「マンガ」アプリ事業柱に設立4年で上場果たす、IoTを活用した宿泊ビジネスは8店舗を展開

and factory 東京都目黒区


小原 嵩幹 社長


PROFILE おはら・たかまさ

1984年生まれ。

2009年株式会社シーエー・モバイル入社

2011年株式会社docks創業 取締役に就任

2014年当社設立 代表取締役に就任(現任)



 昨年9月、設立わずか4年でマザーズ上場を果たしたand factory(東京都目黒区)。主

力事業のスマートフォン向け「マンガ」アプリは、大手出版社との協業で、月間アクティブユーザー430万人とシェアトップを走る。一方、IOTを活用した宿泊施設運営も好調で、全国で8店舗にまで拡大している。同社の小原嵩幹社長に今後の成長戦略を聞いた。



売上高は前年比大幅増を見込む


——昨年9月に、マザーズ上場を果たしましたが、今期の見通しは。


小原 売上高は前年19億1600万円から38億7000万円、営業利益は40%増の5億1100万円を見込んでいます。第2四半期が終了しましたが、累計売上高は計画通りに順調に推移しています。

——主力のスマートフォン向けのアプリ(APP)事業が引き続き好調です。


小原 売上の約70%を占めています。当社はこのAPP事業とIoT事業の2つが大きな柱ですが、新規事業として展開しているIoT事業、特にホステルを中心とした宿泊事業も伸長しています。


——設立後しばらくはモバイル向けゲームの攻略、マルチプレイのパートナー募集アプリが成長をけん引していました。


小原 攻略アプリを作ったことで、多くのユーザーとの接点が生まれました。これがのちの「マンガ」アプリの開発に繋がっています。アプリがどのようにダウンロードされ、どのように使われているのかを学んだからです。


——その「マンガ」アプリが今の成長を支えています。


小原 現在では集英社・小学館はじめスクウェア・エニックス、白泉社など、多くの大手出版社とタッグを組ませていただいています。最近では有名マンガ家によるアプリ専用の作品も増えています。月間アクティブユーザー数も430万人を超えました。


——「マンガ」アプリのビジネスモデルは。


小原 出版社と共同で、タイトルから、企画・コンサルティング・設計に至る戦略まで一手に手掛けています。出版社は紙媒体にこだわるあまり電子化に遅れてしまいました。この部分を当社がカバーしていこうというものです。マンガアプリの価値は、高品質なユーザーインターフェイス(UI)と、付加価値の高いコンテンツで決まります。当社が持つ技術・企画力と、大手出版社が持つコンテンツが融合することで、実現できたと考えています。


——「マンガ」アプリの主な収益源は。


小原 広告と課金が半々です。アプリによるマンガの読み方は紙媒体とは違います。例えば無料になるページを一部公開する。しかしクライマックスになる部分で切れるように意図的にしています。続きが知りたければ課金してくださいという訳です。今、マンガを読む読者層は、モバイルで読むことに抵抗がない。良いコンテンツがあればまだまだ伸びる分野だと思います。


——マンガの読み方が変わってきている。


小原 決して当社の名前が表に出ることはないのですが、裏方として出版社とは非常に良好な関係を作っていると思います。周りを見ても同業他社は決して多くはなく、この事業ではトップシェアを維持しています。


「&AND HOSTEL」は訪日外語人旅行者に人気


——最近はもう一つのIoT事業が伸びています。中でも宿泊事業が話題になっています。一見するとこれままでのAPP事業との接点は薄い。


小原 当社のビジネスは企業と企業、企業と個人を結ぶプラットフォーマーであることです。システムをどう結び付けるか、その点で宿泊事業は相性がいい。


——「&ANDHOSTEL」ブランドで、ホステル8店舗を運営しています。


小原 実は、宿泊施設は長い間ビジネスモデルが変わらず、非効率的な運営をしているところも多い。当社はそこに得意のテクノロジーを導入してビジネス化しているのです。


——「&ANDHOSTEL」はIoTデバイスを集結させ、近未来空間が体験できるスマートホステルとして話題になりました。


小原 具体的には、客室の予約状況や料金などの情報を一元管理できるクラウド型のシステムや、宿泊施設や周辺の観光案内などを配信できる客室タブレットサービス等を備え付け、省人化や省エネ化を図りました。宿泊者側も利便性や快適さが向上します。このシステムを基に、IoTデバイスの各メーカーからAPIを開放してもらうことで、複数のIoTデバイスを一括で操作できるプラットフォームアプリ「&IoT」を開発、ホテル事業者にも提供しています。


——初めてホテルも手がける計画です。


小原 大阪エリアで初めて本格的なホテルを開業させることとなりました。ここまで自社所有で展開してきましたが、実績が増えたことで徐々に売却していきたいと考えています。今後、年間1〜2棟は売却できるのではないでしょうか。


職場環境整え年間離職率は5%


——andfactoryは、設立4年で上場を果たしました。ただ、今の会社を設立する前に、学生時代に起業しています。


小原 大学2年の時に、学生へのプロモーションを手掛ける企業を興しました。当時は映画会社と連携して室を使って試写会なども行いました。大学側も協力してくれて参加すれば単位をもらえることもありました。最初の企業から10年間でたくさんの人たちと働き、その中でも優秀で「一緒に仕事をしたい」と思った人たちに声を掛けて今の会社を設立したのです。そのため、創業時から第一線で活躍している人材が揃っていました。


——創業当初から人事の専門家をいれて人事制度にも力を入れてきました。このため非常に離職率が低いと聞いています。


小原 ここ数年で30人規模のスタッフを採用しています。今年は初めて新卒も採用しました。彼らにはなるべく長く勤めてもらいたい。企業の源泉は人ですから、社内のコミュニケーションの円滑化には非常に力を入れていますし、最近ではオフィスの拡張に伴って一部スペースを無料で飲食できるカフェスペースを設けました。


——仮に優良な人材を採用しようとすると、年収の35%をエージェントに払わなくてはならない。


小原 それならば人の入れ替わりのない、働き甲斐のある職場環境を作り上げるほうが、長い目で見ればメリットは多い。実際、当社の年間離職率は5%程度です。


——設立4年というスピードで上場したのも人材を確保するためだとか。


小原 経営の安定化と更なるステップアップのための通過点として早期の上場を目指しました。そのため、創業時から上場を見据えて証券会社や監査法人に対応できる人材も用意しました。実は当社は、スタッフが若い割には、私を含めて既婚者が多く、設立時に集まったメンバーも大半が既婚者でした。経営が安定しないと、本人だけでなく家族の生活まで左右してしまいます。上場することで、スタッフの生活水準を上げられます。もちろん、金融市場にもアプローチしやすく、倒産リスクを下げられる上場は絶対にやるべきだと思っていました。


——今後の中期的な成長戦略は。


小原 APP事業とIoT事業という2軸をしっかりと育てていきます。マンガアプリにおいては、新規アプリを複数リリースする予定です。この分野では日本市場では圧倒的なナンバーワンを目指します。IoT事業においては、さまざまな企業との業務提携により、宿泊施設を軸として事業領域を拡大していきたいと考えています。

18回の閲覧

ビジネスチャンス

次なる成長を担うすべての起業家を応援する起業&新規事業の専門情報誌
 

© 2003-2020 株式会社ビジネスチャンス