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【フードクルーズファクトリー】事業拡大に挑むフランチャイジー(Case 1)

公開日:2023.08.09

最終更新日:2023.08.14

※以下はビジネスチャンス2023年8月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

 本章では、運営店舗数が店舗前後のフランチャイジーのトップインタビューを掲載する。これらの企業は既存ブランドの運営が安定し、今後は新規加盟などを検討して店舗数を増やす段階だ。メガフランチャイジー直前の企業に、店舗数拡大への道のりやブランド選定の基準を聞いた。

フードクルーズファクトリー (東京都台東区) 澤邉真一社長(48)

1974年、千葉県木更津市生まれ。2003年、フードクルーズファクトリーに入社。加盟店店長、統括マネージャー、自社業態開発担当を経て2014年に取締役営業部長に就任。2022年4月、代表取締役に就任。現在に至る。
加盟ブランド:土間土間、Di PUNTO(ディプント)、オスシマチ

 

 

 

 

総スカンを食らった苦い経験を経て人材開発に特化 アルバイトの社員化により採用費はゼロ

 フードクルーズファクトリーは、「土間土間」「ディプント」「オスシマチ」にFC加盟しており現在、自社業態も含めて都内の中心地に飲食店14店舗を展開している。同社の澤邉真一社長は「FCの仕組みのお陰で人に特化することができた」と語り、月商1000万円超えの店舗が多く、現在の年商は約12億円だという。

飲食未経験で店長に就任 パッケージの力で繁盛店に

―御社は、土間土間への加盟を契機に2003年に設立されました。
澤邊 当時は、ベンチャー・リンクさんを筆頭にFC事業が盛んになっていた時代です。親会社はショークラブの運営をしていたのですが、ベンチャー・リンクさんと縁があり、土間土間の加盟をきっかけに当社が設立されました。2003年11月末に渋谷宮益坂店がオープンし、私は当時、飲食未経験の状態で副店長になりました。土間土間はその頃とても人気の業態で、その半年後には2店舗目が出店され、飲食素人のまま渋谷宮益坂店の店長を任されることになったのです。
―飲食の経験がほぼない中、繁盛店を運営するのは大変だったのではないでしょうか。
澤邊 パッケージが良いと、私のような経験がない店長でも繁盛店になってしまいます。パッケージに力があり、親会社にも体力があったため、次々出店をして、当時のメンバーの実力以上の結果が出ていたように思います。
 しかし私が店長2年目の時に、私の独りよがりな考えに誰もついてこられなくなり、アルバイトに総スカンを食らいました。そこで一人では営業できないことに改めて気づかされ、仲間をつくろうという意識に変わりました。
―意識を変えてどのような変化があったのですか。
澤邊 アルバイトと一緒に食事をするようになってから、店のことを語るようになりました。すると1人、2人とアルバイトから社員になる人たちが増えてきたのです。私とは特性の違った人たちが社員になり、その誰かに共感して社員になってくれる人がさらに増え、気づけば店舗数も増えていました。現在は約50名の社員がいますが、40名ほどがアルバイト出身で、私が店長になって大失敗をしてから現在までの18年間は、社員採用費は0円です。
 今はあの失敗があったからこそ、人に特化する会社になれたと考えています。料理や内装、ブランディングなどはロイヤリティを払えばすべて本部がやってくれるので、自分たちは運営にのみ集中できる。それに気づいたら、一気に車輪が回り始めました。ただ、本部とロイヤリティだけの関係にならないようにすることは常に意識しています。たとえば私たちは、関わったSVさんをその会社の役員に押し上げるというミッションを持っています。本部はノウハウを持っていますから、私たちの役割は、現場の細かい状況をリアルタイムに正直に伝えることです。現場からの意見や課題感を常に共有して、困っていることがあったら即解決することを大事にしています。

今年3月末にはオープンテラス付きのディプント高円寺店を出店

社員が70歳まで働ける会社に 5年後に年商25億円目指す

―御社は現在ディプントを7店舗も運営されています。
澤邊 土間土間を一時期6店舗まで出店したのですが、その頃には自分たちが30代後半になっていました。土間土間はスタッフも客層も若い業態だったので、40代以降でも続けられる業態が必要だと考え、「串あん」という自社業態を開発したのです。ただ、土間土間と串あんという男臭い会社になってしまって(笑)。その頃、優秀な女性アルバイトが何人も在籍しており、その方たちを社員化したかったこともあり、採用の幅を広げるためにもディプントの加盟に至りました。パッケージの魅力も強かったですが、本部の人たちみんながディプントへの強い愛を持っていることを感じ、このブランドは間違いないと感じました。
―ブランドを選ぶ際の基準を教えてください。
澤邊 まずは私たちの人件費を払える業態であるか、仮の損益計算は自分たちで厳密に行います。その条件をクリアできれば、あとは実際に店舗に行って食べてみて、自分たちが営業している風景がイメージでき、ワクワクできるかどうかですね。
 直近では去年の夏ごろに「オスシマチ」に加盟したのですが、こちらの本部は出店地域の歴史背景も考えた店舗づくりをしてくれて、ワクワクしながら一緒につくることができました。
―今後の展望は。
澤邊 当社は社員やアルバイトといった身内を何よりも大切にしておにしており、みんなが定年を超えて70歳くらいまで働けるような会社にしていきたいと考えています。年齢を重ねて生活スタイルが変化していく社員の受け皿になるような業態を増やしていきたいですね。社員の入口戦略はすでに基盤がしっかりあるので、社内独立支援の体制を整えるなど、今後は出口戦略の方を重点的に考えていくつもりです。
 現在当社の年商が約12億円なのですが、5年後に25億円にすることを目指して、今年度は少なくとも3店舗増やして、社員を9名ほど採用しようと計画しています。

グッゲンハイム美術館をモチーフにしたオスシマチの舟席

名物の「マウント寿司」

 

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