることのできる時間を欠かさない。

通常は結婚式を終えると関係は終わってしまうが、ここも業界の反面教師としての取り組みだ。ウェディング業界はリピーターを確保することは難しいといわれているが、同社は顧客が顧客を呼び込むことに成功しているのだ。

「実際、ウェディングビジネスは新規顧客を常に呼び込むために多額の広告宣伝費は欠かせない。しかし、当社の広告宣伝費は売上の7~8%程度で、口コミで集客できることが強みです」(河合社長)

口コミを広げ、地域でのブランディングを確立することで、ドミナント戦略も可能になるという訳だ。


名古屋駅近くにある「クルヴェット名古屋」

関東・関西エリアでの出店を加速

既存施設の買収で早期投資回収も


ブライダル関連業界の市場規模はこの5年間、約1兆4000億円で推移している。一方、婚姻件数は60万組前後で推移しており、将来を考えても決して成長性の高い市場ではない。

ただこの市場規模に対して、売上高上位5社の占める割合は約16%で、圧倒的なシェアを持つガリバー企業が存在せず、市場シェアが現在、0.8%に過ぎない同社にとってもシェア拡大の余地は大きい。

同社では今後も、新規出店を加速させる。特に上場以降は、全国からは不採算会場からの相談がひっきりなしに舞い込んでくるという。

「年間1~2店のペースで新規出店を進めていきたい。建築コストが高騰している現在、新築に限らずM&Aなども積極的に行っていく。より効率的な出店を考えていく。もちろん既存店でも、より一層顧客ニーズに対応した提案で、顧客満足度の向上と客単価増を図っていきたいと考えています」(河合社長)

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