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【カゴハラゴルフ】事業拡大に挑むフランチャイジー(Case 2)

公開日:2023.08.09

最終更新日:2023.08.14

※以下はビジネスチャンス2023年8月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

 本章では、運営店舗数が店舗前後のフランチャイジーのトップインタビューを掲載する。これらの企業は既存ブランドの運営が安定し、今後は新規加盟などを検討して店舗数を増やす段階だ。メガフランチャイジー直前の企業に、店舗数拡大への道のりやブランド選定の基準を聞いた。

カゴハラゴルフ (埼玉県熊谷市) 奥富昭彦社長(69)

1953年、 埼玉県熊谷市生まれ。1979年よりカゴハラゴルフ練習場に携わる。 1994年に法人化、カゴハラゴルフ設立に伴い取締役に就任。2006年、代表取締役社長に就任。現在に至る。
加盟ブランド:ゴルフパートナー、ゴルフパートナースクール、JOYFIT、FIT365、珈琲所コメダ珈琲店、個別指導WAM

 

FCを活用し、他業種にも次々と挑戦 創業50周年を機に新たな挑戦へ

 自社でゴルフ練習場を運営するカゴハラゴルフは、「ゴルフパートナー」や「JOYFIT」、「珈琲所コメダ珈琲店」など6ブランドに加盟するフランチャイジーだ。同社は他業種に加盟していたことで、コロナ禍でのリスク分散に成功。近年のゴルフ人気も追い風となり、今期の総売上高は27.3億円を見込んでいる。

農地をゴルフ練習場に 時代を先見した創業者

―御社は1972年にゴルフ練習場として創業しました。
奥富 今に繫がるゴルフ市場のスタートラインに、父がゴルフ練習場を開業しました。籠原は昔、熊谷飛行場の一画で、戦後に父が熊谷籠原開拓団の一員として入植しました。開拓後26年ほどは農業と酪農に従事していましたが、70年代になり、一気に時代が変わりゆくのを感じたそうです。長方形でよい形の畑があったのでゴルフ練習場を建てようと、農家のおっちゃんが鍬を持つ手をクラブに変えたのが、当社のはじまりです。
―当時の業績はいかがでしたか。
奥富 創業時はゴルファーが少なかったのですが、徐々に増えてきて5年後には繁盛店となりました。オイルショックなどで大変な時期もありましたが、当時はまだ日本に勢いがあったため数カ月で回復基調に戻り、多くのお客様に支えられて運営を続けてきました。
 今ある練習場は全て買収物件です。時代の変化やバブル崩壊で立ち行かなくなった施設を買い取りました。しかし、当社も業績が良かったわけではなく、周りに大きな練習場が4軒できたことで売上が減少していました。これを受け、若かった私はどうしても大きな練習場を建てたく、用地確保に動きまわっていました。しかし、父がこう言ったのです。
「今ある練習場は立ち行かなくなって売りに出される可能性が高いから、そのときに買う準備をしておけ」
 その約10年後にバブル崩壊が起き、父の言うとおりになりました。当社は開拓者魂を忘れずに挑戦することを理念としてきましたが、ブレーキを踏む勇気も父から学びましたね。バブル崩壊後、当社は8つのゴルフ練習場を買い取り、現在も運営しています。

コメダは3年で5店舗を出店。現在は8店舗を展開中。

オーナーも現場を理解 営業側と経営側が一体に

―現在、「ゴルフパートナー」を出店し、ゴルフ用品販売も行っています。
奥富 2008年、東松山市にあるゴルフ練習場内にオープンしました。ゴルフ練習場を長年運営している中で、ゴルフの用品販売や修理工房など練習場内事業をやってみました。そこで感じたのはビジネスとして独立しプラスになるかと言われると、ゴルフ練習場の付帯の域を出ないものばかりでした。しかし、ゴルフパートナーは中古販売を行います。中古なら練習した後、ゴルフクラブなどを買い換えられるので、これは面白いと思い、加盟しました。
 開業当初の売上は厳しかったです。私たちはゴルフに関して素人ではありませんが、練習場への集客と売ることは全くの別でした。
―業績を上げるために、どのような取り組みをしましたか。
奥富 本部やSVの指導を真摯に受け止めて、実践し続けること。あとは、オーナー自ら現場を理解することが大事だと気づきました。責任者任せにするのは酷ですし、必ずしも能力のある人に当たるとは限りません。複数出店するならなおさらです。そのため、社長が店舗を訪れ、SV相談の場に立ち会い、意思決定まで共にやる。営業側と経営側が一体にならないとだめなんです。
―ゴルフパートナー加盟後は、「JOYFIT」や「コメダ珈琲店」などに加盟されています。
奥富 当社では「スポーツヴィレッジ」という、子ども向けのフットサルやテニスのスクールを運営しています。多いときには600人の生徒がいました。そこの隣接するところに用地を確保できたものですから、ス ポーツクラブを建てるのも面白いのではないかと思ったのです。そんなとき、副社長がFCショーでJOYFITを見つけてきました。当時の JOYFITはFCを全面的に始めて数年後という時期で、まだ十分に出店余地がありました。そこで加盟を決意し、現在は姉妹ブランドの「FIT365」も展開しています。
 コメダ珈琲店は、客として利用したのがきっかけです。岐阜に訪れた際、やたら店舗があるなと思っていたのですが、待ち合わせ場所に偶然指定されたのがコメダでした。利用してみてすごく魅かれるものがありました。当時のコメダは、ちょうど関東エリアに出始めたタイミングで、まだ間に合うと思い、加盟しました。周辺にコメダがなかったことからすぐに軌道にのり、3年で5店舗ほど出店しました。現在は8店舗を展開していますが、そのうち2店舗は直営譲渡とM&Aです。日々、真面目に運営して本部との信頼関係を築いてきたからこそ、こうしたお話もいただけたと考えています。
―ゴルフがルーツながらも、幅広い業種に加盟されています。
奥富 他業種への加盟に関して、あまり違和感はなかったですね。地域の中で2〜3時間過ごせて、そんなに高くなく、週に1度くらいは利用したい施設を提供したい。この考えが基本なので、業種は何でもよいのです。ロイヤリティという対価を支払うことで、店舗づくりや運営方法を教えてもらえることがFCの価値なので、業種がいくら違っても挑戦できます。また、こうして他業種に投資を分散させていたことで、コロナ禍でも、当社は一度も赤字を出さずに済みました。
―今後の展開を教えてください。
奥富 これまで私と副社長で経営を担ってきましたが、50周年を機に新たに3人の取締役を含めた5人で全社的なマネジメントを行います。取締役には、私と副社長の息子も含まれており、若い発想を取り入れるとともに、世代交代も見据えています。私の息子はコメダ社員の経歴があるので、コメダ部門の担当をしています。副社長の息子は大手ゴルフチェーンに勤めていたため、ゴルフパートナーの統括責任者としてスタートを切りました。経営陣それぞれに得意な分野や視点があります。3年前から取り組んで、今ようやく5人で最終的な意思決定をするところまで経営体制が整いました。
 今後、当社はFCとM&Aで事業拡大を図っていきます。FCは既存ブランドの多店舗化に加え、新規ブランドの加盟も検討中です。開拓者魂に帰属する挑戦の心を忘れず、地域の人に喜んでもらえる施設やサービスを提供していきたいと思います。

50周年を機に新たに3人の取締役を加え、5人で全社経営を行う

 

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