• HOME
  • 記事
  • 【HAKU】ITの強みを生かした無人メディカルホワイトニングサロン

【HAKU】ITの強みを生かした無人メディカルホワイトニングサロン

公開日:2024.03.06

最終更新日:2024.03.08

※以下はビジネスチャンス2024年4月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

日本のオーラルケアの普及のためFC展開

HAKU ハロウ (東京都新宿区) 宮地 誠也 COO(33)

 ハロウは2022年4月に設立。当初、ITのベンチャー企業として無人運営システムとオンライン診療のシステムを既存のサロンやこれからオープンするサロンに展開する予定で、同年5月に沖縄で「HAKU」の前身となる無人ホワイトニングサロンをオ ープン。11月からFC募集を開始した。現在、「HAKU」は、直営店3店舗を展開。加盟は120件を越え、開業済みの店舗数は70店舗を越えた。5年で500店舗を展開する計画だ。

 

 

 

無人運営システムとオンライン診療

 ここ数年で歯のホワイトニングの需要は高まってきている。しかし、同社の宮地誠也COOは「日本ではまだホワイトニングが普及していない」と話す。先進国はオーラルケアが予防医学として確立されており、アメリカでは保険診療が効かないため定期的なケアををしておかないと費用負担が大きい。一方、日本では保険診療が適応されるため、虫歯になってから歯医者に行くなど、歯のケアの関心が薄い。現在、ホワイトニングには医療と美容が存在する。
 同社が調査をした結果、歯科医院で行う医療ホワイトニングにかかる費用は1回あたり1万〜7万円だ。ただし、理想の白さに近づくには複数回通う場合があるため、約10〜20万円はかかる。そこで話題となったのが、美容のセルフホワイトニングサロンだ。価格は1回あたり3000〜5000円と通いやすい価格帯だが、歯の表面についた着色汚れのみを落とす、ポリリン酸や酸化チタンを使用している。そのため、歯の内部まで浸透した汚れを落とすには、医療ホワイトニングで使われている過酸化水素配合ジェルを使い、歯の内側から着色を分解し、より理想の白さを目指す必要がある(効果には個人差あり)。しかし、過酸化水素は医薬品扱いとなるため、歯科医師の診療や処方が必要。一般のホワイトニングサロンでの導入が難しいのだ。
 同社はそういったホワイトニング業界全体の課題を解決するため、「無人×オンライン診療」のシステムの構築や提携する歯科医師の選定、過酸化水素の成分が入ったジェルを製造するメーカーを開拓した。これで、ホワイトニング1回あたりの料金は歯科クリニックの1/5程度の価格で提供できるようになった。利用者は20代半ばから30代後半の女性が多く、現在のプランは1年契約のプランと半年契約のプランがある。支払い方法は月々払いと年間一括払いの2種類だ。1年契約プランは、月々払いが4950円×11ヶ月(初月無料)で、年間一括払いは、4万9500円と月々払いより1ヶ月分安くなる。(年間20回まで)半年契約プランは、月々払いが7950円×6ヶ月(初月5000円割引)で、半年一括払いは4万2700円で月々払いより、3回多く通える。(半年で12〜15回まで)契約期間終了後は自動更新で月2回通えるメンテナンスプランのサブスクに切り替わるため、ストック売上を積み上げやすくなる。
 ユーザーの初回来店時は、店舗にあるタブレットでカウンセラーとオンラインカウンセリングを行う。目的は、医療ホワイトニングの説明と理想の白さの擦り合わせなど。美容ジェルを使い、セルフでの施術方法を確認する。オンラインカウンセリング中、または3日以内にユーザーはプランの決済を行い、初回体験終了後、ユーザーは自宅でWeb問診表を記載し、歯の撮影をする。ここで、過酸化水素配合ジェルの処方を受けるため、歯科医師による電話問診の希望日時を選択。予約日時に歯科医師からユーザーへ電話をかける(オンライン診療)。問診票、診療内容に問題なければ、ジェルの決済用URLを送付。購入後に自宅にジェルが届く。ユーザーはジェルを持って店舗に行き、自身で施術をする。このような無人運営システムと歯科医師とのオンライン診療の構築が他社の真似できない同社の強みである。
 1回の施術の予約時間は50分枠で、施術方法は歯全体にジェルを塗り、専用の照射機を15分間歯に当てる。この作業を2セット行う。効果については個人差があり、過酸化水素の性質により、内部から着色を分解し、歯を白く見せることは期待できるが、個人の通う頻度や食生活などの生活習慣の影響も踏まえ、まずは10回程度通うこと、そして理想の白さへ到達後も維持するために月々のメンテナンスを推奨している。

