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【SIN】複数ブランドの地区本部事業を展開 四国を中心に加盟開発を進める

公開日:2023.11.25

最終更新日:2023.11.25

※以下はビジネスチャンス2023年12月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

SIN (香川県観音寺市) 大西 正剛社長(64)

 SINは四国を中心に「温野菜」など飲食 FC3ブランドを手掛けるほか、自社ブランド「あかね総本店」も運営する。複数のブランドで四国地区のFC本部と加盟店事業を展開する大西正剛社長に話を聞いた。

 

 

 

50歳で起業、中国・四国で外食産業を展開する

 これまで中四国地域で外食産業35年間、フランチャイジーや地区本部として約100店舗の開発と運営を手掛けてきた大西正剛氏。50歳で独立し、2010年に香川県で SINを設立した。当初は外食産業からは離れ、百貨店に商品を卸すなど物流事業をしていた。
 しかし、2011年になって「大阪王将」の本部から連絡があり、岐阜市に出店する。独立して1年で外食産業に舞い戻ることになったのだが、これには退職間際、後輩たちから「独立するなら、運営は自分たちでやるから店を作ってほしい」と言われていたことが大きい。大西社長は「そう言ってくれたのはありがたいですね」と当時を振り返る。
 またこれと機をほぼ同じくして、広島県福山市に「しゃぶしゃぶ温野菜」と「牛角」を各1店舗ずつ買収する形で出店。その後も高知追手筋店を皮切りに複数出店した。
 2015年には、鶏白湯ラーメン「とりの助」の四国地区本部事業に関する契約を締結。1号店となる東予店をオープンする。その後も居酒屋業態などを手掛け、京都や大阪にも拡大していく。2018年には地区本部としての「とりの助」FC2店舗と、直営店1店舗を出店。その他のブランドによる居酒屋業態の地区本部加盟等、地区本部事業にも大きく舵を切った。

都市と地方の違いを痛感 一度立ち止まって課題を整理

 ここまで拡大の一途を辿ってきたが、近頃では次の世代のことを考えるようになった。
「70歳で引退するつもりでいます。あと5年ほど。跡を継ぐのは私より20歳下なのでちょうどよいタイミングかなと思います」
 まずは、収支で店舗を仕分けにした。利益を上げている店舗を残し、売上の良くない店舗は整理していく。全店舗の収支を見て、気づいたことの1つが物流だ。
「食材が航空便で届くことがあります。そのため、食材原価が高くなるんです」と大西社長は指摘する。物流費用を商品代金に転嫁するわけにはいかない。本部から物流費の負担を求められると、出店したくても断念せざるを得ないという。
 2つめは都市部と地方とのギャップ。多くの本部は東京にあり、メニューは都市型で作り込まれる傾向が強い。メガフランチャイジーは地方に多くあるにも関わらず、地方型にカスタマイズされていない。その結果、都市で流行るものが、地方に来るとまったく流行らないことが少なくない。
 このように都市と地方といった地域差が少なからず存在する。複数ブランドの四国地区本部事業を推進する大西社長は、全体を見渡すことの重要性を強調する。
「全体像が見えていないビジネスに取り組んだ時に問題が起きる」
 加盟前、誰もが事前にリサーチするだろう。しかし、前述した物流の問題は加盟前には見えにくいものだ。他にも、途中で食材の価格が変更されることもある。食材原価は外的要因も関係するので仕方ない部分もあるが、事前にどのような取り決めがされているのかを確認する必要がある。
「FCビジネスは本部選びが生命線。二人三脚でやっていこうという姿勢の本部と付き合うことが大切です」

「とりの助」観音寺店

新規出店より既存店の立て直しに注力

 同社の売上は、2015年は5億7000万円だったものの、コロナ禍で落ち込み、現在は4億2000万円前後で推移している。売上比率はとりの助が35%で温野菜が40%、牛角とあかね総本店が25%だ。
 コロナが発生した過去3年間を振り返ると、「温野菜」は厳しい状況が続いたが、徐々に回復の兆しを見せている。「とりの助」はコロナ下も健闘。牛角とあかね総本店も温野菜同様に苦戦を強いられている。
 コロナを経験して分かったことは日常食が強いということ。四国地方は100万人以上の都市が愛媛県しかないため、外食産業は多くの地域で縮小している。今後、四国地方で立て直すとなれば、ロードサイドに出店し、日常食でありながら夜まで営業できる業態が理想的だ。
「とりの助はもう少し増やそうと思います。温野菜と牛角は様子見ですね」と、大西社長は新規出店には慎重な姿勢だ。新規出店するとしたら日常食を扱うブランドとなる。四国の特性に合致するメニューであれば、もう1つのブランドに加盟する可能性はあるという。
 とはいえ、加盟開発は大西社長から若い世代にシフトしつつある。
「いろいろな情報も部下の方に集まっています。彼らも長年外食畑でやってきたので引き継いでいきたいと思います。自分のできること、やってきたことをどれだけ伝えられるか。これが今の私の仕事です」

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