【セレクトホテルズグループ】全国展開のホテルグループがFCビジネスに参入(後編)

公開日:2025.12.22

最終更新日:2025.12.09

※以下はビジネスチャンス2025年12月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

3年でFC店舗展開、加盟の選定基準は「社長の熱量」

 同グループは2022年にFC事業に参入し、現在はFC16店舗、オリジナルブランド2店舗展開している。FCは複数のブランドに加盟しており、「新時代」が5店舗、「鮨酒肴杉玉」が1店舗、「かつや」が1店舗、「しんぱち食堂」が4店舗、「魁力屋」が3店舗、「カフェ・ベローチェ」が2店舗だ。今期の売上は12億円を達成する。コロナに対応する形で始めた新事業だが、進めるうちにその奥深さに気づいたという。全国200店舗の出店が最終的な目標だ。

#フランチャイズ
#セレクトホテルズグループ
#エフ・イー・ティーシステムFC1号店の新時代福島西口店

#フランチャイズ
#セレクトホテルズグループ
#エフ・イー・ティーシステム魁力屋の加盟には、面談時に5時間の熱弁をしたという

FC事業の奥深さ 選定基準は社長の熱量

 コロナの影響で、宴会やバンケットは壊滅的な状況に陥り、同社においても多くのスタッフが職を失う危機に直面した。その解決策として見出したのが飲食事業への参入だ。当初は独自のレストラン経営にもチャレンジしたが安定経営をするためのノウハウが無く苦戦を強いられた。そこで目を付けたのが、システムとノウハウが整ったFCビジネスだ。従業員を守るために始めたFC事業だったが、進めるにつれその奥深さに惹かれていったという。
「どのブランドも魅力を引き出すために独自の文化が作られています。いい店にしようという社長の熱量を感じますね。当社が加盟したブランドはどこも熱量が高いです」(中村社長)
 FC店舗出店の第1号は居酒屋ブランドの「新時代」だ。会社の設立メンバーが「コロナ下でも伸びているブランドがある」と提案し、新時代の佐野直史社長と出会ったことが加盟のきっかけとなった。ホテル事業の苦境や外食経験が少ないことを率直に伝えたところ、「一緒にやりましょう」と背中を押され、福島県のザ・セレクトンホテルに1号店をオ ープンした。ホテル内という珍しい立地だが、福島駅周辺は飲食の入れ替わりが少なく、流行りの居酒屋ブランドは注目を集めた。新幹線の利用客などを中心に支持を集め、現在は月商1000万円を安定的に維持している。
 ラーメンブランドの「魁力屋」は、チャーハンを手鍋で振る研修を経て初めて店長になれるという独自の文化に触れ、同社の精神性の強さを感じたという。
「元ホテルゼネラルマネージャーが、研修で『チャーハンが振れるようになった』と報告してきたときは本当に嬉しかったですね。魁力屋は単に味の良し悪しではなく、熱量と精神文化を浸透させていることが魅力的です。私も経営において重要なところだと思います」(中村社長)
 加盟の面談には中村社長が京都に赴き、魁力屋の藤田宗社長に5時間の熱弁をして思いを伝えた。同ブランドの味や藤田社長の取り組みに心打たれ、協業したいという気持ちの表れだったという。
 中村社長が加盟ブランドを選ぶ際、最も重視するのは「本部社長の熱量」だ。規模や店舗数ではなく、事業にかける情熱と人を巻き込み動かす力があるかを基準にしている。
 ブランドの選定は社員から上がってくる。伸びている業態や本部、社長の取り組みを調査し、中村社長が検討ブランドの社長と直接面談し加盟を決めている。結果として、居酒屋やラーメン、定食などの加盟に至り、多角的な展開となった。設立から3年目にしてオリジナルを含め18店舗を展開し、売上は12億円。今後5年間で60~70店舗、売上高60~70億円を目指す。最終的には200店舗体制を目標とし、日本の食文化を広く届ける。
「全ての人がいろんなものを食べられて、美味しいと言ってもらえる場所をつくることが我々の職務だと思っています。そのうえで、数字は一つの指標でしかありませんが、人々から『日本全食は頑張ってるね』と評価してもらうには重要な要素です」(中村社長)

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長崎県に出店した、しんぱち食堂モラージュ菖蒲店

地域貢献で全国に展開 ホテルブランドでもFC展開へ

 同社には、「地域と共に成長する」という考え方がある。ホテル再生事業の経験から、事業の成功には地元住民の問題解決が重要だと考えている。たとえば、新時代では内陸のエリアで輸送の便が悪い地域の店舗でも安価でおいしい鰻を提供し、しんぱち食堂では、忙しい主婦やその家族が帰宅後に家事の手間を省きつつ美味しい焼き魚を食べられる場を提供している。長崎県モラージュ菖蒲店のしんぱち食堂では、オープン初日に3世代の家族連れで食事にきた光景を見てこれが自分の使命だと感動したという。食を提供したうえで地域の雇用を生み、地域貢献に繋げる。
 このような経験から、同社は日本の食文化を伝える役割を担っているという自覚を持っている。今後さらに、新たに検討しているのは、讃岐うどんや惣菜業態だ。日本の高齢者が慣れ親しんだ味を、現代の外食産業においても普及させる決意だという。
 ホテル事業と外食事業には親和性がある。ホテル内への出店や地域特性を踏まえた業態選定は、日本全食ならではの強みだ。今後は海外ブランドのマスターフランチャイジー獲得も視野に入れている。
 さらに、同社はFC加盟からフランチャイズのノウハウを得て、それをホテル事業にも取り入れる方針だ。FC本部としてホテルブランドのFC展開を計画。来年、FCでの4店舗出店を予定している。
「2025年は日本の外食産業にとって新しい幕開けになると思います。コロナ禍を生き残ったプレイヤーが同じ土俵に立ち、これからの成長を競う段階に入るためです。当社はホテル事業においてもFCモデルを取り入れ、地域貢献やおいしい食文化の提供をしていきたいと思います」(中村社長)

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#エフ・イー・ティーシステム

カフェベローチェに加盟し、コーヒー業態にも参入した

会社概要
商 号 エフ・イー・ティーシステム
代表者 中村 比呂志
所在地 東京都千代田区
設 立 平成17年11月
資本金 276,100千円
売 上高 (グループ資本金合計)147億円(2025年度実績予想)
従業員 1,650人(グループ合計/パート・嘱託を含む)
事業内容 シティホテル・ビジネスホテルの経営、コンサルタント業務各FC事業

セレクトホテルズグループ
エフ・イー・ティーシステム
(東京都千代田区)
中村 比呂志社長(63)

 

 

 

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