設置してあるタブレットでオンラインカウンセリングを行う

多店舗展開しやすいビジネスモデル

 同社のブランドパッケージは、開業サポート費用198万円、物件取得費用50〜60万円、インテリア・消耗品・通信関係などが約40〜50万円でトータル300万円前後となる。ロイヤリティは10%だ。1席の場合の収益モデルは、月商77万円。ランニングコストは、システム利用料やオンライン診療利用料、CSサポート、広告運用代行などの運用サポート費用が合わせて9万7000円、家賃光熱費が約10万円、広告費用が15万円で営業利益は約25万円となる。現在の収益は年間払い、月々払いの会員費用のみ。月々払い会員だけで損益分岐を超えるのは60〜70名が集まる半年〜1年と想定している。
 場所は15〜20平米が確保できるマンションの1室やテナント、もしくは水回りを確保できれば別業態との併設や間借りも可能。推奨立地は、ユーザーが最初の2、3ヶ月は週回通うことを想定し、駅前や生活動線の中に店舗を構え、行動範囲がキロ圏内に人が多く住んでいるエリアが理想。地方の場合も一定数の人口がいるエリアであれば出店可能である。
 現在のオーナー属性は、7割が個人事業主で3割が法人。多店舗展開しやすいビジネスモデルのため、1店舗が黒字化したら、多店舗展開をしてリスク分散することを推奨している。
 日々のオーナー業務は、週2〜3回の店内清掃や備品の補充、SNS運用やgoogleの口コミの返信、本部の集客とは別手法での集客(口コミで広げる、ポスティング、チラシ配り)など。まずは、ミニマムでリスク少なく店舗運営や集客を学び、独立の後押しをしていきたいと考えている。集客は基本的にオーナーが行うが、月1万円のオプションで本部に依頼することも可能。内容は、広告運用代行、クリエイティブの作成などだ。
 本部は、「HAKU」を投資型ビジネスとは考えていない。開業後、初回カウンセリングのカウンセラーの採用・育成・管理やデータ分析、ユーザーからの問い合わせは、本部のCS部門が対応するが、SNSの運用に関しては、オーナー自身で工夫しながら売り上げを立てる経験を積んで欲しいと考えている。オーナーと本部で連携して、早期黒字化を目指していく。
 同社は今後、無人運営システムの強みを生かし、新しい事業にもチャレンジしていきたいと考えている。

出店はマンションの1室や別業態との併設も可能

次なる成長を目指す
すべての経営者を応援する
フランチャイズ業界の専門情報誌

フランチャイズ業界唯一の専門情報誌として、毎号さまざまな切り口をもとに新興本部から大手本部までをフォーカス。またFCを自社の新たな経営戦略として位置付け、中長期的な経営を目指す経営層に向け、メガフランチャイジーの情報も提供しています。

記事アクセスランキング
次なる成長を担うすべての起業家を応援する
起業&新規事業の専門情報誌

“起業のヒント” が毎号充実! “ビジネスチャンス” の宝庫です。
すぐにでも役立つ独業・開業・転業・副業サポートの雑誌です。
資金をかけずに始められる新しいビジネスの紹介、FC、経営・会社運営のノウハウなど、多くの経営者からの“起業のヒント”が毎号充実。

定期購読お申し込みはこちら