【good one】田所商店のブランドFC 1号店を出店し、4店舗を展開
公開日:2026.03.18
最終更新日:2026.03.02
※以下はビジネスチャンス2026年4月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。
現場スタッフとの関係構築や人材不足解消の工夫
味噌ラーメンの専門店「田所商店」に加盟し、4店舗を構えるgood oneは、FCモデルが立ち上げられた最初期に加盟している企業だ。当時は、暖簾分けのように加盟店が自由に屋号を決めることができ、同社も「蔵出し味噌 門左衛門(以下門左衛門)」として出店している。増店を図る中で、スタッフとの信頼関係構築に難航した局面もあったという。同社は、人材問題を解消するために、さまざまな工夫を重ねている。
前身は美容室業態 田所商店FC 1号店
good oneは、飲食業を複数店舗展開しているが、その前身はアキオスという社名で美容室を運営していた。もともと美容師をしていた父の萩原秋男氏が独立して創業。順調に出店を重ねてきたが、バブル崩壊をきっかけに状況は変わった。店舗数を縮小しながら経営を続ける中で、経営の多角化を意識するようになったという。
そして、新たな業態として選んだのが飲食業だ。2003年に味噌ラーメン専門店の門左衛門富士見店をオープン。当時の田所商店は、まだ直営店が1店舗のみで、同店はブランドのFC 1号店だった。出店した当初は好調な売上を記録し、直営店を上回る実績を残した。同店は本部スタッフからも、まるで直営2号店のように位置づけられ、手厚いサポートを受けることができた。
同社は、2008年にアキオスからgood oneに名称変更した。美容室を閉め独立する店長たちへ譲渡し、飲食店の経営に専念することになる。このころには門左衛門だけではなく、オリジナルブランドの店舗を出店し、1ブランドに頼らない経営体制の構築に着手していた。6年にわたり居酒屋を、2年にわたりうどん店を展開。門左衛門の近隣に出店し、人材をサポートしあいながら運営を続けてきた。しかし、提供する料理の管理に難しさがあったという。たとえば、うどんでは気温・湿度により、必要な塩分量や加水率が変わる。その製造管理のノウハウがなく、安定した商品提供ができなかったのだ。さらに、ラーメン業態の集客力が強く、圧倒的に門左衛門の収支が優れていたため、門左衛門の店舗数を伸ばす判断に至った。
萩原一将社長が、同社に入社して事業に深く関わり始めた2013年頃に、2号店となる三芳店の立ち上げを担当した。当時はマネジメント経験が浅く、人材育成や組織づくりに苦戦した。

樽を大きく打ち出た店構えが特徴だ
「立ち上げ時に採用したスタッフと良好な関係を築けず、緊張感のない空気がお客様にまで伝わっていました。サービスの質の低下や、満足度が下がり、売上面でも厳しい状況になりました」(萩原社長)
2014年にオープンした朝霞台店では、同じ問題が起きないよう、1号店の富士見店から長く経験しているスタッフを配置した。信頼できる経験者を入れることで、運営に集中できる環境を整えることに成功した。しかし、三芳店はスタッフとの関係を修復できないまま、結果的に閉店に至った。
三芳店での経験は、萩原社長にとって大きな挫折だった。自身の力不足を痛感し、一度同社を離れる決断をする。向かった先は、田所商店本部の直営店だ。本部企業の一社員として現場に立ち、清掃や仕込みなど基礎的な業務から学び直した。
その後、別会社を設立し、修行をしていた店舗を本部から4000万円で買い取り経営者として独立。現在では、同店舗を他オーナーに譲渡したが、現場責任者と経営者の両方を経験することで、少しずつ経営への理解を深めていった。
こうした経験を経て、2020年にgood oneに復帰を果たし、2023年に代表取締役に就任。同社に戻ってからは、新規出店に力を入れ、2021年に西浦和店、2024年に新座店をオープンしている。
萩原社長は、過去の経験から人材戦略に工夫をしている。近年はシェアフルやタイミーといった隙間バイトのサービスを活用しているが、目的は一時的な穴埋めだけではないという。何度かシフトに入った人材には積極的に声をかけ、引き抜きを行う。採用に費用をかけるより、実際の現場で適性を見極めたうえで関係を築くほうが合理的という考えだ。
「面接だけではわからない部分の適性を見てから判断ができます。引き抜きOKの隙間バイトのサービスで、大変重宝しています」(萩原社長)
展開している4店舗は好調を維持している。平均月商が900万円ほどで、好調な店舗では1300万円ほどの売上がある。田所商店は、樽の形をした大きな看板が特徴の一つだ。目立つ看板に加え、出店時にビールメーカーと連携して行う商圏リサーチにより、確かな集客ができており、それが安定した経営に繋がっている。

オリジナル業態のベトナム料理店
オリジナルのベトナム料理店 採用促進やシフトの補完に
オリジナルブランドは現在、ベトナム料理店を1店舗展開している。開店のきっかけは、スタッフのビザを守ることにあった。
萩原社長が田所商店の直営店で修業していた際に、ベトナム人スタッフの勤勉さや人柄に可能性を感じ、独立後も積極的に採用を進めた。
「仕事に対して前向きで熱心な人が多く、非常に心強い存在です。ベトナム人のコミュニティがあり、独自のネットワークから採用を進められたのも利点でした」(萩原社長)
しかし、門左衛門のスタッフとして雇っていたが、ビザ更新という大きなハードルがあった。ベトナム料理の文化を日本に広げる目的でビザを取得しているため、ラーメン店への従事ではビザの更新が難しかったのだ。そこで同社はオリジナルのベトナム料理店を開業した。スタッフは同店を主な勤務先としているが、門左衛門でシフトに欠員が出た際には応援として入ることができ、その点が大きな助けになっているという。
また、同社は2022年に海鮮丼業態の「魚丼(うおどん)」に加盟した。きっかけは、M&A会社に勤める萩原社長の学生時代の友人を通じた紹介だ。前オーナーが病気を患い、事業の継続が困難になったことから萩原社長に相談が来た。2000万円ほどで店舗を譲り受け、事業を開始した。開店当初、テイクアウト業態のためコロナ禍でも需要が高く、月商は700〜800万円を記録し、投資回収も順調に進んだ。
5坪程度の広さで、スタッフは2人いれば回る。原価率は約50%と高いが、人件費を抑えられるため、営業利益は10%ほどを保っている。
ラーメンが冬に強く、海鮮丼が夏に強いという季節性の違いも、リスクヘッジとして魅力だった。現在は店舗周辺に競合店が増加した影響で月商600万円前後に落ち着いているが安定した経営ができている。
「ラーメンだけじゃない経営を進めたいと考えていたので良い機会でした。ラーメンとは違い少人数運営や異業態ノウハウの獲得という点で、得るものは多かったです」(萩原社長)
同社は、前期5億5000万円の売上をあげている。今後も経営の多角化をしながら、田所商店ブランドである門左衛門を軸に事業を進める。
「さまざまな方との縁があり、経営する中で、人との繋がりを重視するようになりました。まずは事業拡大で門左衛門を10店舗まで増やしていきたいです」(萩原社長)

good one
(埼玉県朝霞市)
萩原 一将 社長(36)
1989年、埼玉県生まれ。2012年に國學院大学経済学部卒業。2012年に株式会社アシストに入社。飲食事業に携わる。2014年に田所商店本部のトライ・インターナショナルに入社後、2017年に独立し株式会社Realize設立。2020年株式会社good oneに入社し統括マネージャー就任。2022年に代表取締役就任。
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