【TKP】ビルの遊休フロアを会議室に転換
公開日:2024.05.28
最終更新日:2024.05.28
※以下はビジネスチャンス2024年6月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
企業の研修需要獲得し新市場創出
貸会議室運営事業を主軸に、「空間再生ビジネス」を展開しているのがティーケーピー(TKP 東京都新宿区)。同社は不動産オーナーから遊休フロアを貸借し、法人向けに研修や会議などの用途に貸し出す独自のビジネスモデルで成長してきた。
「空間再生」ビジネス展開
同社は昨年11月1日、大阪駅から徒歩6分の「梅新第一生命ビルディング」11階に、「TKPガーデンシティPREMIUM 大阪梅田新道」を開業させた。
同施設は、高い機能性を備えた最高クラスのオフィスバンケットに位置付けられる。総契約面積は1127㎡で、全5室の大小様々なホール・会議室を備える。最大のホールは500㎡あり、会議や研修だけでなく、宴会やイベントなどの多様な需要に対応する。
同施設は、西日本最大のターミナル駅である大阪駅をはじめとする7駅が利用可能なロケーションにある。現在大阪市では、大規模な再開発が進行しており、大型オフィスビルや商業施設等の建設による街の進化が加速している。2025年には大阪・関西万博も予定され、今後さらにビジネスでの需要が増していくと期待されている。
同社は、オフィスビルの遊休フロアに、「テナント」として貸借し、会議室や宴会場などに転換、法人に時間貸しするという独自のビジネスモデルを確立させた。物件の有効活用を図りたい不動産オーナーと、低コストで会議室を利用したい法人をマッチング。新たな市場を創出した。2005年の設立当初は、建替え直前のビルを開拓し展開してきたが、現在は新築ビルへ入居するケースが多いという。2017年に東証マザーズ(現グロース)に上場を果たしている。
同社が展開している会議室は、大型・新築のオフィスビル内の「ガーデンシティ PREMIUM」はじめグレード別に6つのバリエーションを有する。累計約3万社の法人顧客を有する。
現在、同社が展開している貸会議室は、全国で230施設以上、14万坪超え。このほかに、ホテルはじめとする宿泊事業なども展開している。
コロナ禍経て成長回帰に
2021年2月期以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により業績は一旦後退し、新規出店等も抑えてきたが、足元業績は回復基調にあり、事業拡大に向けた出店再開や大型増床など成長回帰に向けて本格的に動き始めた。
同社は今後の事業拡大に向け、最大テーマとして貸会議室を中心としたスペースの確保を挙げている。既に2024年度に向け、東京・大阪のビジネス地区を中心に新規出店案件や増床計画が挙がっているという。
2024年2月期の連結業績予想は、売上高は前期比28.1%減の363億円。子会社売却の影響が大きいが、これを除けば増収となる見込み。一方、営業利益は同51%増の54億円となる見込みだ。(いずれも2月10日現在)
同社は貸し会議室やレンタルオフィスのフレキシブルオフィスをコア事業と定め、ホテル・旅館の宿泊施設、イベントプロデュース、人材派遣など周辺事業を準コア事業、ノンコア事業としているが、コア事業に注力し選択と集中を実施する。周辺事業はコア事業との組み合わせで、「例えば宿泊と研修を組み合わせた施設の提供など、企業の需要に合わせたサービスを提案していく方針」(河野社長)だ。
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