• HOME
  • 記事
  • 成長し続ける企業に聞く外食業界で勝つ秘訣

成長し続ける企業に聞く外食業界で勝つ秘訣

公開日:2025.10.28

最終更新日:2025.10.28

※以下はビジネスチャンス2025年4月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

【外食業界の今】
・窮地をチャンスに変えた外食業界の戦略
・コロナ下出店が成長を生む理由
・差別化が生き残りの鍵となる

 アフターコロナとなり、徐々に活気を取り戻しつつある外食市場。一時は約18兆円まで落ち込んだ市場も、直近では約24兆円まで回復した。その一方で、物価上昇や人件費高騰などの問題で、売上は回復しても利益を確保できない状況が続いている。それに伴い、2024年の飲食店倒産件数は過去最多の894件となった。厳しい状況が続く外食市場だが、独自の戦略で成長を続ける企業は多数存在する。そこで今回は、「麺」「居酒屋」「定食」「丼」「焼肉」の5業態にフォーカスし、その中から絶好調のブランドをピックアップ。各企業のトップに外食企業で勝つ秘訣を聞いた。

窮地こそ飛躍のとき コロナ下で積極出店したブランドが頭角を現す

 コロナが収束し外食需要が息を吹き返す中、ブランドごとの好不調の差が際立っている。24年は飲食店の倒産が過去最多となった一方で、業態全体で不調とされる居酒屋で躍進を続けるブランドも存在する。現在絶好調なブランドはコロナ下で何をしてきたのか。その秘密に迫る。

#フランチャイズ
#外食

#フランチャイズ
#外食

23年以降はインバウンド増 市場規模は24兆円まで回復

 アフターコロナとなった今、外食需要は回復傾向にあるものの、物価上昇や人件費高騰などの問題で外食業界は依然として厳しい状況に置かれている。
 日本フードサービス協会の調査によると(表1)、外食産業市場規模は97年の約29兆円をピークに縮小傾向にあり、東日本大震災が発生した11年には約23兆円まで落ち込んだ。以降はインバウンドの流入により市場は活気を取り戻し、19年には26兆円に回復した。しかしその直後、コロナの発生により市場は過去最大の落ち込みを見せる。感染拡大防止のための各種措置が影響し、20年の市場規模は18.2兆円(19年対比84.9%)、21年は17兆円(同83.2%)となった。22年以降はコロナ収束に伴い、市場は持ち直しの兆しとなる。23年には入国制限などの水際対策が終了し、インバウンド需要が回復。さらに、物価高によるメニューの価格改定なども相まって、市場は24兆1512億円まで回復した。
 外食全体は回復基調にあるが、業態別に見ると好不調の差が顕著に表れている(表2)。コロナ禍4年目となる23年は、コロナ前の19年の売上高を上回った業態やコロナ前の水準に迫る業態が多数となった。
 一方、居酒屋の売上高はコロナ前の6割程度に留まっている。これは、店舗数自体の減少(19年対比69.0%)に加え、消費動向の変化によるところも大きい。若者のアルコール離れはもとより、コロナ下の飲み会自粛ムードが居酒屋利用の減少に拍車をかけた。飲み会や宴会需要は徐々に回復しつつあるが、コロナ下で定着したリモートワークや宅飲みなどの生活様式は現在も継続している。飲み会が復活しても二軒目、三軒目の利用が減るなど、夜の需要は完全に戻っていない。
 しかし、こうした逆境の中でも破竹の勢いで店舗数を伸ばしている業態がある。「新時代」「とりいちず」「それゆけ!鶏ヤロー!」に代表される格安居酒屋だ。いずれのチェーンも串やサワーを数十円から提供しており、若者中心に熱い支持を受けている。鶏ヤロー(千葉県流山市)は、11年の創業時から居抜き物件を活用した低リスクの出店にこだわってきた。その戦略を続ける中でコロナ下となり、好条件の居抜き物件が大量に出回ったことを契機に出店が加速。コロナ期間中に約40店舗の増店を果たした。同様の理由で、「しんぱち食堂」も急拡大しており、コロナ期間中に約30店舗を出店した。
 また、「新時代」と「とりいちず」もコロナ下で急激に店舗数を増やしており、鶏ヤローを含む格安居酒屋3チェーンは、コロナ前に比べて合計店舗数が3倍となっている。

外食は常に競合過多 差別化要因が必須

 焼き肉と麺類もコロナ前の売上高を上回った。焼き肉の23年の売上高は19年対比115.3%、麺類は101.0%となっている。
 焼肉ブームは何度かあり、食べ放題や韓国焼肉、ソロ焼肉といったブームを経て、現在はさまざまな形態の焼肉屋が犇めいている状態だ。競合過多となった市場で差別化を図るべく、独自の商材やサービスを提供する焼肉FCが次々と登場している。たとえば、一家ダイニングプロジェクト(千葉県市川市)が手掛ける「大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん」(頁参照)は、自家製の熟成ラム肉の提供に加え、セルフで注ぐハイボールタワーを全卓導入している。
 麺類は、提供時間が短く手頃な価格帯の店が多いことから、ファミリーや会社員など幅広い層から支持されている。特に、うどんは「丸亀製麺」や「はなまるうどん」のような低価格帯チェーンが市場を席巻してきた。そんな中、ラーメン「壱角家」を展開するガーデン(東京都新宿区)が、客単価1250円の中価格帯うどんチェーン「山下本気うどん」のFC展開に挑戦する。現在は18店舗だが、平均月商は1440万円に上る。
 このように、厳しい状況下でも独自の戦略で成長を続ける企業は多数存在する。現在躍進中の外食FC企業のトップから聞いた、外食業界で勝つ秘訣を紹介する。

関連記事

【君のハンバーグを食べたい】素材の鮮度にこだわるハンバーグ定食店
【カルビ丼とスン豆腐専門店 韓丼】手作りによる高い商品力で地元民の支持を獲得
【元祖豚丼屋TONTON】コロナ下の業態転換需要で急拡大
【焼肉すだく】独自ルートで近江牛を安定供給
【DataLens】出店成功率を高めるリサーチツール
【店舗設計施工.com】住宅設備販売とリフォーム EC 事業の強みを活用

 

次なる成長を目指す
すべての経営者を応援する
フランチャイズ業界の専門情報誌

フランチャイズ業界唯一の専門情報誌として、毎号さまざまな切り口をもとに新興本部から大手本部までをフォーカス。またFCを自社の新たな経営戦略として位置付け、中長期的な経営を目指す経営層に向け、メガフランチャイジーの情報も提供しています。

記事アクセスランキング
次なる成長を担うすべての起業家を応援する
起業&新規事業の専門情報誌

“起業のヒント” が毎号充実! “ビジネスチャンス” の宝庫です。
すぐにでも役立つ独業・開業・転業・副業サポートの雑誌です。
資金をかけずに始められる新しいビジネスの紹介、FC、経営・会社運営のノウハウなど、多くの経営者からの“起業のヒント”が毎号充実。

定期購読お申し込みはこちら