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【エンパワー 】1000店舗体制が射程圏内、店舗数業界1位に王手

公開日:2023.10.07

最終更新日:2023.10.07

※以下はビジネスチャンス2023年10月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

加盟店サポートと店舗開発力で店舗継続率は97.4%

 一部商品の高騰や在宅時間増加による不要品処分などの煽りを受け、急成長を遂げる買取市場。新規FC本部が次々と参入する中で、業界2位につけるのが「買取大吉」だ。2021年は166店、2022年は207店舗と新規出店を続け、現在の店舗数は773店舗(直営141、FC632)。同社は来年の1000店舗体制を目指しており、業界1位の座を狙っている。

 

エンパワー (東京都新宿区) 増井 俊介 社長(49)

Profile ますい・しゅんすけ
1973年9月28日大阪府堺市生まれ、神戸学院大学法学部卒業。 1998年大手通信会社へ入社。その後、子会社代表などを経て2012年にコールセンター事業で起業。2016年株式会社エンパワー代表取締役に就任。
ブランド:買取大吉

 

 

リユース文化が国内で醸成 前期比163%の売上伸び率

―2022年の買取市場は、金や時計が高騰したことでマーケットバブルとなりました。これについて、御社はどう解釈されていますか。
増井 一部ではバブルという見方もあるのかもしれませんが、我々はそう捉えてはいません。一時の盛り上がりというよりは、社会トレンドの変化も関係していると考えます。その大きな要因が、リユース文化の定着です。コロナ禍で不要なモノを整理する動きもそうですが、それよりも消費者の持ち物に対する意識の変化が大きいです。何かが欲しいときにモノを売って買う、売ることを想定して買う、などの文化が国内で少しずつ醸成されてきたように感じます。そのほか、環境に対する意識の高まりや、持続可能な消費へのシフトなども市場活性化に貢献しています。
 現在、リユース市場規模が約3兆円であるのに対し、埋蔵資産は40兆円に上ると言われています。そのため、市場は中長期的に成長していくという見立てです。実際、当社の売上は前期263億円に対して、今期の着地予想は430億円。前期比で言うと163%です。
―ポストコロナとなり、商習慣に変化はありましたか。
増井 当社は2021年から、店舗で買い取った商品を出品する「大吉オークション」を開催しています。競りはオンラインですが、出品される商品は本社に保管してあるため、事前の下見も可能です。参加者は個人と法人で半々ですが、最近は台湾や中国などアジアのバイヤーが高値で買い取る兆候があります。そうなると、店舗では高値買取が可能になります。買取店の差別化として顧客対応も挙げられますが、結局は価格勝負です。当社は、オークションという有力な販路を開拓したことで高価買取が可能になり、集客力が高まりました。
―御社の年間店舗継続率は97.4%(12期)と、他社と比べても高い水準を維持しています。その理由は。
増井 理由は大きく分けて二つです。一つ目は開業後のサポートの手厚さ。二つ目は店舗開発力です。
 弊社には約30人で構成されたオーナーサポート部があり、FC店に対してマーケティングや経営戦略を含めた運営サポートを行います。この部署が発足する以前は、SVが1年間店舗に常駐していましたが、それ以降のサポート部隊はありませんでした。現在は開業前に7日間のOJTを行っており、その後は勉強会を実施。月1回のオンライン臨店で、実績確認と来月の戦略を立てます。また、真贋が分からない商品はDPS(大吉プロフェッショナルサポート)というプロの真贋部隊が、オンラインで査定のサポートをします。
―店舗開発について、独自の出店基準があると伺いました。
増井 当社には長年の店舗開発で蓄積したノウハウがあり、現在の出店基準は35項目に渡ります。たとえば、地域の特性や人口動態、競合の有無や集客施設の数。これらを全てクリアしないと出店できません。毎週のように出店審査会を行っているのですが、私がイケると思った物件でも「中央分離帯がこうで、右折ができない」「木の角度がだめ」という細かい理由でボツになることが結構あります。こうして妥協せずに物件選定を行ってきたことも、継続率の高さに繋がっていると考えます。

査定時はプロの真贋部隊がオンラインでサポート

有名企業との提携でリユース未利用者を開拓

―今年6月末時点の店舗数が773店舗(直営141、FC632)ですが、今後の出店戦略を教えてください。
増井 コロナ禍を含めた出店推移は、20年が33店、21年が166店、22年が207店、そして今年の見込みは320店となっています。今年の12月末には870店となる見込みで、堅く見積もっても来年月時点で1000店舗超える予想です。
―そうなると、再来年に店舗数で業界位が見えてきます。しかし、出店余地はまだ残されているのでしょうか。
増井 大吉という一つのブランドで1200店舗以上となると、商圏やカニバリズムの問題が出てくるので難易度は高いでしょう。しかし、マーケットの成長余地はまだまだあります。特に、郊外や地方都市は未だ買取サービスが浸透していません。コロナで生活様式が変わり、リユースが定着したことによって、消費者が新しくマーケットに入ってきます(参考:環境省「データで見る消費者とリユース」)。マーケットが3兆円から40兆円に広がることを考えると、1000店舗は目指せるでしょう。
 また、当社は数年前から商業施設への出店に力を入れていますが、すでに買取店が入っているケースが多く、空きが出たら同業他社とのコンペになります。その点、当社は帝国データバンクにて上場企業と同等の評点を頂いており、同業の中でも最も評価が高い会社の1社だと聞いています。よって、SCで出店コンペになっても選んで頂きやすいのです。
―1000店舗展開を目指す中で、直営とFCの出店エリアはどのように棲み分けているのですか。
増井 直営は大都市やターミナル駅、FCは地域密着で駅前やロードサイド、SCに出店するケースが多いです。直営は利益も追いますが、ブランディングや認知度向上を目指しています。また、百貨店など当社にノウハウがない施設には直営で積極的に出店し、ノウハウの蓄積を先行させています。そこで利益が上がる手法が確立すれば、FCの拡大余地に繫がります。
―御社はコメダ珈琲店や毎日新聞社の敷地で買取フェアを行うなど、他業種との連携を積極的に行っています。その狙いは。
増井 顧客への価値を提供すること、また、ブランド力強化の一環として企業とのアライアンスを行っています。7割のリユース未経験者をどう開拓するか考えたとき、自力だけでは難しいと考えました。そこで、信用力のある有名企業とタッグを組み、その敷地内で数日間限定の買取フェアを開催することにしました。ラッピングカーでコメダ珈琲店さんの駐車場に出店したところ、「買取は初めてだが、コメダがやっているのなら使ってみよう」と、新規利用者の獲得に多いに繫がりました。4日間の催事終了後は、近隣の店舗を紹介し送客していますので、FC店からもご好評頂いております。今後も提携する有名企業様の範囲を広げ、「買取大吉」の露出増によるブランド力強化と、リユース未利用者の開拓にも注力する考えです。

コメダ珈琲店の敷地で催事出店を行った

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