【ワンダーフレンズ】既存事業にシナジーを生み出す運営方法を提案

多様な作業内容と全国平均の2倍近い工賃を実現

　2018年にオープンした就労継続支援B型事業所「ワンダーフレンズ」は、自社業務の委託により多種多様な就労作業を提供している。運営会社のワンダーフレンズは、放課後等デイサービスやグループホームなど福祉事業を幅広く手掛けるReSowホールディングスのグループ会社だ。グループで培ったノウハウをもとに、既存事業にシナジー効果を生み出す運営方法を加盟企業に提案している。

自前の就労作業が8割

　一般的な就労継続支援B型事業所は、企業等から業務の一部を請け負い、利用者に作業を提供している。一方、「ワンダーフレンズ」は、自社の既存業務の一部を切り出して作業依頼をするため、多様な就労作業を提供できる。現在は、入力作業などの事務作業やシール貼り、ハンコ押しといった軽作業に加え、グループ会社が手掛ける輸入卸のうち出荷・検品・袋詰作業や、運営するクリーニング工場での作業を提供している。中には、天王寺動物園や民泊の清掃など請負作業もあるが、全体の8割程度が自前だという。
　既存業務を外注せず、就労作業として内製化することで同社の営業利益が向上。その分を、利用者の工賃に還元している。同事業所の平均工賃は全国平均の倍近い3～3.5万円に達している。
　B型事業所の利用者は非雇用契約になるため低リスクなうえ、訓練等給付費が受給できる。収益性向上が期待できるほか、障害者雇用の課題解決にも繫がる。こうしたメリットから、同社は本業のある法人を対象にFC募集を開始した。

天王寺動物園の清掃作業

手厚く継続的なサポートを実施

　現在は直営15店舗、FC8店舗の23店舗を展開している。物件取得費を除く初期投資は、研修費を含む加盟金300万円、什器備品やパソコンなどの設備費200万円、消耗品費や人材募集費、初月人件費・家賃、許認可申請費が550万円で、合計1000万円となっている。
　開業12カ月目の収益モデルは、延べ通所数549で給付売上が約470万円。販管費合計は約217万円で、内訳は人件費60％、家賃15％、広告費6％、水光熱費2％、消耗品費1％、その他経費16％、ロイヤリティ15％となっており、営業利益は約182.5万円だ。
　同社はグループで培った福祉のノウハウをもとに、加盟店の既存事業から就労作業に適した業務を提案する。飲食業の場合は割引券の制作や店内清掃、建設業の場合は資材整理などを就労作業として活用してきた。どの業種でも、シナジーを生み出す提案が可能だという。
　同社のロイヤリティは比較的高めだが、その分手厚いサポートを用意している。開業前は開所要件を満たす物件探しや指定申請処理の代行、サービス管理責任者の採用面接の同席などを行う。開業後は毎月の給付金申請の代行やSV訪問、支援スキルや制度理解を深めるためのスタッフ研修を実施している。
　また、利用者獲得のための取り組みとして毎月、地域の相談支援事業所や医療関係機関に細部まで作り込まれた機関誌「ワンダーステップ通信」を郵送している。これにより、関係機関からの紹介が多く、利用者全体の8割を占める。
　同社は福祉から日本を活気づけるため、47都道府県の出店を目指す。

ワンダーフレンズ
ワンダーフレンズ
（大阪市中央区）
熊野 賢社長（44）

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