【連載 第6回目】外食のプロ経営者が伝授する労務管理 虎の巻
公開日:2026.01.04
最終更新日:2026.01.06
※以下はビジネスチャンス2026年2月号から抜粋した記事で、内容は掲載時の情報です。
労働効率性を見える化する指標
労務費管理の解像度を上げる「人時接遇人数」
コロナ禍が明け、2024年の訪日旅客数は過去最高を記録した。しかし、飲食業界は今も試練の中にいる。当連載では、外食FCに長きに渡り携わってきた安田隆之社長が、現場の「気づき」から得たノウハウを綴っていく。
「人時接遇人数」で適切な労働投入量を判断
前回は、労務費が効率的に使われているかをチェックする手法、「人時生産性」についてお話ししました。これは、いわば労務費の「解像度」を上げるための手法です。今回は、もう一つの手法、「人時接遇人数」について考えてみたいと思います。
「人時生産性」とは、売上額を労働投入時間数の総和(=正社員やアルバイトを問わず全従業員の総労働時間数)で割ったものです。つまり、「人時生産性」とは、「労働投入量がどれだけ売上に結びついているか」を判断するものです。日々投入する労働量が、売上に対して適正かどうかを動的に判断する指標として有効です。
これに対して、「人時接遇人数」とは、総客数を労働投入時間数の総和(=正社員やアルバイトを問わず全従業員の総労働時間数)で割ったものです。つまり、「人時接遇人数」とは、「1人の従業員が1時間あたり何人のお客様を捌いたか」を表すもので、その店舗の労働効率性をダイレクトに示す指標です。
これは、従来型の飲食業界では、あまり馴染みがない指標かもしれません。なぜなら、従来型の飲食業界には「客数」と「労働投入量」との関係を結びつける指標がなかったからです。
一般的に、飲食業において客数というのは主要な指標です。しかし、その客数を支えているはずの労働投入量が適正かどうかを客観的に判断する指標はありませんでした。
実際の店舗オペレーションという観点からは、「客数」と「労働投入量」との間には明白な相関関係があります。弊社では、すべての店舗でこの指標を導入して5年以上になりますが、月ごと、あるいは曜日ごとに「人時接遇人数」に一定のパターンがあることに驚いた経験があります。
例えば、夏休みや週末などの繁忙期には数値が跳ね上がったり、閑散月や週明けの月曜日には数値がガクンと低下するといった傾向が見られました。もちろん、このような変動を完全に平準化して、全ての月の全ての時間帯で同じ「人時接遇人数」を維持することはできません。新人のトレーニング時間やメニュー変更によるキッチン要員の増減など、様々な変動要因があるからです。それでも、この指標を導入することによって、月次でのバラツキがなくなるように週調整することが可能になります。
適正値は店舗ごとに検証
ただし、この「人時接遇人数」という指標は、前回の「人時生産性」とは、若干捉え方の異なる指標であることにご注意ください。「人時生産性」という指標は、「その数値が大きければ大きいほど良い」のです。なぜなら、労働投入量が売上に結びついているからです。
他方、「人時接遇人数」は、必ずしもその数値が大きければ良いとは言えない側面があります。例えば、十分な労働投入量がなければ客数を支えられず、QSCにも影響が出てくるかもしれません。逆に、労働投入量を過剰に増やすと労務費の無駄が発生してしまいます。
では、適正な「人時接遇人数」はどれくらいなのか。これは、皆さんのそれぞれの店舗で試行錯誤しながら見つけてもらうしかありません。当社は業態の違う店舗を運営していますが、それぞれに個別の目標数値を設定しています。この「人時接遇人数」と、「人時生産性」の目標を併用して管理することで、当社では労務費管理の解像度が上がりました。
Kissaco
安田 隆之社長(64)
1960年生まれ。86年3月、中央大学大学院法学研究科修士課程修了。同年4月にモービル石油株式会社入社。2005年、日本マクドナルドホールディングス入社。08年に同社取締役管理部門統括上席執行役員に就任。11年に同社を退職し、株式会社コメダの代表執行役社長に就任。13年に株式会社Kissaco設立、代表取締役社長に就任。
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